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第21話 元勇者 さらわれる

「くっ!?」


 爆発に吹き飛ばされ地面を転がる。すでに防壁魔法は破られそのダメージを軽減するものはない。そして立ち上がった瞬間また背後が爆発し吹き飛ばされる。さっきからずっとその繰り返しだというのに一切反撃できない。




 まさか500年の歳月がこんなことをさせてしまうとは思ってもみなかったな。











 時は遡り、ガリアを待ち始めて4日目、僕たちはモノリスを観光していた。500年前は本拠地として知り尽くしていた街だが、今では見知らぬ巨大建造物やらアルスの石像やらが新しくできていたため僕としても楽しめている。


「それにしてもモノリスってリオネスよりも娯楽が多いんだね。まさかボウリングができるとは思わなかったよ」


「こっちの方が娯楽が多いというか帝国では娯楽が僕たちとは違うんだよ」


「どうゆうこと?」


「帝国での娯楽は戦いなんだよ。だからリオネスには闘技場とか演習場が多かっただろう?」


「言われてみればそうね。あれはそういうことだったのね」


「しかしよくそんなことを知ってるな?帝国は500年前にはなかったんだろう?」


「まあいろいろと調べたんだよ」


 『収集鬼』のことを蓮たちには話していないので言葉を濁す。あまり言いたくないことであるのを察した修は話を変えてくれた。


「ところで今日の晩飯は外で食べないか?いつも通り宿でとってもいいだろうがせっかくだしうまい飯屋を見つけるのもいいんじゃないか?」


「そうですね。私も賛成です」


「それじゃあそうしようか」




 そうして気に入った食事屋を探すこと数時間。辺りも真っ暗になったころにようやく『茜色の雫』という店に決め、入ろうとしたところでそれは起こった。


「!?」


 突然蓮たちが消え、僕1人だけが店の前に残された………いや、僕だけが消え、別の場所に連れてこられたのだった。

 夜中とはいえこのモノリスで魔法を使ってきたという事実に動揺し対処が遅れた。そのせいで背後の爆発を防ぐことができずに道路を転げまわる羽目になった。


「くそっ!防壁魔法!」


 防壁魔法を使い追撃が来ても防げるようにした後、敵がどこにいるのかを索敵魔法で調べる。しかしそんなことをしなくても敵の方からこちらにやってきたのだった。


「やっぱりトオル先輩だ!」


「ガリアっ!?」


 そう、敵はガリアの面影のある青年だった。赤く燃えるような髪に端正な顔立ち、そして獣のような笑み。しかしだからこそ襲われている理由が分からない。なので率直に聞くことにした。


「ガリアなんだよね?いったいどうしてこんなことをするのさ?」


「ははははは!俺の退屈な日々を無くすためですよ!爆破魔法!」


 そんなことをいいながらガリアは僕への攻撃を続ける。そして僕もここにきてようやく彼と戦う決意を決めたのだった。











Side 黒羽蓮




「何が起こったんだ!?」


「クラウちゃん分かる?」


「わかりません。私の探知をかいくぐっていきなり消えました」


 クラウは普段から探知魔法をかけ続けているため魔法が使われればすぐに反応できるはずなのだがそれがだめだったということは透を消したのはクラウちゃんよりもかなり格上の相手だということ。

 そして夜だとはいえ人気のあるこの場所でさらったことから相手は警備兵を相手にしてもどうとでもなるという自信があるのかたまたま透を見つけ衝動的に襲ったのか。後者ならまだ救いはあるのだが前者だと手の打ちようがないかもしれない。

 とりあえず巡回中の警備兵に話をした後私たちも独自に透を探すのだった。


「………ダメです。分析魔法でも何が起こったのかわかりません」


「いきなり消えたのは転移魔法を使われたと考えていいのかしら?」


「それか結界内にとらわれたかですね」


「結界?それも魔法なのか?」


 透から聞いたことのないものだったのでクラウに説明を頼む。


「結界とは魔法でつくり出した異空間のことです。結界魔法でつくった結界に人を取り込んだりすることも可能な魔法なんです」


「結界の中にとらわれた場合、どうすれば助けられるかわかる?」


「私は適性がなかったのでそこまで詳しくは知りませんが、結界魔法で結界をつくるときに現実世界に基点をつくる必要があると聞いたことがあります。それを見つけて破壊できれば強制的に結界は閉塞して中にいた人は現実世界に戻るはずです」


「だったら転移魔法と結界魔法で2手に分けて調べましょう」


「となるとどうやって分ける?」


「転移魔法だったら転移先で透が抵抗して戦闘をしているはずよね。遠くても50キロ離れているわけではないだろうから霞と修一で遠視魔法を使って確かめてみて。私とクラウで結界の基点がないかを探すわ。解析魔法でなら基点を見つけられるかしら?」


「おそらくは大丈夫なはずです。ただし片っ端から魔法をかけていく必要がありますが」


「だったら私は家みたいなあって当たり前のものに魔法を使うからクラウは違和感のあるものにかけていって」


「わかりました!」


「2人もよろしく頼むわ。必ず透を見つけるわよ!」


「まかせろ!」


「はい!」


「うん!」




 そして楽しみにしていた晩餐の邪魔をした奴にはとびっきりの制裁を加えてやるんだから!

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