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第17話 元勇者 解決

 何とか間に合った。


 蓮たちは全員倒れているが誰も死んではいない。クラウに治療をまかせて僕はただ1人立っている男(?)と向き合う。見るからに怪しかったので問答無用で蹴りを入れたのだがあっさりと立ち上がってきた男を警戒しながら尋ねる。


「今の蹴り、人間だったらこんなすぐに立ち上がれないはずなんだけど、いったい何者だ?」


「それは私のセリフだ。この私の幻術を見抜き、さらには私が気付く間もなく攻撃してくるとは並の人間ではないな。名乗れ」


「ずいぶんと上から目線でイラつくな」


 そういいながら解析魔法をかける。魔法や薬で体を強化しているのではと思ったのだが驚くことに彼は人間ではなく魔物だった。………あの陶器っぽい顔は素顔を隠しているわけじゃあなかったのかと思いながら魔法をいつでも使えるように準備しておく。


「名乗れと言ったのだよ!私は人間を超える存在!そんな私に名を名乗れる名誉を誇って死ぬがいい!」


「お断りだ!封印魔法、浄化魔法、分解魔法!」


 3種類の魔法を3方向から撃ちだしたがどれも避けられる。そのうえ跳躍して僕の背後に回り蹴りを繰り出してきた。


「名乗れっていうなら自分の名前から名乗れよ!」


「私の名前はバンデッドドールだ!」


「!?」


 それを聞き、思わず動きを止めてしまった僕は蹴りをくらい吹き飛んでしまう。修一からバンデッドドールは倒されたと聞いていたので予想外の答えだったため驚いてしまった。

 しかも奴がバンデッドドールなら強奪魔法があるはず。これは時間をかけていられないな。


「貴様はなかなか強いな!私が貴様になってやろう!」


「何度だって言ってやる。お断りだ!消滅魔法!」


 僕の奥の手、消滅魔法。対象を問答無用で消滅させるこの魔法によりバンデッドドールはあっさりと消え去ったのだった。











「だからあれは不可抗力でしょう!」


「それでも行先を誰かに伝えておくとかあるだろう!そもそもあんな路地裏に連れ込まれる前に怪しいと思いなよ!」


「しょうがないでしょう、内密の話なので人目につかない道を行きますなんて言われたら信じるでしょう!」


「1つの街に長期滞在するなら大抵の道は調べて覚えておくものなんだよ!」


「今度からそうするわよ!」


「まあまあ2人とも、そこまでにしておこうよ」


 霞のとりなしによって僕と蓮の言い争いは止められた。


 バンデッドドールと戦った日の2日後である今になってようやく自由になれたので(昨日は1日中組合で話を聞かれていた)蓮たちの不注意を怒っていたのだが途中から蓮との言い争いになってしまった。

 何か間違えれば3人は死んでいたのでこれくらいは許してほしいのだが、若干、言いすぎた感はあったので素直にやめる。


「それでその子が透の子供なの?」


「ああ、クラウ・ソラスっていうんだ」


「クラウ・ソラスです。みなさんよろしくお願いします」


「よろしくクラウ。黒羽蓮。蓮でいいわ」


「私は綾崎霞。霞って呼んでねクラウちゃん」


「俺は木戸修一。木戸でも修一でも好きな方でいい。よろしくたのむ」


 自己紹介も済んだところで僕の話に入る。


「というわけでエミリアの資料を手にすることができたんだ」


「それで妖精人の森について何かわかったの?」


「ああ、それなんだけどね。実は結構面倒なことになっているみたいなんだ」


 僕はエミリアの資料から知ることのできた情報を話す。


「いま妖精人の森は人間を拒絶しているみたいなんだ。しかもその理由が人間が妖精人を奴隷にしていた歴史からっていうんだからかなりまずいんだよ」


「でも森の外にも妖精人はいるわよね?」


「それは2度と森に帰らないことを誓った妖精人たちなんだ。だから今では奴隷にするような人間はほとんどいないことを森にいる妖精人たちは誰も知らないんだ」


「そんな中、無理やり森に入ればどんな目に合うか想像はつくな」


「追い回されて最悪は………」


「殺されるだろうね」


 ごくりと息をのむ音が部屋に響く。とはいえ『属性玉』を手に入れるためにも森を避けるわけにはいかないので何らかのアイデアを出してほしいのだ」


「無理やり『属性玉』を盗んだらさらに人間に対する悪感情が悪化するな」


「かといって正面から交渉に持ち込めることもないよね」


「詰んでるわね」


「私はハーフですがそれも拒絶されるでしょうから、本当にお手上げではないですか?」


「こうなったらさらに関係を悪化させることを覚悟して奪いに行くか?」


「人間だとばれずにできる?」


「たぶん解析魔法をかけられてばれると思う」


 5人で悩んでいると扉がノックされる。誰かと尋ねると組合長だと返ってきたのだった。


「どうもオーウェン組合長。わざわざ宿にまで来なくても呼ばれれば行きましたが」


「いやいや、今回は君たちのおかげで助かったからね。足を運ぶ程度のことはさせておくれよ」


「ところでいったいどういった用件でこちらまで?すでに謝礼などはいただいてますが」


「なに、シュウイチ君が妖精人の森について調べていたと聞いてね。ある人を紹介しようかと思ってね?」


「ある人ですか?」


「トオル君は知っているんじゃないかな。ガリアさんだよ」


「え!?」




 これが僕の昔馴染みと再会するきっかけになるのだった。

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