第14話 恋する少女 企む
Side 黒羽蓮
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
Side 綾崎霞
私はいま、目の前で悶えまくっている蓮ちゃんを見ながら異世界の紅茶を楽しんでいた。何か気になる夢を見たけど思い出せないと悩む蓮ちゃんに私が精神魔法を使って思い出させてあげようか?と聞くと頷いたので思い出させたのだけどずいぶんと恥ずかしい夢だったのかな?
「大丈夫?」
「ううー。違うの、違うのよ。これは私の願望とかじゃなくて、そう!霞とこうなればいいなっていうのが私に置き換わってしまった悪夢なのよ」
つまり透君とイチャイチャする夢だったのかな?蓮ちゃんは否定するけど彼女も透君のことが好きなんだと私は思っている。この世界は一夫多妻制が認められているから2人して受け入れられてもいいんじゃないかなと思ったりするけれどその前に私が透君に受け入れてもらえるように頑張らないとと思う。
「ねえ蓮ちゃん。透君ともっと仲良くなるにはどうしたらいいかな?」
「うう………そうね、ここは焦らず時間をかけていくべきだと思うわ。まずは世界を切り離すまでの間にゆっくり確実に仲を深めて目的を達してから一気に畳みかけるのよ」
「やっぱりすぐにどうにかなる方法はないかあ。でも急がば回れっていうからこれでいいのかもしれないね」
「そうね」
出来れば一緒の布団で寝れる関係にはなりたいのだけどそこまで行くのにどれだけかかることかと考えると気が遠くなってしまう。
「焦っちゃダメよ霞。余裕を持つことが大事なの」
「さすが蓮ちゃん。正妻の余裕だね」
「そうよ。って正妻じゃないわよ!」
「私は妾でも透君と一緒にイチャイチャできるなら幸せです」
「だから私はそういうのを望んでないのよ!」
いつも通りの答えを返す蓮ちゃん。しかしこういうのは積み重ねが大事だと知っている私はこれからもさりげなくはさんでいくつもりだ。私の幸せな正妻、妾生活のためにも、より透君を落としやすくするためにも蓮ちゃんには自分に素直になってもらうんだ!
「でも早く透君に会いたいね」
「もう何年も会ってない気がするわね」
「それは言い過ぎだよ蓮ちゃん」
「そうだよ蓮。それにもう少し出会えるようになるよ」
「「!?」」
聞いた覚えのある声がしたので振り向くとやはり透君が使っていた魔法人形がいた。
「僕の用事はついさっき終わったんだ。今日中にとはいかないけど明日明後日には合流できるよ」
「本当!?それは良かったよ。どこか怪我はしなかった?」
「大丈夫だよ。今日合流できないのも疲れをとるために休むからっていうのが理由だしね」
「そう、それならよかったわ」
「それじゃあ今日はゆっくり休んでね」
「ああ、それじゃあ………ってまだ話は終わりじゃないんだよ!」
「「そうなの?」」
「そうなの!この魔法人形を使って僕は君たちのことを陰ながら守っていたわけなんだけどどうにもシリアの街でおかしなことが起こっているみたいなんだ」
「おかしなこと?」
「詳しいことはさすがにわかっていないのだけど、相当やばいことみたいでね今まで以上に気を付けておいてほしいんだ」
「分かったわ」
透君がわざわざ忠告するほどのことがこの町で起こっているなんて。外に出た修一君のことが気になるけれど大丈夫だよね?
「それじゃあ僕はこれで失礼するよ」
「うん、また今度ね」
「互いに生きて会いましょう」
別れを済ませると人形は窓から外へ出て行った。それを見送った後、私はシュウイチ君は大丈夫かを蓮ちゃんに聞いてみるのだった。
「たぶん大丈夫よ。それどころかこっちに向かってきているんじゃないかしら」
「え?」
そのときドアがノックされたのだった。
「なるほど。話は分かったわ」
「そんなことが起きていたんだね」
私たちを訪ねてきたのは蓮ちゃんの言った通り修一君だった。そして彼は今この町で起きている事件を私たちに話し、蓮ちゃんに犯人がだれかわからないか聞いてきたのだった。
「ごめんなさい。さすがにそれだけ聞いて犯人を特定することはできないわ。ただ、犯人は集団じゃなくて個人だと思うわ」
「そうか。まあそれだけでも知れたのならば十分だろう。個人ということは集団でアリバイをつくっているというわけではないのだから操作もしやすくなるだろう」
「そうだね。それじゃあ修一君はダンさんに伝えに行くのかな?」
「ああ。透の忠告もあったことだしダンに伝えたら俺はこの調査から外れることも言っておくよ」
「そうしたほうがいいでしょうね」
「それじゃあ俺は行ってくるよ」
「気を付けてね」
そして修一君は来たときと同じようにすぐに出て行った。この町で何が起ころうとしているのかは分からないけれどできるだけ悲しむ人が少ない結末になることを私は願うのだった。
「大丈夫よ」
「蓮ちゃん?」
「きっと大丈夫だから安心しなさい」
「………うん!」




