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第10話 3人組 冒険者に

 第5の試練 魔法に対する正確な対処


 案内された部屋の四方から様々な魔法が向ってくる。その魔法1つ1つに正しい対処をしなければいけないという試練だった。この試練で使われる魔法は大抵のものが初見の魔法であったがどれも魔法に対する基本的な知識があればそれを組み合わせてどうにかできるものだった。

 ただし、数も多く対処するための時間も少ないので最初のうちは1分経たずに失敗し、昼食前にようやく半分までどうにかできるようになり、夕食前にクリアすることができたのだった。


「おつかれさまですパパ」


「ありがとうクラウ」


 試練が終わるとクラウが飲み物とタオルを持ってきてくれたのでありがたくそれを受け取る。

 まさか朝から初めて夜になるまで時間をかけて1つの試練しか攻略することができないとは思わなかった。


「これで試練の半分が終わりましたね」


「まだ半分だよ。この調子で行けば1週間はかかってしまいそうだからね。次からはもっとペースを上げないと」


「パパは向上心が強いんですね」


「それもあるけど仲間を待たしているんだよ。明日か明後日にはシリアの街につくと思うし、彼らは旅に慣れてないから何か問題がないか心配なんだ」


「だったら夕食後も試練をしますか?」


「いや。試練にはクラウが付き添う必要があるんだろう?君はまだ小さいんだから早く寝ないといけないよ」


「パパのそういうところだいすきです!」


「それはうれしいね」











Side 黒羽蓮




「流石に遅いわね」


「何かあったのかな?」


 私たちがシリアについて1週間。まだ透は姿を現していなかった。私たちもどうにかして連絡を取ろうと隠れている護衛を探したりしたのだが見つけることはできなかった。

 透がやられるとは思っていないが何者かに邪魔されている可能性はある。修一の『探知』で探そうとしても圏外のために探せない。ならばと私の『直観』で透のいる大まかな方向を感じ、『探知』圏内に入るという手段も取れるがその場合、透とすれ違いになる可能性もある。

 つまり私たちはこのままここに残るか透を探しに行くかを選ばなければいけないのだった。


「俺としては透を探しに行った方がいいと思う。何の連絡もないというのは連絡を取る暇もないということだろう。蓮のスキルで透のいる方向が分かるのなら迷うこともないのだから問題はないと思うが」


「私はここに残ったほうがいいと思う。透君は転移魔法を使えるけど私たちの居場所を正確に知っているかは分からないし。それにこの町から出て何かに巻き込まれるかもしれないし」


 私の意見は?という視線を2人からもらったので自分の意見を言う。


「私としてはもう1週間ここに残って、それでも透が来なければ探しに行く。そういうふうにしたいと思っているわ」


「だがそれでは手遅れかもしれない」


「その場合は仕方がないわ。私たちが今いるこの世界では突然の別れなんて珍しくないのだから慣れるべきよ」


「透が死んでもいいというのか!?」


「そんなわけないでしょう!!」


 私の怒声に修一も失言だと思ったのか素直に謝ってくる。


「すまない。言い過ぎた」


「いいわよ。私も思っていたより冷静じゃないみたいだから。怒鳴ってごめんなさい」


「2人とも透君のことが好きだもんね。冷静でいられないのも仕方ないよ」


「俺はあくまで親友として心配しているだけだからな!?」


「私もあくまで幼馴染として心配しているだけよ!?」


「わ、分かってるよ2人とも」


 私は霞のライバルになるつもりはないのだからはっきりと言っておかねば。


「いい、霞?何度も何度も言うけれど、私と透は幼馴染なの。そこに恋愛感情は存在しないのよ」


「でも昔は一緒に寝たりしてたよね」


「昔の話よ!?………今の声は誰?」


「僕だよ僕」


 声のする場所を探せば部屋の棚の上に小さな人形が置いてあった。まさかと思いつつもその人形に話しかけてみる。


「あなたがさっき話していたの?」


「だから僕だよ。雪白透さ」


「「「透(君)!?」」」


「そうだよ。実は今色々と手間取っててね。まだ長引きそうだから連絡をしようと思ったんだ」


「だったらもう少し早く連絡してほしかったのだけど」


「それがさ、ここ5日間は迷宮に閉じ込められていてね。さっきようやく出てきたところなんだ」


「………何をしているのよ」


 透の実力で5日もかかる迷宮ならやけに強い敵が大量に出るか謎解きのような戦闘に関係ないタイプのはずだが、そもそも妖精人を探してどうして迷宮に挑む必要があったのか。


「とにかく僕はまだ合流できそうにないからさ。暇だったら冒険者組合に行って金を稼いだり素材を集めたりしたらどうかな?」


 たしかに宿に泊まるのもただというわけではないので金は必要なのだけど。


「そんなにかかりそうなの?」


「ああ、もしかしたら1月はかかるかもしれない。それに今辞めるとまた次に挑戦するときは最初からになるし、後々必要な情報が手に入るはずだからこのまま続けた方がいいと思うんだ」


「そうか。お前の無事が確認できただけでもいいだろう。それじゃあ俺たちは冒険者として働いてみるか?」


「そうだね。世界の接点を絶った後も私たちは生活しなきゃいけないし、お金を稼げる手段は持っておいた方がいいもんね」


「なら決まりね」




 そうして私たちは冒険者として働くことになったのだった。











迷宮 突然発生する謎空間。内部には魔物がいたり魔法具があったりと危険があるが見返りも十分ある場所。


冒険者 魔物退治や迷宮探索、未開の地の探索や近所の飲食屋の皿洗いまでこなす何でも屋。倒した魔物で1流の料理をつくれるようになってからが中堅。


冒険者組合 冒険者のたまり場。冒険者への依頼や昇級試験を担当する場所のこと。素行の悪すぎる冒険者を始末する掃除人が組合の受付や討伐した魔物の鑑定を行うので冒険者が暴れても問題なし。



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