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Astral  作者: やくも
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第二話:二つの異分子

 部屋の窓を全開にする。

 風呂上りの火照った体は蒸し暑く、少しでも夜風に当たって涼んでおきたいからだ。

 運良くこの日は風が出ていて、肌寒さを覚えない程度のちょうどいい具合の風が流れ込んできていた。

 まだ乾ききっていない背中や首筋を風が撫でると、心地よい涼しさを感じられる。

 今の時刻は十一時を回ったところ。

 今時の学生諸君としては、こんな時間に寝てしまうのは早すぎるくらいだろう。

 が、これといって得にすることもない彼方にとっては、大体いつも日付が変わるかどうかという時間帯には眠ってしまっているので、今頃になるといい感じに眠気がやってくる。

「ふぁ……」

 欠伸を噛み殺して、ゴロンとベッドの上に仰向けに寝転がる。

 そのまま目を閉じればすぐにでも寝入ってしまいそうだった。

 多分、下ではもう源三も寝る準備をしているか、あるいはもう眠ってしまっているかもしれない。

 古い人間全てがそうだというわけではないが、全体的に老人達は早寝早起きである。

 源三も例外ではなく、ほとんどの場合は彼方よりも早く寝て早く起きる生活のサイクルだ。

 テレビなどの娯楽にもあまり興味関心がないというのが理由の一つかもしれない。

 そんなことを考えながら、彼方は二度目の欠伸を噛み殺す。

 そろそろ本格的に眠気が押し寄せてきたようだ。

 このまま眠ってしまおうと、そう思ったが……。


「…………」

 ふと起き上がって、机の上に放置したままのそれに目を向けた。

 古びた黒い箱と、赤いロザリオ。

 それら二つは、今は重なり合うことなくバラバラに置かれている。

 彼方はベッドから降り、机に歩み寄った。

 箱とロザリオをそれぞれ手にして、ベッドに戻る。

「……結局、何なんだろなこれは」

 手持ち無沙汰に、手の中でロザリオの感触を確かめる。

 材質は多分普通の金属……鉄か何かだろう。

 首から下げれるように、細かい鎖の輪もついている。

 デザインこそ珍しいが、その辺の店を探せば似たようなものは売っていそうな感じだ。

 もっとも、真っ赤な色が雰囲気を不気味にしている気もするのだが。

 そして、もう一方の箱。

 こちらは汚れが落ちないせいか、はっきりいってよく分からない。

 外見はただの大きなサイコロなのだが、六つの面それぞれに意味不明な模様が描かれている。

 もっとよく見れば、これまた意味不明な文字のような記号のようなものが掘り込まれている。

 もちろん、そんな文字は彼方にはとてもじゃないが解読できるようなものではない。

 普通に考えて、一般の高校生が理解できそうなのは日本語とアルファベットくらいのものだ。

 そのどちらにも、これらの文字や記号は属さない。

 結論として、読めもしなければ理解もできないのは当然なのだ。

「…………」

 彼方は手の中でロザリオを転がしながら、もう一度夕方のように、くぼんだ面にあてがってみる。

 カチリと、確かに合わさるような音がした。

 が、しかしそれだけのことだ。

 カチリというその音は、ロザリオがくぼみにはめ込まれた音であって、何かの仕掛けが解かれたというような意味合いの音ではない。

 だから箱は今も箱のままだし、叩いてもねじっても開く気配は一向にない。

 そもそも中には何も入っている様子がないし、開ける理由すら見当たりはしないのだ。

 鍵穴らしいものも見当たらないし、どうやら箱というよりもただの置物のようなものなのかもしれない。

 だとしたら相当意味不明な置物だろうと、彼方は思う。

 まぁ、そんなことでいちいち悩んでいるのも正直言ってバカらしい。

 少なからず何かを期待していた部分があるものの、やはりそう都合よく物事は進んでくれないようだ。


「……寝るか」

 彼方は箱とロザリオを机に置いて、部屋の電気を消した。

 部屋は暗闇に包まれたが、開けっ放しの窓の外からは月明かりが入り、それが一筋の道を作って照らしている。

 窓を閉めようと、彼方は向かう。

 そして今更に空を見て、気づいた。

 今夜は満月だった。

 遥か上空、頭上には金色に輝く丸い月が浮かんでいた。

 雲一つなく、その輪郭がはっきりと浮かび上がっている。

 確か、満月の翌日は晴れるとか、そんなことを聞いた記憶がある。

 ということは、どうやら明日も一日中暑くなるということだろう。

 うんざりしながら、彼方は窓を閉め、そしてカーテンを閉めて部屋の中に振り返り……。


 カチリ。


 と、そんな音を聞いた。

 その音に視線が移る。

 机の上に置いた、黒い箱。

 暗くなった室内で、その輪郭はひどくおぼろげに見えた。

 だが、それでも。

 目を凝らして、はっきりと見る。

 変化があった。


 箱の蓋が、大きく口を開けていた。


「な……」

 驚愕のあまり、それ以上の言葉が出てこなかった。

 彼方はわずかな距離を早足で詰め、その箱を手に持つ。

 間違いない。

 箱の蓋は、開いている。

 そしてその中身は、部屋の暗がりよりもさらに深く暗い、まるで淀んだ水底のような暗さを携えていた。

 その奥を、魅入られたように覗き込む彼方。

 深い闇は時折、水面のようなわずかな揺れを見せる。

 どこまでも深く、どこまでも遠い。

 深遠という名が似合うほどの、底なしの暗がりの中。

 その中で。


 視線が絡み合った。


「っ!」

 彼方は自分の視線とぶつかったもう一つの視線に、本能的な危険を感じた。

 いや、それ以前に。


 一体何と、自分の視線は絡み合ったというのだ?


 この小さな箱の中にある、何と?

 ……この中に、何が居るのだ?

 そしてまさに、その問いに答えてやろうと言わんばかりに、三日月形に歪んだ口元がニィと笑った。

 ゾクンと、背筋を中心にして全身に寒気が走った。

 同時に直感する。


 ――殺される、と。


 彼方は手にした箱を部屋の壁に叩きつけるようにして投げた。

 投げられた箱は壁にぶつかると、カコンという空っぽな音を立てて床に転がった。

 直後に。

 まるで発煙筒のように、膨大な量の黒い煙が部屋全体を覆い尽くした。

 途端に空気が重くなる。

 気のせいか、呼吸が思うようにできず息苦しさを覚えてしまう。

 そんな目の前いっぱいに覆われた黒煙の中で、それは確かに居た。

 そこに居て、蠢いていた。

 あの視線が、歪んだ口元が、黒煙の奥に浮かぶ。


 「ヒャハハハハハハハハハ――――!」


 この世のものとは思えない不気味な笑い声。

 それは狂ったように叫び、笑っていた。

 そして一瞬の間を置いて、黙した。

 切れそうな糸がギリギリのところで保たれているような、そんな感覚。

 緊張か恐怖か、恐らくはその両方だろう。

 彼方ののどを、空気の塊がゴロリと音を立てて転がり落ちる。

 その音さえ聞き済ましたかのように、それは合図として……襲い掛かる。

 目前に伸びてきたのは、恐らく腕なのだろう。

 そこからさらに伸びた三本しかない指は、それぞれがカギヅメのように鋭く研ぎ澄まされ、肉も骨も丸ごと抉り取ってしまうだろう。

「ぐ……!」

 間一髪、体を横にして彼方はそれを避ける。

 が、間髪をいれずに反対側から同じ指が襲い掛かっていた。

 彼方は床の上を転がるようにしてそれを回避し、部屋のドアを乱暴に開け放って廊下に出た。

 そのまま急いで階段を降り、一階の居間に向かう。

 頭の中がグチャグチャにこんがらがって、何が何だか分からない。

 唯一理解できたことは、あれはどういう理由か知らないが、自分を殺そうとしているという、それだけのことだった。

「っ、冗談じゃねぇ! 一体、何がどうなって……」

 そんな問いにすら、答える暇を与えてくれない。

 背後を振り返るが、そこにあれの姿はない。

 これだけの距離で振り切ったとは思えないが……。


 などと考えていると、ふいに頭上から何かの気配を感じた。

 まさかと思い見上げ返すと、そこに。

「な……」

 まるで床板をそのまますり抜けてきたかのように、それが姿を現していた。

 そしてそのまま天井に張り付くような姿勢から、跳ねるように飛んで襲い掛かる。

 彼方は目の前の障子戸にそのまま突っ込み、崩れ去りながら中庭に転がった。

「ぐ、あ……っ!」

 同時に、左肩に鋭い痛みが走る。

 転がったときに負った傷ではない。

 戸を破る寸前に、あのカギヅメのような指に左肩を切り裂かれていた。

 傷口が熱い。

 沸騰したお湯のように血が溢れ出る。

 どうにか立ち上がりこそするものの、足元がふらついてひどく頼りない。

「ヒャハハ……」

 一方、目の前にはそれが相変わらずの不気味な笑みを浮かべながら揺らいでいた。

 月明かりの下、ようやくその姿が露になる。

 しかしそれは、人の形とは到底程遠い輪郭をしていた。

 体全体がガス状なのか、とにかく不定形で、まるでRPGなどに出てくるモンスターをそのまま現実にしたような姿だった。

 腕は二本あるが、それぞれに指は三つ。

 胴体部分は鎧でも着てるかのように歪に変形し、足に近づくにつれて細くなり、地面から半分ほど浮遊しているかのような状態。

 少なくとも人間というより、そもそも生物としての定理では測ることはできそうにない。

「……っ、痛ぇ……」

 傷口が吼える。

 本当に体の一部を抉り取られてしまったようだ。

 痛みだけは残っているのに、傷口周辺が麻痺し始めて感覚が薄れていく。

 そんな彼方の様子を見て、それはもう一度ニィと薄く笑った。

 そして再度、そのカギヅメの切っ先を向ける。

 彼方にそれを避けるだけの余力はない。

 今度こそ間違いなく、心臓を抉り取られて絶命する。

 その時だった。


「彼方よ。さっきからドタバタと何をしておるんじゃ? こんな夜中に騒いだら近所迷惑じゃろうて」

 激しい物音に気づいてか、源三が中庭に顔を出した。

 そしてすぐに、目の前で起こっている異変に否が応でも気づかされる。

 その目に映るのは、異形を成したバケモノと、その先で血を流す孫の姿。

「な、なんじゃこれは……?」

 ワケが分からないのは当然の反応であり、そしてそれは確実に一瞬の隙を生む。

 それは薄く笑い、その手を向けた。

「っ! やめ……」

 彼方は叫びかけたが、痛みがそれを邪魔した。

 三つのカギヅメの中から、黒い球体が浮かび上がる。

 そしてその黒い弾丸は、あっけなく放たれた。

 まるでそよ風が通り過ぎたほどに、無音で。

 しかし確実に、弾丸は源三の体の中心に直撃した。

 小柄な源三の体が家の奥に吹き飛ぶ。

 悲鳴もなく、ガラガラといくつもの戸板や壁を破壊する音だけが響き渡った。

「ジーちゃん!」

 彼方は叫び、駆け出す。

 が、目の前のそれはそれさえも許さない。

 立ちはだかるように行く手を阻み、徐々に彼方を追い詰める。

「く……!」

 歯噛みする。

 急がないと、源三は命にかかわるかもしれない。

 分かっている。

 そんなことは頭では分かっているのだ。

 けど、だけど……。

 この二本の足は、まるで地面に根を生やしてしまったかのように動いてくれない。


「……クソ、チクショウ、動けよ……動いてくれよ……っ!」

 それは簡単には振り払うことのできない、本能的な恐怖への反応。

 もちろん、彼方に限ったことではない。

 同じ境遇に立てば、百人が百人見せる反応だ。

 だが、それでも。

 動かなくてはいけない。

 動かなければ、いけない。

 なのに、それなのに……。

「クソ、クソ…………ッ!」

 力ずくではどうにもならない。

 気づかないうちに、心はすでに折れていたのだろうか。

 傷を負って、痛みの中で。

 目の前で源三を傷つけられ。

 刻み込まれた恐怖心が、自分を殺した。

「……動けよ、動けよ、俺の足!」

 その悲痛な叫びさえ、それにとては嘲笑の対象でしかなく。

「ヒャハハハハ」

 不適に笑って、振り上げたカギヅメが月明かりに映えた。

 そして、振り下ろされる、その瞬間。


 「…………彼方……?」


 そんな、声が。

 わずかに意識を引き戻した。

 が、それも束の間で、すぐに最悪の展開が容易に想像できた。


 「っ、逃げろっ、西花あああああっ!」


「え?」

 そんなとぼけた一言が聞こえて。

 次の瞬間、目の前にいたはずのそれははるか向こうにいて。

 振り上げられたカギヅメが、西花を確実に壊す。

 ……はず、だった。


 ガシャンと、窓ガラスの割れる音がした。

 反射的に彼方は、音のした方向を見上げる。

 それは、二階の自分の部屋だった。

 そこから、何かが飛び出していた。

 黒いシルエットが夜を駆け抜ける。

 それは一直線に西花の元へ駆け寄ると、振り上げられたカギヅメを腕ごと一撃で食いちぎった。

「ヒギャアアアアア!」

 それが悲鳴を上げる。

 食いちぎられた腕が庭の上を転がった。

 が、次の瞬間。

 轟と、猛るような炎が生まれ、食いちぎった腕を瞬く間に焦がし尽くした。

 後に残ったのは、ただの消し炭。

 それも、風もないのに揺らいで消える。

「さて、と」

 新たな声が静かに言う。

 シルエットが、月明かりの中で浮かび上がる。

 それは、炎そのものだった。

 全身になびく赤銅色の毛。

 鋭く研ぎ澄まされた眼光。

 瞳の色は毛の色に劣らない緋色で、月明かりの中でさらに映えて見えた。

 そして全身が赤銅色の毛並みの中、額の部分だけが銀色に染まっている。

 外見だけで判断すれば、それは狼をイメージさせた。

 だが、そんなものではない。

 これは間違いなく、少なくとも現実の中で生存するものではない。

 黒く歪んだそれと同じ、この世界から見た異物。

「…………」

 彼方はただ、その光景をぼんやりと眺めていた。

 赤銅色の狼は、一度だけ周囲を見回した。

 そして何かを納得したように一度目を閉じ、直後に開いて目の前のそれを眼光だけで射抜いた。

「ヒ……」

 うろたえていた。

 ただそれだけの行動で、圧倒的な力の差を見せ付けられたかのように。

 そして赤銅色の狼は、温度のない声で告げる。


 「――消えろ」


 直後に、赤銅色の狼は火を吐いた。

 真っ赤な炎は一瞬でそれを飲み込み、あっという間に原型を崩して消し炭と化す。

 この世のものとは思えない悲鳴を上げて、それはやがて虚空へと消えた。

 それを見届けてから、赤銅色の狼はゆっくりと彼方に向かっていく。

 不思議と彼方は、今度は恐怖を覚えなかった。

 固まったように動かなかった足も、今はもうちゃんと動くようになっている。

 が、ふいに力が抜け、膝が折れてその場に座り込んでしまう。

 すると、ちょうど同じくらいの目線の高さに赤銅色の狼がやってきた。

 その目は鋭い光こそ放っているが、彼方はそれに対して恐怖を覚えなかった。

 警戒心を完全に解けたわけではなかったが、少なくとも今は助けてもらった状況にあるのだ。

 礼の一つでも言うべきだろうかと迷っていると、先に赤銅色の狼が口を開いた。

「遅れてすまなかった。実体化するのに、思った以上に手間取ってしまった」

「…………え? あ、ああ……え?」

 何と返せばいいのか分からず、それ以前に動物が平然と標準語を喋っているというとんでもない事態に混乱せざるを得ない。

「傷は大丈夫か? 見せてみろ」

「あ、ああ、うん……」

 言われるがまま、彼方は左肩から手を放す。

「……ふむ。この程度なら、すぐに回復するだろう。常人なら深手だが、これも魔術師の血の成せる業というものだ」

「……ま、魔術師?」


 何だかさっきから話が噛み合っていないような気がする。

 そもそも、魔術師って何のことだ?

 思い当たるのはやはり、RPGなどの世界に出てくる魔法使いの存在だった。

 色々と突っ込みたいのは山々だったが、今はそれどころじゃない。

「……そうだ、ジーちゃんは……!」

 彼方は立ち上がり、走り出す。

 と、視界の端で座り込んだままの西花に気づく。

 まずは西花に駆け寄り、彼方は呆然としたままの西花の肩を揺すった。

「おい、西花。しっかりしろ、おい」

「…………あ、え?」

 ようやく目の焦点が合ったように、西花は気がついた。

「あ、れ……? 私、どうしたんだろ……?」

 記憶が混乱しているようだが、どうやらケガはしていないようだった。

 ひとまず胸を撫で下ろし、彼方はすぐに家の中へ向かった。

「あ、ちょっと彼方……」

 言いかけて、西花も今頃になって彼方の家がひどいことになっているのに気づく。

 すぐに彼方の後を追いかけるのだった。


「ジーちゃん、しっかりしろよ! ジーちゃんってば!」

 源三は和室の奥で倒れていた。

 が、幸運にも押入れの中の布団の山がクッションになってくれたようで、大きなケガはしていないようだった。

「……む、う? ありゃ、ワシは一体こんなとこで何をしてるんじゃ?」

 とりあえず大事がなかったので、彼方は今度こそ安堵の息を吐いた。

 その後、どうして家の中がメチャクチャになっているのかということで議論になりそうだったが、とりあえず今夜はもう遅いので、詳しい話は明日にしようということになった。

 一階はほぼ半壊状態だったが、二階はほとんど無傷だった。

 唯一、彼方の部屋の窓ガラスだけが割れていた程度だ。

 源三は二階の空き部屋に移動し、今夜はそこで休むことになった。

 彼方は部屋のガラスの破片を手早く片付けて、そのまま部屋で休むことにする。

 西花は念のため警察を呼ぼうと言っていたが、幸い大きな騒ぎにもなっていないので、源三はそれを拒否した。

 納得がいった様子ではなかったが、間もなくして西花も自宅へと戻っていった。

 ようやく落ち着いた頃には、夜はすっかり更けてしまっていた。


 そして彼方は、部屋の中であの赤銅色の狼と向き合っていた。

「……助けてくれて、ありがとうな。お前がいなかったら、どうなってたか……」

「礼には及ばない。お前が私のマスターなのだから、守るのは当然だ」

「……それじゃあ、話してくれるか? 俺が知らない、お前が知っていることを」

「長くなるかも知れんが、構わぬか?」

 彼方は頷いて答えた。

 そして、長い夜が始まる。



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