火山噴火
翌日、目が覚めるとそこに唯の姿はどこにもなかった。
よくあることだ。特に部屋をめちゃくちゃにした次の日とかは特にな。
その理由としてはーーコレだ。
寝室のドアを開けて部屋を出ると、昨日の惨劇がまるで嘘か幻のように綺麗に片付いていた。
破壊された防弾ガラスは新品に交換され、弾痕だらけの壁は塞がれて真新しい壁紙が貼られている。
床に散らばっていた薬莢は一つ残らず回収されているし、壊れたはずのTVとソファもまるで時間が戻ったかのよつに直されていた。
これぞ唯の得意技『完全隠滅』。
何度味わっても慣れないな。
まるで昨日の惨劇が悪夢だっくたようだ。
午前中はカジノ警備の依頼任務の手続きをするために学校へ行って登録申請と説明を受けて終わった。
どうやら来週の月曜から水曜にかけて行うらしい。
今日の夕方には各個人に支給品としてカジノ警備員の制服が送られるとの事だ。
手続きが終わると強襲科の授業が始まるまで近場の銃砲店へ入って行った。
店内にはPMB生徒が数人いるだけでガランとしている。
「ん?そこにいるのは京介の坊主じゃないか?」
不意にかけられた声に振り向くと店内の奥から黒色の丸サングラスをした初老の爺さんが出てきた。
「やぁ音さん。久しぶりだな。」
彼は音。元中国武器密売組織:『龍の四肢』の天才商人としてその名を知らぬ者なしと言われるほどに有名人だったが、10年程前にSランクPMBに逮捕され司法取引により現在はこの浮島で管理・保護を受けながら銃砲店の店主を務めている。
「前のM4の調子はどうじゃった?あれはPMCでも使われる程の高級品じゃったから扱いやすかっただろう。」
「あぁ、なかなか良かったよ。」
「そうじゃろそうじゃろ♪して、今日はなんのようじゃ?」
蓄えた白ヒゲを撫でながら聞いてくるその様はまるで中国映画に出てくる達人のように見える。
「単なる暇つぶしだよ。午後から強襲科の授業だ。」
「なんじゃ、つまらんのぉ。まぁええわ、ちょうど暇してたところだしの、ちと付き合え。茶くらい出してやる。」
人差し指でくいくいっとやりながら音はまた店の奥に入って行った。
なんだ?
とりあえずついて行くと灰色のカーテンで仕切られた奥は和室の居間になっていてTVと卓袱台、それと何故かPS3が置かれていた。
「どーしてもこの面がクリア出来なくてのぉ。」
そう言ってTVをつけてPS3を起動させるとMGS4と出てきた。
ーー何故今さらメルギア?!
しかも、クリア出来てないってメリル達と遭遇したところじゃん!!
「・・・音さん、これランクは?」
「もちろんイージーじゃが?」
「プレイ時間は?」
「ちょうど一週間前からやりこんでおる。」
嘘ぉ・・・
信じられない・・・俺はかつてこれほどまでにゲームを出来ない人を他に知らない。
どんなに出来ない奴でも一週間やれば大抵できるもんだが・・・
「貸してください・・・」
音さんからコントローラーを借りると昔やりこんでいたゲームなので操作方法を思い出しながら進めていく。
初心者にはオススメの装備としてP90をメイン(がないので今はM4を装弾。)に拳銃はGSP他にはC4と焼夷手榴弾を装備しておいた。
「良いか?このステージに出てくる敵は貫通性の高い武器じゃないとヘッドショットができねぇんだ。」
「ほぉほぉ。拳銃は何故GSPなんじゃ?オペレーターがあったろうに。」
「同じ口径でもこっちの方が装弾数が多く反動が少ないからな。ついでに行っとくがナイフは絶対に常備しておけよ。」
小首を傾げる音はよくわからんと言った表情だ。
ゲームがスタートして装備を整えると出てきた敵の頭を撃っていく。
最初の4体を終えるとまたすぐに4体出て来るがその間に仲間とは反対側走って落ちていたP90を拾い上げて使えるようにしてからM4を外して装備する。
それを終えると上から敵が1人2人降りてきたのでCQC(徒手格闘)とナイフアクションにより対処していく。
このゲームに出てくるナイフはスタンナイフと呼ばれナイフとスタンガンを合わせたようなある種究極な武器がある。
ーーこんなのあったら良いよなぁ。
「なぁ、音さん。このスタンナイフって作れたりするのか?」
笑いながら冗談交じりに聞くとそれまで見入っていた音が顔を上げた。
「まぁできん事もないじゃろうな。ただ電圧がどれほど高まるかは不明じゃが・・・」
出来るのかよ!逆にびっくりだわ!
でもまぁ、昨日の唯が自作した弾丸、BE弾の事を考えるとむしろこっちの事の方が簡単な様な気がしてきた。
「へ〜、そうなんだぁ・・・あ。終わったぞ。」
適当に話している間にも無意識にゲームを進めていた俺は画面を見て自分でも驚いた。
「な、なんじゃと?!」
驚愕する音を横目にすっかり飽きてしまったので部屋の壁掛け時計に目をやると12:30を指していた。
んー、まぁちょうど良い感じかな。
「んじゃあな、音さん。頑張れよ〜。」
そう言ってそそくさと店を出て行った俺は小走りにも強襲科のD棟に急いで行った。
が、さすがに腹が減ってきたから途中購買による事にした。
「あ、京介さーん!」
購買でメロンパンとアンパン、牛乳。それから今日使うであろう弾丸.45ACP弾50発を購入して出て行こうとしたところを正面から来るちびっ子体系の茜が手を振りながらやってきた。
ーー相変わらず小動物みたいな子だなぁ。
「あぁ、おはよう茜ちゃん。どうしたんだ?そんなに急いで・・・」
「えっと、お姉様から聞きました。」
お姉様・・・?あぁ、皇さんのことか。
そういえば部屋の中でもずっとそう言ってたな。
「来週二泊三日でカジノ警備何ですよね?」
「あぁ、そうだが何か問題でもあるのか?」
「その間の宿泊場所とかってどうなってるんですか?」
あぁ、そっか入ったばっかだからその辺のことはまだ知らないのか・・・
「一応向こうが場所を提供してくれる事になってる。それから課外授業って事で学校では欠席にならず金と単位が貰える事になってる。」
「へ〜、そんな風になってたんですねぇ。ありがとうございます♪」
ぺこりと頭を下げてきた。
ーーなんつーか、愛され小動物の妹系って感じな子だよな、本当・・・
「良いって、そういえば茜ちゃんって何の学部?」
「諜報科で今は射撃訓練をしています♪」
諜報科、それは簡単に説明するとスパイを育成する学科の事だ。
爆弾の生産から解体、現地での諜報活動などを主体に行う場所だった。
「ほぉ〜。「暗部」になんかいるのか。」
暗部とは諜報科の別称で暗殺学部の略称だ。
まぁ、実際本当に人を殺してるわけじゃないから間違った呼び名ではあるがな。
「色々と見学したんですけど、やっぱりここが良いかなって思ったんです♪」
「そりゃ結構なことじゃ・・・ん?ちょっと待て、暗部にいるんだよな?」
再度確認するように聞くと茜は不思議そうに小首を傾げる。まるで「そうだけど、それがどうしたの?」とでも言いたそうだ。
いやいや、不思議なのはこっちだぞ。
何で強襲科の皇さんと諜報科の茜がシスターになっているんだ?
通常。このシスター制度は同じ学部同士の上級生が下級生を個別指導する為に設けられたシステムだ。
別の学部同士でのシスターもまぁ、なくはないがそれでも相性の良い学部とだけだ。
一方、諜報科と強襲科の相性は最悪。
学校内での喧嘩騒ぎは日常茶飯事だが、その内の70%以上が諜報科と強襲科だという。
「・・・じゃあどうして皇さんとシスターを?」
最悪なまでに危険な学科同士がシスターを組むなんて可笑しいにも程があるだろ、と流石に限界が来て思わず聞いてしまった。
「・・・中学の時までは強襲科に居たんですけど、そこである任務の時に危ない目に合って、その時お姉様に助けてもらったんです。そしたらお姉様が『貴女は強襲科より諜報科の方が向いてます。』って言われたんです。」
「なるほど、だから諜報科に入っても皇さんにシスター申請したのか。」
「はい♪」
まぁ、確かにそれだと納得出来るが異色のコンビってのには違いないな。
苦笑しながら話しを終えると別れてD棟に向かうことにした。
D棟に着くと既にほとんどの生徒が集まって訓練用防弾防刃兵装に着替えている。
ズボンは紺色をした長ズボンで膝にはプロテクターが装着され上は白の防弾Tシャツ。
両腕には籠手の様なプロテクターが装着している。
(あれ、何かちらほら黒翼を着てる奴がいるな・・・)
訓練兵装、通称:白翼の中に混じって何人かが実践用の黒翼を装備しているのに気づいた。
「おい、京介!まだ着替えてなかったのか?」
声を荒げて呼ばれるとそこには黒翼を装備した要がいた。
「何慌ててんだよ。」
「良いからさっさと着替えろ!」
「何で?」
「昨日阪神が負けたからだよ。」
「な・・・なに?!」
阪神の負け・・・
それはこの強襲科では絶対にあってはならない現象の一つだ。
もし、それが現実となった場合、『憤怒の鬼神』こと杉本 千花先生が悲しみ怒り狂って鬼も・・・いや、閻魔さえも裸足で逃げ出してしまうような訓練メニューが言い渡されるのだった。
非公式ではあるがこの場合の生徒の負傷者数は普段の30%上昇し生還率は15%現象してしまう。
「だから早くしろ!マジで今回は死人が出るかもしれねぇから黒翼も装備した方が良いぞ!」
「わ、分かった!」
俺は慌ててロッカーへ行き黒翼に着替え始めた所で要からメールが届いた。
(メール?)
パカッと開いてメールを開くと新聞の切り抜きらしき画像が出てきた。
『渡辺まさかのピッチャー返しで頭部負傷?!』
な、なんだとぉぉ?!!
何で敗北+渡辺負傷してんだよぉ!!
千花先生は心の底から尊敬というか敬愛というか、とにかく究極な彼のファンで彼が負傷したとあっては最早訓練ではなくなってしまう。
「おいおい、嘘だろぉ?」
俺は完全装備をして講堂にいる要を見つける。
「おい、要!どういうことだこりゃ!」
「知るか!俺も通信科と情報科からたった今貰ったんだよ!」
要もかなり動揺しているらしく様々な情報のやりとりをしている。
ーーズシンーーズボンーー。
恐竜でも歩いてるかのような巨大な足音が教員室から聞こえてきた。
その気配はドンドンでかくなり、鉄製のドアが開かれた瞬間。
ビュォォッ!窓も開いていないのに真っ黒な気配が飛び出してきた。
その中から現れたのは、涙を流しつつ怒りで我を失ったような千花先生がいた。
いつもはホルスターに収められているリボルバーの火山を右手に持ち、左手には今朝のスポーツ新聞が握りしめられていた。
遠目で少し分かりずらいが、その新聞の見出しには『渡辺頭部負傷により選手生命が終ってしまうのか?!』と記載されていた。
ふざけんなよ、新聞記者ぁ!!
終わってたまるか!ってか終わらせんなぁ!!
「か、要。早く職員室に電話しろ!死人が出るぞ!!」
震える声で要に呼びかけると動揺しながらも携帯で連絡し始める。
俺は微かに動く千花先生の唇を読む。
『コ、ロ、ス。ヤッタヤツ、ミナ、ゴロシ。』
・・・よ、読まなきゃ良かった。
「ぜ、全員臨戦大勢!敵、杉本 千花!!絶対にここから外に出すなぁ!!」
号令と共にその場にいた全ての強襲生徒が銃を抜き取る。
ーグ、グアアォォォォォッッ!!
先生が咆哮にも近い雄叫びを上げた瞬間、姿が消えた。
ドゴォンッ!そして、消えたと思った姿は突然人が水柱のように宙を舞った時に確認出来た。
さっき先生がいた場所から人柱が上がった所までは少なくとも20mはある。その距離を一瞬で詰めたのだ。彼女は!
「マジかよ・・・要、職員への連絡が終了したら狙撃科にも連絡しろ!」
こりゃ、甘く見てたらマジで死ぬな・・・。
そう思った俺は両目を閉じて暗い意識の中に堕ちていく。
ーー手を貸せ。暴れさせてやる。
手を貸せ?おいおい、貸して下さいだろ?
ーー?誰だお前、狂じゃ・・・ないのか?
狂?心外だな。あんな乱暴者と一緒にしないでくれよ。俺の名は欄だよ。
バリバリッ!自分の中で化石とかしていた体が動くように起き上がった。
んー・・・初めてこの体になったけど、悪くない。
京介、少し悪いけどこの体、借りるね。
大丈夫だよ。アレを止めたらちゃんと返すからさ。
(・・・色々聞きたいことがあるが、後にしてやるよ。)
「じゃあ始めようか。喜劇の第一幕『悲怒の冷却』」
欄はそう言ってホルスターからMK.23を出して千花先生の元へ走っていく。
彼女の戦いぶりはさながら鬼か悪魔のようにも見えたが、それを明らかに凌駕していた。
今はAランク7人に取り囲まれているが、まるで赤子の手を捻るように足止めにもなっていない。
しかも先生は男子生徒の首を掴んで盾のようにしているため迂闊に発砲できない。
仕方ないな・・・余り使いたくなかったが、やるしかないようだ。
「・・・悲しいなぁ、綺麗な女性が今は獣よ様に狩をしている何て・・・悲しいよ。そんな悪い子にはーー調教が必要だね。」
そう言った瞬間、千花先生はこちらに向き直って例の雄叫びをあげようとした。
させないよ。
欄はそれまで銃を持っていた腕をまるで円を描くようにして回しながら撃った。
バァンッ!
弾丸は真っ直ぐ盾にされている男子生徒に当たると思われたが、弾丸はまるでその生徒を避けるかのように右に迂回して後ろに隠れている先生の左脇腹に命中した。
「グォッ!?」
突然の衝撃により先生は盾から手を離す。
「偉い偉い。でも、まだ終わらせてあげないよ?悪い子にはお仕置きが必要だからね。」
「グォォッ!!」
完全に獣と化した先生が13㎜拳銃『火山』と左手には小太刀が握られ、火山が火を吹いた。
バアァンッ!バアァンッ!
ーー銃声というより爆発音だな、まるで。
鼓膜にビリビリくるぞ。
弾丸は真っ直ぐ俺の頭部と胴体を捉えているが、今の俺ならそれは何の意味もない。
バァンッバァンッバァンッ!!
3発の銃弾を撃ち、初弾と次弾の弾道を掠める事によって軌道を変える。
そして残りの1発を火山の銃口に命中させ使用不能にする。
一瞬の光景に周りは静かになるが、千花先生は未だに戦意を喪失していない。
火山が使えないと分かると先生はそれを捨ててもう一刀の小太刀を抜き取る。
だが、その行動は明らかにおかしかった。
『先生が銃を捨てた』それは絶対にありえない事だった。
『自分の武器は自分の恋人だと思え。片時もその恋人を離したり乱暴にしちゃいけねぇ。』
それは他でもない千花先生の教えだ。
だから自分の恋人を捨てた千花先生の行動が俺も含む全員が不思議に思った。
ーーバァンッ!
何かが突然千花先生の顎先を掠めていくのが見え、その一瞬遅れて銃声が館内に響いた。
先生はカランッカランッと音を立てて小太刀を落とすとその場に前のめりに倒れる。
飛んできた方向をみるとそこにはナイツ・アーマメント/SR-25を構えた唯がいた。
唯はマガジンから1発だけ銃弾を出してそれを見せてきた。
(・・・ゴム弾か?)
先端が黒い塊みたいに見えたので恐らくそうだろう。
唯はマガジンの弾をゴム弾にすり替えて千花先生に向けて発砲。
弾は先生の顎先を掠めて先生を気絶させたってところだろうな。
高い技術と冷静な判断がなければ出来ない事だ。
ゴム弾と言えど当たって死ぬ事は少ないがそれでも頭部に当たれば深刻な重傷になる。
下手をすれば脳内出血により死亡することもある。
俺はPMB専用のチタン合金で出来た手錠を二つポケットから出して再び暴れださないように先生の両腕に拘束した。
(ん?何だ、コレ・・・)
俺は彼女の首筋に丸いシールの様な物がついていることに気づいた。
それは皮膚と同化するように肌色に塗られて髪で隠されていたから戦闘中は気づかなかったが、剥がして裏返しにしてみた。
(新型の盗聴器・・・いや、そんな安っぽい物じゃないなコレは。)
裏には指先程のシールからは想像もつかない程に機械のような物がびっしりと詰まっていた。
コレはあの人の所へ持って行った方が良さそうだな。そう思ってそれをポケットから出したコンパクトケースに入れてしまっておいた。
そしてようやく、騒ぎを聞きつけた怠慢な職員が数人慌てた様子もなくD棟に入ってきたが、中の様子を見て流石に驚いたらしい。
慌ててコッチに駆けつけてきたのは由香里先生だった。
「千花?!・・・京介君。どういう事か説明してもらえますか?」
元パートナーがぐったりしてその上二重拘束までされていたので流石にいつもおっとりキャラとして有名な由香里先生も余裕がなくなった様子だった。
「えぇ、いいですよ。でもその前に先生を医務室・・・いえ、監禁病室に
移動しましょう。」
「!・・・京介君、それじゃあまるで千花が犯罪者か異常者みたいじゃないですか?」
ふつふつと煮えたぎる怒りを抑えている様子だがするが、事実だ。
だが、ここで彼女を怒らせるのは得策じゃないな。
「・・・すいません。出過ぎた事を言いました。だけど、由香里先生ならこの周りの惨状を見てどう判断しますか?」
そう言って周囲を見回すと千花先生に薙ぎ払われた生徒がバタバタと倒れている。
状況を飲み込むのに若干時間がかかった様子だが、すぐに理解してくれた。
「・・・わかりました。移動しましょう。話はその道中に聞きます。」
着いて来いといっているらしい。
まぁ、最初からそのつもりだったので何の抵抗もしないがな。
コクリと一度だけ頷いて俺は由香里先生に抱きかかえられた千花先生の後に着いていく。
他の先生は事後処理といった様子で他の生徒から話を聞いている。
あぁ、よく分からないがこれ以降は面倒くさそうだからそろそろ、戻るね。
ーー都合の良い奴だな。
危機は回避して上げたんだから感謝してほしいくらいなんだが?
ーーまぁ、さっきのは危なかったよ。ところで欄、お前は・・・
ストップ。今は疲れてるの。だから質問はまた今度にしてくれ。あぁ、それとさっき回収したサンプル。ちゃんと渡して起きなさい。
ーー分かってる。
じゃあ、おやすみ。しばらく寝るわ。