いらない想い
誤字脱字がありましたら申し訳ございません。
こんなものいらない。
こんなものがあるから、あの人との距離が縮まらない。
でも、こんなものがないと繋がれない、あの人と私の関係。
いつものように、先にシャワーを浴びるあの人。私はシーツに残る温かさと匂いに包まれる。
一番ほっとする時間で、一番どうしようもない時間。
どうしたら良いんだろう。
素直に言えばいいの?
そんな簡単なことなの?
自分でもバカだなって思う。情けな過ぎて、誰にも相談できない。
このままは絶対に良くない。
でも離れたくない。
バスルームの戸が開いて、彼が髪をタオルで拭きながらパンツ姿で出てきた。
「どうぞ」
痕跡を消す大事な作業。きっとこの人は、無香料のシャンプーやボディソープを使ったんだろう。シャワーの後なのになんの匂いもしない。
私が浴び終えて出てくると、彼は既に服を着てソファーに腰掛け煙草を吸っていた。テレビでは知らない海外ドラマが流れてる。
なんだろう。シャワーを浴びてただけなのに、もうこの人のそばに寄れない、近寄るなって雰囲気があった。
「ごめん、先に帰るけど良い?」
「え、なんで?」
「知り合いが近くで飲んでるから顔出してくる。今日制服じゃないから、ひとりで出ても大丈夫だよね?」
灰皿に煙草を押しつけて火を消すと、黒い長財布から紙幣を3枚取り出した。
「またね」
部屋の戸がパタンと閉じられた。
もっと一緒にいたかった。私を閉め出さないで欲しかった。
こんな汚いお金なんかいらない。
こんな叶わない想いもいらない。
次はもっと、普通の恋をしたいだけなのに、なんでこんなに難しいんだろう。
もう泣きたくない。
涙を拭ってくれるわけでも、抱きしめて慰めてくれるわけでもない人なんて、私から捨てれれば良いのに。
今ここで私が泣いていることに気付けば良いのに。
私のことを好きになれば良いのに。
援助交際を推奨していません。
金額の相場は分かりませんが、部屋代込みで置いて行きました。