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海の花火  作者: つみき
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第1話:日常

梅雨はどうも苦手だ。家から4km近く離れている中学校に歩いて通うのだから。ましてや中学は海に突き出た岬の天辺だ。100‰はあるのではないかと思うほどの急な坂を上らなきゃいけない。それを考えるとどうしても憂鬱になる。


俺は波野功希。中学2年だ。ただいま、その坂を登校中。

「…ところでさぁ、今日の一時間目なんだっけ?」

突然登場したかのようだが、ここまでの4キロを共に登校中の幼馴染、青山登である。

通称“青”。

「月曜日だから…ってしらねぇよ。A組の時間割なんか。」

当然のことを返す。俺はB組、青はA組だ。

A組・B組といってもC組は無い。1学年45人ほどしかいないため、当たり前だ。てか1クラスでもいいくらいだ。田舎だなぁ。

「…ったく。使えねぇ。知ってろ!」

「無茶言うな。そんくらい自分で知っとけ。」

青と俺はいつもこんな感じだ。


そんなこんなで無事学校に到着。

2Bの教室には既に生徒がうようよしていた。各々1つの机に集まっては無駄話をしている。

何故か女子は全員既に体育着にジャージ姿である。

この学校の女子は何故だかみんなそうだ。

下校時のジャージは許されているから、セーラー服姿は登校時や朝礼のときだけだ。本当にむかつく。

…と青が言っていた事にしよう。


「おっ、きゅん。来たな。」

机にかばんを置いたところで話しかけてきたのは隣の席の杉本拓馬。

通称たくさん。

「その“きゅん”ってのやめろ。」

「えぇ〜。いいあだ名じゃんか。」

「どこがだ。“波野くん”の“くん”の派生じゃないか。もっと固有のにしろ。」

そう、俺は一時期上級生の女子の間でマスコット的人気をはくした事があった(持ち前の童顔のせいで)。

当時、下校途中などよく「波野く〜ん!」などと声をかけられた。

仲間には散々からかわれた。

そのときのなごりがこのあだ名だ。

「まぁまぁ。気にすんな。授業始まるぞ。」

「ちっ。」

舌打ちをすると席に着いた。


あ〜あ。つまんねぇ。

1時間目は数学だった。

自分で言うのもなんであるが、俺はこれでも頭がいい。

学年一位も何度か経験済みだ(といっても1/45)。

かといってがり勉でもない。塾には行ってないし。

たんにのほほんとした学校なのだ。

まぁ今は問いを解く時間があまり、窓の外を眺めていた。

ちゃっかり一番後ろの窓際をキープ。快適な席である。


するとたくさんがシャーペンで右腕をつついてきた。

「何だよ。いてぇだろ。」

「まぁそれが狙いですから」

「ん〜(???)」

何だか当たり前のことだが、変な気分になった。何だこいつは。

「ところできゅんさ、真野有里って知ってるだろ。」

「あ?あぁ、当たり前じゃん」

真野有里といえばA組の女子だ。同じ学年の生徒の名前なんて知らないほうがおかしい。

「…真野がどうかしたか?」

たくさんのいつに無く真剣な眼差しに息を呑む俺。

「あいつな実は…」

身を乗り出した先には黒いものが。ん?布

上を見上げると学年主任であり数学担当の犬顔、島根幸二(38)。通称ネコ。

「波野、杉本。。。楽しそうだなぁ。あぁ?」

それでもたくさんはひょうひょうと言う。

「ええ、楽しいですよ。先生も入りますか?」

「そうだな、じゃあ後で職員室はどうだい、杉本君。」

「よろこんで。」

杉本のこういうところは尊敬に値する。

問題は明らかに悪化しているが…。


…そういえば真野の話何だったんだろ。

そんなことを考えながらの職員室までの道のりだった。

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