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第五話

生暖かい。

たくさんの回路とデータがそこらじゅうに張り巡らされている。

レオは裸だった。

寒いなと思い、辺りを見渡すと、服があった。しかし、押し花のように薄い。長い長い廊下のように続く、光の道。レオは紺色のシャツと短パンのに近づくと、そっと手に触れてみた。

パンッと小さく破裂音。

見るとレオは服を来ていて、寒くはなかった。


レオはこの場所を知っていた。なぜなら、自分が生まれた場所だったからだ。ここで皆生まれたのだ。勇者も、モンスターも。


光の道を進んでいくと大きなモニターがあった。何かが戦っている様子である。レオはそのモニターをじっと見つめる。戦っているのはモンスターと勇者だ。


モンスターが勇者の左手をもぎ取った。勇者の顔が歪んでいる。モンスターは勝ち誇ったように、勇者を睨みつけていた。

「なんてリアルなんだ……」

レオがもうダメだと思った瞬間、勇者はモンスターの首を切り落とした。すると、その切り落とした頭も持ちながら踊りだしたのだ。タクマはレベルアップした。とメッセージが流れ、軽快なメロディが鳴り響く。レオはこの異様な景色を見るのが苦痛になり、すぐさま目を逸らした。

目を逸らした先にまた、モニターがあった。勇者が村人に話しかけているようだ。

「最近、南の方から強い邪気を感じるのです。あ、それは勇者の証!もしや…あなた様は…!!!……旅をしておられる様子ですね、城に行ってみてください。王が貴方を待っています」

村人はレオが昼間(と言ってもいつまでも昼間だが)に話しかけた、あの女だった。


なるほど。とレオは思った。何故、彼女が俺を勇者だと思ったのか。それは普段話すことなど出来るわけが無い村人同士が会話をしてしまったから、彼女が誤作動を起こして俺を勇者だとしたのだ。

レオは気が付いた。ここがゲームの世界だと。

いや、今まで知らなかったわけじゃない。ただ、気が付かないフリをさせられてただけだ。

レオはそのまま目を瞑った。



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