第一話
久しぶりに懐かしい昔のゲームをしようと思ったことはありませんか?そんな時、大体のゲームは起動しません。理由はいくつかあります。落下、汚れなど。仕方ありませんね。それでも無理矢理、起動させようなんて思わないでください。今、ゲームの世界で小さな革命が起きているのですから。
ここがゲームの世界だと誰もが知っていた。けれど、誰も気付かないふりをしていた。
自分が不自然な存在だと気が付いたのはつい昨日の事だった。
村人は何回、話しかけても何か次のステップに進まなきゃ、新しいことは言わない。それに村では村の、森では森のメロディがずっと流れて、それが普通だと思わなきゃならなかった。
それに、誰も死んだことはなかったし生まれてくることはなかった。隣の奥さんは毎日死んだ夫の話をするが、誰も、奥さんでさえも死んだ夫を見たことがないし、若い女はいつまでも身籠り新しい命の誕生を待っていた。
四季は無く、常に同じ植物が同じ場所に生える。
この世界は唐突だった。誰も自分がここになぜ住んでいるのか、なぜ森にはモンスターがいるのか、誰が本当なのかを知らなかった。命のリレーなどない。私たちは生まれたのだから。
そんな世界。
そんな世界。
そんな世界に新たな命が生まれた。彼は突然現れ、自由に世界を歩き回った。
勇者。
ではない。
彼は、この世界のバグだ。