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1話 本日も曇天なり

季節は春

動物はまだ寝ぼけてる眼を擦りながら、人は浮き足立つ心をわくわくさせながら、日の元へと出て行く。


でも、僕は違う。


まだ冷える身体を毛布で巻いて、2階の僕の部屋から1階のリビングへと降りる。

 だが、そこには、数ヶ月前まで響いてた慌ただしく玄関を駆けてく父の足音も

それに困ったように微笑を浮かべながら、僕を起こそうと2階へ上ってくる母もいない。

 僕の家だけなら悲しい気持ちも沸いただろうし、ヒステリックにもなっただろう。

 制服へ着替え、机の上に置いておいた小型通信機を手に玄関を開け外へ出た。


 そして、目の前に広がる地面を突き破り出てきた沢山の植物や、所々に浸水して出来た水溜りを見て肩を落とす。

 地球温暖化が進み、環境が逆行かし始めた地球を人類が捨て去ってから3年目の春が始まる。


「おはよっさん。今日も相変わらずブルーだね」

 通学路の途中で僕の幼馴染にして、この町に残ってる最後の人間に出会う。

 僕は、晴海の明るく素直な所が昔から気に入っていた。

「おはよ。火星からの連絡あったか?」

「もう少しで国として必要最低限機能する場所が作れるから、お前達の移動はそれからだってさ」

 晴海は僕に歩幅を合わせながら、日頃に溜まっていく両親への不満を僕にぶつけてくる。

「けどさ、久しぶりの電話だったのに娘の心配もせずに切るって酷いよね、ね?」

 正直、同意を求められても困る。補足しておくと晴海の父、正臣さんは火星移住計画住宅開発部部長

という偉い役職についているために、時間が無いのだと思う。

「ん、まあ、忙しいんじゃないの。それより今日の先生役やるための予習やってきたか?」

 大人・老人・若者・小さい子供は先に火星へと移っている。

 よって高校2年生へと成り立ての僕達以外居ないため、教師役と生徒役を日替わりでやっている。

「うん、バッチリだよ。今日は何やる?お勧めは、歴史か地理か公民なんだけど」

 全部得意教科だった。

 どうやら、バッチリではなかったらしい。

「晴海、僕が昨日最後にメール送った後何やってたの?まさか、すぐに寝ちゃったのか?」

「半分正解かな。正解はお風呂の中で寝ちゃった、でした」

 残りの通学路を僕はずっと頭痛に苛まされながら歩く事になった。



用語解説

火星移住計画……悪化していく地球温暖化を止める事が出来ずに、地球は原始の環境へと逆行しはじめた

        このまま人類が滅んでしまう事を恐れた国連とNASAが打ち出した解決案。

        今は人が住めるようにするために各国から集めた大人や若者が開発を行っている。

        子供や老人は医療機関に通いやすいようにと先に移住させている。








週1~2のペースで書いていけたらと思っています。


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