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生徒会なんて正直誰かに任せたい  作者: そらいろさとり


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9/12

やれたらいいと思ってるわ





「あぁぁぁぁぁぁぁ〜……! ひとまず入学式は無事に終わったでぇ〜。しっかし流石レイやなぁ! 壇上でも凛としとったで!」


 入学式が終わり、生徒会室に入れば共に入ったロットが腹の底から息を吐きながら私の背中に手を当てて褒めてくれる。


「いい経験だっとは一概に言えないけど、まぁ人目には慣れてるからね」

「そらお疲れさんや」


 そう安堵したとばかりにロットから今度は背中を軽く叩かれていれば、リランくんも後から生徒会室へと入ってくる。


「お疲れ様〜♡ さっすがレイねぇ〜。壇上で立派だったわよぉ。急遽生徒会長になっただなんて思えなかったわ」

「むしろリランくんが生徒会長になれば良かったんじゃないかな。話も慣れてそうだしね」

「やぁねぇ。ウチは人前だなんて緊張しちゃうわよ〜♡」


 明らかに嘘でしかないその言葉に笑みを返せば、リランくんも同じように笑みを返される。そんな様子をロットが「怖っ」と呟いて、そそくさとお茶を淹れてくれた。


「まぁ何はともあれお疲れさんやな。でもリランはん、会場におった?」

「やぁねぇ〜勿論いたわよぉ〜♡」

「そうかい? まったく見えなかったけどね」

「いたわよぉ〜♡」


 確かに居なかった筈だが、問うより先に広げられた今年度の資料は、たしかに大切なことではあると視線を移す。


「年間活動の予算やら、生徒や教師からの依頼もあるでしょうけど、生徒会の大きな仕事と言えば秋の魔法祭ね」

「いやその前の夏に生徒会選挙があるやろ!?」

「前の生徒会長がそんな短期間でまた生徒会メンバーの変更したら大変だろうからって、次回の生徒会はレイとロット。それにウチがそのまま引継ぎ出来るようにしたらしいわ」

「まさに余計なお世話やな!!」

「ホントよねぇ〜」


 頬に手を当てて溜息を吐くリランくんに「それは変えられないのかい?」と聞けば、首を振られる。



「考えてもみなさいな。生徒会役員なんて今から募集すれば、ここには名誉大好きだけど、お仕事嫌いな大物貴族。それよりも女生徒がレイ目的に大賑わいになりそうじゃない?」

「うぐっ!」

「そんなにはならないよ」


 ロットとリランくんがこちらを見て呆れたように見つめてくるが気にせずにいれば、リランくんは嫌そうな顔をして言葉を続ける。


「一国でも揺るがしそうな顔してよく言うわね。……でも、ま、ウチはアンタ達とやってけたらいいと思ってるわ」

「なんでや」


 嬉しそうに呟くその言葉に、ロットが頭を掻きながら少し照れくさそうに聞き返せば、リランくんはやはり微笑んで見返して、



「昨年からウチ達生徒会の手伝いをしてくれたし、手際も良いし、なにより流れもわかってる。この雑務に追われる生徒会を今更無知な誰かに丸投げできる気がしないもの」


 そう言いながら目の前に資料を大量に出されては、確かに昨年から手伝っているからこそ最低限の知識はあるが、それでも追い切れる物ではないと、ロットと顔を見合わせる。


「やっぱオレら……!」

「今年はアマトワ王太子も入学したわけだし、今この時期に辞める辞めないと下手に騒ぎは起こして目でも付けられたら大変よ〜? だからウチらでなんとか頑張りましょうね♡」


 その言葉にロットももう一度顔を見合わせてから、互いに顔を顰めると、


「……せやな」

「……そうだね」


 そう返すことしか身分の弱い我々には選択肢が無かったと、しかしこの返事を後悔するのは……すぐ翌日のことだった。



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