好き放題に適材適所!
「あかん。目ぇチカチカする」
「白い紙ばかり見ていたからね」
暫く書類に向かい合った後、互いに目を抑えていれば、机で音が聞こえたと視線を送るとそこにはお茶が出された。
「お疲れさん!! いやぁホンッッット助かるよ!! レイに関しちゃ優勝者様を翌日からこき使って悪いなぁ〜」
悪いと言いながらも全く悪びれもせず笑って、持ってきた人に勧めるより先に隣のソファでお茶を飲むのは生徒会長であり昨年の魔法祭優勝者のドワイト先輩。
その姿はグラヴァルド先輩ほどではないにしろ、身体は人よりも大きく筋肉量も多く、濃い茶色の髪は常に短髪に切り揃えている。
「昨年の優勝者が出なかったからたまたまですよ」
「ははっ! そう言ってくれてありがとな! でもまぁ、あのグラヴァルドを何はともあれ倒したんだろ!? いや、悪いが忙しくて見れなかったんだけどな」
やはり悪いとは思ってない態度で言うのがこの先輩の憎めないところだと可笑しい。隣ではロットが先輩から入れて貰ったお茶を飲んで「ニガッ」と小さく呟いてから、誤魔化すように話し始めた。
「そういや会長は昨年優勝しましたよね! オレら見に行ってはいたけど中等部の席はイマイチな場所で見えなくて。あれどないしたんですか?」
「あれか? グラヴァルド相手だからなぁ〜。策を練った!!」
「どないな?」
聞いてもらうことを嬉しそうに身を乗り出して説明しようとした時「ちょっ、何コレ!? 不味いわ〜」と、間延びした声が聞こえてくる。
「ちょっとぉ〜コレ入れたの会長かしら?不味くて飲めたもんじゃないわよ」
「え!? 茶っ葉入れてお湯入れたからこんなもんじゃ?」
「アナタ普段どんな淹れ方してるのよ。ちょいと誰か教えてやって。ウチが手に入れた美味しい茶葉ゴミにされちゃったわぁ〜」
「え、す、すみません……」
さっきまでの偉そうな態度と打って変わって、歳下のリランくんに大して頭を掻きながら怒られてるのを甘んじて受ける様子に、ロットと顔を合わせて苦笑いを浮かべる。
「レイとロットはちょっと待ってて頂戴♡ 今、改めて美味し〜いお茶出してあげるわ♡ 副会長が♡」
「え!? 自分が!?」
慌てたのは資料を両手に抱えた副会長。線は細めで身長はリランくんより小柄だが、男性でその肩まである切り揃えられたクリーム色の髪を仕事中は邪魔だと額が見えるように後ろに流してピンで止めている。
「会長の責任は副会長の責任よ」
「その法則ならリランさんも……」
「うちは無責任なの♡」
「それは傍若無人です」
「自分勝手と言って♡ それより早く先輩方、ウチとウチの同級生っていう可愛〜い後輩達にお茶入れてちょーだいね♡」
正に傍若無人に振る舞いに、会長と副会長も呆れた顔をしたあとに笑ってお茶とお茶菓子を出し始めた。
「なんだかんだでうまく回ってるよね」
「せやな」
楽しそうだと呟きあって2人で目の前のお茶を飲めば、やっぱりそれは渋くて飲めたもんじゃなかった。
暫くして出されたお茶をリランくんが一口飲めばその口角は少し上がる。
「まぁまぁね。アンタ達もそう思うでしょ?」
「いや美味しいですわ。……リランはんは好き放題やな」
「あらぁ〜♡ 美味しいものは美味しく飲みたいだけよ。ウチより副会長の方が美味しく淹れるってだけ。適材適所ってやつよ」
「ものは言いようだね」
同級生3人で話しながらお茶を飲んでいれば、また目の前に生徒会長によって資料が積まれる。
「ロットは悪いんだが、今回の魔法祭で使った予算の決済頼むな! いやぁお前は毎度正解で早くて助かるよ! 流石ペンニーネ商会の息子だな! そんでレイは来年度の入学式の準備の為に、今年度や昨年度とかの過去のやつ見といてくれ」
「ロットのは会計の仕事では? それに来年度の入学式にはまだ早くないですか?」
悪びれず積まれた資料は軽く出来る量ではないと、素直に言えば「会計は体調崩してて、入学式の準備はいつもこんなもんだ」と言われてしまえば、ロットと目を合わせて仕方ないと取り掛かることにした。





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