そんなん……ありか!?
【ちょっと半年位休学することになりました。ごめんなさいね。 リラン】
入学式翌日の朝。
生徒会室の私の机の上のその紙を見て、信じられないと固まっていれば、挨拶と共に入ってきたロットが私の返事がないと近付いて覗き込んでくる。
「ん? レイ、どないした……」
そうして私の手にある手紙を読めば、多分3往復は読み返しただとうあとに「なんやてぇぇぇ!!?」と叫び声を上げた。
「ちょ、昨日、リランはんがあぁ言って、俺ら3人でやるしかないって、教員にもその旨で手紙出しとったよな!!?」
「……そうだね」
「半年……、って、魔法祭もギリギリやないか……!!」
「そうだね……」
言葉が見つからないと、確認事項を繰り返す程度しか出来ずにいれば、ロットはそれ以上何も言わずに席へとついた。
「この時期に、手伝いに誰か探すにしたって、先輩は無理やろな……。同級生ったって、オレらの繋がりじゃ……役員としての実績も中途半端になるかもしれん。それに何よりこのお貴族さんの学園でオレらなんかの簡単に首を縦に振って手伝ぉてくれる人なんておらんやろしな〜」
一応貴族になる私も父の代で下賜された子爵、ロットに至っては商売をしている平民。
昨日リランくんの言っていたように、女生徒では……しかも身分も上であれば、正直うまく回せることは難しく、男性であれば尚のこと身分を笠に着られてしまえば、我々では共に働らくことは厳しくなるだろう。
「仕方ないね。ひとまず大きな仕事といえば魔法祭まではないし……」
「その魔法祭こそお偉いさんが集まるんやから大変そうやけどな」
「愚痴っていても仕方がないさ」
「お前のその変に諦めのいいとこは美徳とはならへんけど……まぁ愚痴る暇あれば動くしかないか……」
「ロットがいてくれて良かったよ」
「せやろ」
元々生徒会を先輩から手伝いを頼まれたのは自分だったのだと申し訳なく思うが、お礼も言わせてくれないその笑顔に苦笑いを返す。
「ま、入学式も終わったしな。ここから活動予算案は昨年のをほぼそのまま使えるやろし、オレらのこの一年でなんや劇的に変わることもないやろ。手伝いは見つかったらラッキーくらいで、なんとか気分くらいは楽にやってこうや」
「そうだね。新入生達も、基本は中等部からの持ち上がりだろうし、生徒たちも王太子殿下もいるなら、きっと大きな騒ぎも起こさないと信じよう」
「せやな。でもま、話によればしっかりした人やろし話すこともないやろ。お忙しいの筆頭や」
「そうだね」
これ以上悩んでも仕方ないことは悩むのをやめようと、ロットは頭を掻くと、「よっしゃ! 今日は気分転換に町にいこか! 生徒会経費で落とせそうなもん買うてこよ!!」
そう言って荷物を纏めて肩にかけるのを、私も笑って「最後はペンニーネ商会でロットのご飯が食べたいな」と言えば「それは経費で落ちませんので、材料費はフェリス子爵の自腹になりますがよろしいですか」と商会での営業モードに切り替わられて、思わず吹き出しながら「構いませんよ」と返すと、
「よっしゃ! めっちゃ贅沢したろ!!」
と、八重歯を見せて楽しそうに笑った。





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