第１話 今日も今日とてブラックです
あ～～～お腹空いた～～～！！！
こんな仕事なんかやってられっか！！！
って叫びたい気分の、赤月茜です。
何があったって？
パワハラ・セクハラ三昧のクソ社長の長ったらしい会議がやっと終わったのよ。
ただただあのクソ狸がうだうだ喋って自慢するだけの会議がね！！
ただ今の時刻、１５時。
ふっざけんな！！！会議始まったの１０時からだったよね！？
昼ごはんの時間返せよ！！！
…なんて言えるわけもなく。
今日も今日とて大人しく働いている社会人５年目です。
あたしが働いている会社はいわゆる中小企業のTHEブラック企業。
元々は海外留学の経験とかを活かして花形の出世コースに乗っていくはずだったのに、あまりにも酷すぎる社長のパワハラに苦言を申し上げちゃったところ、書類仕事が山積みのこの部署に左遷。
人事部から通達が来る前に勝手に左遷されることとかってあるんだね…。
さすがベンチャー企業だわ。
パワハラからかばってあげた人も知らぬ存ぜぬ知らんぷり。
まあ、普通そうだよね…わが身可愛いよね…。
一緒に大きな仕事を乗り越えた大事な仲間！って思ってたあたしがバカだったみたい。
やっぱりあくまでも他人は他人。
信じちゃダメね。
こんなクソ会社さっさと退職してやりたいところだけど
そんなすぐには転職先なんか見つからないし、
生きていくために渋々働いている。
しかも、たかがベンチャーだからか仕事の仕組化もぜんぜんできてなくて無駄な書類仕事が多いこと多いこと…。お陰様で毎日残業しまくって終電ギリギリで帰る生活。
そんな日々を過ごしていたら、唯一の癒しの料理をしてる余裕なんかなくて。
ほんとは大学の頃から一人暮らしを始めてから料理が趣味！って言ってもおかしくないくらいハマってて。今はネットで探せば便利なレシピ《クックパッド》がいっぱい揃ってるからね。レシピを参考にしてキャラ弁に凝ってみたりアニメの再現料理をしてみたり、海外の料理に挑戦してみたり、和食でほっとしてみたり…。徐々に料理が作れるようになってきたらサイトにレシピを投稿したりもしてたな～。
だけど、今は作る気力がない…。
気絶したようにカーペットで寝落ちて、朝シャンして死んだ顔で出社する日々。
つまりコンビニ弁当で済ませる毎日…。
自炊がしたい…。
あ、でも謎の抵抗に、マイ箸だけは携帯してる（笑）
それもあたしにとっては特別な箸。
おばあちゃんが誕生日プレゼントに…ってくれた、
赤色？朱色…かな？の箸でなんか金細工で金盞花の花模様が描かれている箸。
「箸のプレゼントはね？人と人を結びつける「橋渡し」の象徴でね。とっても縁起がいいの。
それに…食べることに困らないって意味もあったりしてね。茜、あなたにぴったりでしょ？」
そう言ってくれたおばあちゃんを思い出した。
そんなにありがたいなら、せめてこれで魔法の一つでも使えたらいいのに…書類仕事終わらせてくれよ…
なんて、冗談半分で思いながらコンビニ弁当を食べ始めた…
はずだった！！！
なのに、なにここ！？！
