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タネナシとキュウコン  take2  作者: 愛加 あかり
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金城くんとカメラ

東江は、赤嶺社長に頼み、家のセキュリティの為に、カメラを付ける業者を教えてもらった。

すると、好青年の金城くんが、姿を見せた。

ボッタクリの金城くんは、社長界隈では有名だった。




 

「赤嶺社長、防犯カメラを、取り付けて欲しいのだけど、何方か、紹介して頂けませんか」


 松田ナンシーの事件に、首を突っ込んでしまったので、少し責任を感じて、防犯カメラの設置を頼んだ。


「分かりました。何でも屋の金城を、紹介しますよ」


 そして、現れた好青年が、金城くんだ。


 俺は、肌が焼けるような、午後の陽射しに襲われながら。カビ臭い畳を外に出していた。


 大学2年を、2回目の金城くんは、モトクロスのバイクに乗り、けたたましく現れた。


「初めまして金城です。この度は、防犯カメラの設置と聞いてますが、合ってますか」


「間違ってない。依頼した東江だ、宜しく頼む」


 俺は、体臭から、カビの匂いがするのかと思うほど、畳を積み上げている。


「まずは、アパートの方から、お願いをして行こうか」


 俺は、作業を中断して、アパートの方へ向かった。

 影に入ると、風が流れて。涼しさを感じ取れた。


 アパートは、下駄履き式で。1階は、駐車場となっている。

 2階、3階、4階が、居住スペースで。各、5部屋ずつ、横に並んでいる。


 特徴的なのは、東と西にそれぞれ階段があり。2方向から、出入りができる。


「ここにも、頼む」


 俺は、ナンシーの住む、201の部屋が見える位置に、カメラをたんだ。

 各階に、東と西から、カメラで出入りを見張っている。


「踊り場は、どうしますか」


「踊り場は、要らないだろう。飛び降りや、殺害現場は、滅多に起きない。それよりも、駐車場も頼む」


 俺たちは、4階から降りて来て、1階の階段下から、駐車場が見えるように。反対も、同じだ。


「今の所は、8台です」


「それと、ガレージの上から、正面の出入り口を頼む。あのあたりだ」


「近くに寄ってからでも、宜しいですか」


 金城くんは、何かをメモしながら、歩いている。


 ガレージに近づいて。


「この辺の、上から、正面の出入り口に向けての映像が欲しい」


「それは良いですけど、東江さんは、外灯をお持ちですか」


「持っては無い。それも、適当に頼む」


「それでしたら、2年間の保証しますので、中古でも良いですか。メンテナンスも1年保証しますから」


「問題無い、任せる」


「有難うございます。それ手ですね、対人センサーと明暗センサーのどちらが宜しいですか」


「そうだな、明暗センサーをこっちに。対人センサーは、玄関に貰おうかな」


「玄関にも、カメラ。対人センサーっと」


 そのまま、ガレージを後にして。玄関に来た。


「ここの上にも頼む。ここは、アパートのと一緒で、音声も拾ってくれ」


「玄関は、マイク付きで。隠れるすき間に」


 また、スマホを取り出して、画像を2、3枚取り。

 細かく確認された。


「最後に、もう一つ。頼む」


「室内ですか」


「全然、後で、掃除するから、靴のままで構わないよ。少し、カビ臭いのは、我慢してくれ。朝から、窓お開けて、畳を捨てているが、匂いが取れない」


 俺は、土足で家に上がった。


「お邪魔します」


「仏間に、一つ頼む。以上だ」


「東江さん。これ本物のお札ですか」


 東江家名物、お約束の仏壇の百万円の束。


「本物だ。百万あるが。合計でいくらになる」


「すみません。東江さんは、パソコンをお持ちですか」


「いや、無いな。モニターを2つくらい付けて、くれ」


「東江さんは、ネットとか、このバソコンでなさいますか」


「いや。このパソコンは、監視と録画だけしてもらえればいいと、考えている」


「でしたら。中古を処分したいので、それでもいいですか」


「別に構わない。好きにしてくれていい」


「有難うございます。それでしたら、合計で、141万円になります。宜しいですか」


 東江は、少し考えてから。


「問題無い。少し行こうか」


 パソコンを設置する奥の部屋から移動して、仏間に着いた。


「ほら、前金の100万だ」

 俺は、仏壇の百万円を、金城くんに投げて渡した。


「うひゃー。皆、東江さんみたいに、気前がいいと、楽なんですけどね」


 金城くんは、100万を手にしながら、目を輝かせている。


「僕の機材は、市販の物を少しイジって、販売するから、高額なんですよ。説明しても、分かって貰えないし。途中でキャンセルもされたりします」


 高いのは、自覚しているようだ。


「それで、値切ってきたり。サービスしろと、うるさいんです」


「それは、しょうがない。人は、騙されたくないからな。改造だって、表からは見えないし。画素を増やしても、理解はされにくい。なら、他で、何かを得ようとする」


「そうです、セコ過ぎます」


「俺たちは、違うだけだ。騙されたと知った時点で、相手を、追い込む事だけしかしない。相手の弱い所を握って離さないし。逃がさない。メンツで、生きている動物なんだよ」


 少し、間を置いて。


「簡単に説明すると、法を遵守する人間と、人を、廃人に追い込む動物の違いだ」


 金城くんには、響かなかったようだ。


「100万を、確認しなくてもいいのか」


「東江さんを、信用してますし。もし騙されても、授業料で勉強代にします」


 いい心がけだが。


「その百万円を、少し貸してくれ」


 金城くんは、躊躇無く渡した。


「こうやれば、確認できる」


 俺は、100万の真ん中辺りから、1枚だけ摘み。落ちない事を確認させた。


 ぎっちぎちの100万円の帯は、摘んだだけでは落ちない。


「有難うございます」


 俺は、金城くんに100万円を返して、ショックを受けた。

 このネタが、ウケなかった。



 金城くんとは、良好な関係を築いていた。


 アパートを、掃除しながら。工事ぐわいを確認したり。お茶を、差し入れしたり。

 金城くんの軽トラを借りて、畳をし処分しにも行った。


 カメラは、全て有線で繋がり。アンテナは付いていない。

 残りのお金も支払い。2週間ほどで、仕事を終わらせてくれた。


 家も、大分片付き始めて、大きなソファーも捨てて、ベットになるソファーで、寝起きをしている。


 クーラーの取り付けに、一ヶ月かかると言われて。


 金城くんを召喚した。


 金城くんに、20∶00時から働いてもらい。

 6畳間に、直ぐ付けられると言うので、頭を下げ。割増料金を支払い。ソファーを移動させた。


 背に腹は代えられない。


 快適に眠れるのなら。30万は、惜しくない。


 蚊取り線香を焚いても、蚊に襲われる夜と、オサラバした。


 雨漏りを心配していたら、大雨になった。

読んでいただき、有難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

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