コンビニと隠しカメラ
俺は、カメラを手にして、コンビニの事務所へと向かった。二人は、予想に反して、口論をしている。
俺は、海雲高校前店のコンビニで、早苗と一緒に、調べ物を終えていた。
女子トイレの壁面は、タイルではなく、プラスチック製の壁材だったので。
壁を破壊する物を、コンビニの中から探した。
手っ取り早く、ペットボトルを選び。中身の半分以上を洗面所で流し。振り上げたペットボトルを、穴の近くに、振り下ろした。
「チョット退いてろ。これ以上は、ケガさせられない」
『ガン、ガン』
有りましたよ。公康の大好きな蜘蛛型のカメラが。3カ所も、トイレの中に有った。
「早苗、この事は、少し黙っていろ。コレは、俺が解決する」
「分かりました。私、ここで何度か、トイレを借りた事あるんだけど」
それを含めて、公康とは対峙しないと、行けなかった。
「一度、外に出るか」
早苗は頷いて。女子トイレを、滅茶苦茶にして、片付けもせずに、外へ出た。
本来の目的である、真琴にお金を渡す事を、忘れてはならい。
コスモに戻り、早苗に千円札を3枚取り出した。
「東江さん、真琴の事なんですけど。最近、変な男に言い寄られている、ようなんですけど。どうしたらいいですか」
コレって、どう答えたら正解なんだ。そもそも、正解なんてあるのか。
実の父親でも、悩むぞ。溺愛している変なキャラなら、その男を、殺害すると思うのだが。実の父親でも無いのに、答えていいのか。
「俺が答えていいのか、分からないが。真琴の気持ち次第だから、何ともいえない」
俺は、無難に凌ごうとした。
「母親の京子も、おおらかな所があるから、許すと思うけど。実際はなぁ。イエスとは、言いづらいな。もし、子供が出来ましたなんて、聞かされたら困るだろ」
「無理そうだな。だけど、変な男に、絡まれているのは本当です。バレーボール部のエースなんですけど。身長が高くて、顔は良いんですけど」
早苗は、ためらいながら。
「女遊びが酷いみたいです。他所の高校でも、話が広がるくらい、手を出してるみたいです」
何だそれは、少し羨ましいな。
高校で、モテモテか。縁がなかったからな。
「そんなにも、酷いのか」
「はい。あくまで、噂なんですけど。頭がバカだから、直ぐに二股がバレて、捨てられているみたいです」
それは困る。二股は、不味いだろ。
「そいつが、真琴に変なチョッカイ入れるようなら。怖いおじさんが、バックに居るぞと、伝えておいてくれないか」
「分かりました。東江さんがバックに居ると、伝えておきます」
「よろしく頼む」
ポケットから、3千円を取り出して、早苗に渡した。
「東江さん、コチラを先にお渡ししておきます」
USBメモリーを、警察官から受け取った。
十中八九、間違いなく俺の勝ちだろう。
「コチラの早苗さんの、言う通りですね。信号無視をしたのは、公康の方で。スマホも、手にしてましたし、無免許でした」
良し。俺はUSBメモリーを強く握った。
早苗も、喜んでいる。
「救急車は、呼んであるよな」
「はい。手配してあります」
「それじゃ、お疲れさん。帰っていいぞ」
「いえ、応援を要請しました。公康が、事務所で暴れたものですから、逮捕できなかったのですよ」
「コレから、逮捕されるの」
「その予定ですが。問題ありますか」
「少しな」
俺は、応援が来るまでに、二人を説得しなければならなくなった。急いで、コンビニの中へと入り、乱雑した事務所で争う2人を見た。
「お前のせいで、父さんまで警察に捕まるかもしれない」
公康は、机の上のモニターを左手で払い、床に落とした。
「違う。パパが嘘をつけって、言ったじゃないか」
父親は、モニターを拾いに頭をかがめ。
「儂は、そんな事言ってないぞ。バイトを頼もうとしただけだ」
公康は、追い打ちをかけるように、キーボードを払い。父親の頭に落とした。
「違う。パパが、全部悪いの。あのビッチも、最悪だよ。東江の知り合いだから」
『コンコン』
俺は、空いている戸から顔を出して、壁をノックした。
『ん゙ん゙〜』
「お前達の親子喧嘩には興味は無いが、公康の逮捕が決まった」
「なんで僕が、逮捕されないといけないんだ。あのビッチが、悪いに決まってるだろ」
公康は、ワンテンポ遅れて。
「ココは、部外者立ち入り禁止なの。早く出ていけ。さもないと……」
俺は、手の中の蜘蛛のカメラを公康に見せた。
「また、魔女っ子の話を検事さんとしてろ。このコンビニの契約が済んだら、釈放してやるから。今回は、家宅捜索も入るからな。家のパソコンのパスワードを教えないと、水没させて全てを消すことなるからな」
「ダメに決まっているだろ。そんな事をしたら、お前の家焼き払うぞ」
「それなら選べよ。アパートやコンビニで、隠し撮りしてましたって、言っていいのか。周りから、どう見られるのか」
父親は、パソコンを捨てて。公康の服を後ろから掴んだ。
「お前は、あの家に住めなくなるぞ。いいのか、母親も、外出出来なくなって。ご飯も作れなくなる。ネットの仲間も、『隠していたのか』って、相手しなくなるだろうな」
公康は、振り向いて父親の顔を見た。父親は、本気で公康を制止させようとしている。
「ネットで、叩かれているヤツ等を見て、笑っていたのに。住所を特定されたヤツ等が、どう生きているのか、目にした事くらいあるだろ。お前も、同じようになりたいか」
公康は、俺に怒りをぶつけようとしたが。叩かれているヤツ等が、脳裏をかすめる。
「公康、落ち着け。父さんが、丸く収めるから、少しだけ大人しくしててくれ。直に、拘置所から出してやるからな。言うことを聞いてくれ」
公康は、怒りを鎮めて、大人しくなった時に、警察官が訪れた。
「説得したから、公務執行妨害罪の件は、取り下げろ。父親を、盾に篭城していたと作っとけ」
「無線で、全てを話しましたよ」
「分かった。公務執行妨害罪で良いが。アルコールが、入っていた事にしろ。コンビニに着いてから、ビールを飲んだ。いいな」
「お前も、酒を飲んでろ。暴れた原因は、飲酒によるモノにしろ。応援が来るぞ、早くしろ」
父親が、バックヤードに走り、警察官が外に出て、応援に説明をして時間を稼いだ。
「嫌だよ。お酒嫌いなんだよ」
「分かった。家のパソコンが、どうなっても良いのか」
「ダメだ。そんな事をしたら、お前に家を燃やすからな」
「だったら、さっさと飲めよ。時間ないぞ」
「分かった」
公康は、ビールを勢いよく飲み、いびきを掻いた。
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