早苗と公康
公康リターン。今度は親子で。
ターゲットにされたのは、真琴の友達の早苗だった。
俺は、真琴の通う海雲高校の前にあるコンビニに、コスモで向かった。
皆、学年も変わり、春を迎えていたが。忘れ物を届けに、海雲高校の正門へと向かおうとして。
コンビニの駐車場に、コスモを止めると、見慣れたヤツ等がいる
一人は、真琴の同級生で、ヤンキーレディースのメンバーだった、早苗だ。
対話している2人は、瑞慶覧親子だ。
「東江さん、お疲れ様です」
俺のコスモに気付き、早苗は運転席に近付いてきた。
「久し振りだな、早苗。瑞慶覧親子とトラブルなら話に乗るぞ」
「マジッスか。実際トラブってるんすよ。お願いできますか」
早苗は、制服が汚れていて、擦り傷を負っている。
対して、公康も手の平を見せている。
「接近禁止だろ。近寄ってくんなよ」
瑞慶覧の父親も関わってきた。
「東江、お前は関係ないだろ。とっとと、失せろ」
胡散臭いし。普通なら、関わりたくないのだが。真琴の友達でもある、早苗の頼みも、聞かないとならないから。話を、聞く事にした。
「早苗、トラブルの原因を教えろ」
早苗は、制服のスカートを捲り、擦り傷を確認していたが。
俺に、事故の報告をした。
公康は、捲ったスカートに目が釘付けだった。
「あざ~す。私は、学校から出て来て、コンビニに向かおうと、信号を渡っていたんですよ」
早苗は、学校とコンビニの間にかかる、横断歩道を指した。
「信号は、確実に青だったんッスよ」
「嘘を付くな。俺の方が、青だったんだよ。見ろ、俺の手の平と原付が、傷だらけじゃないか。弁償しろ」
「俺も見ていたぞ。公康の信号が青だった。間違いない」
瑞慶覧親子が、図に乗っている。
「信じて下さい。横断歩道が、青だったッス」
俺は、頭を掻きながら。
「事故は、現場検証が必要だからな。何で、警察を呼ばなかった」
早苗は、申し訳なさそうに。
「授業中抜けて来たから、騒ぎを大きくしたくなくて。それに、最初は、このスケベ『大丈夫、大丈夫だから、気にしないでって』言ってて」
早苗が、切実に訴えてきて。
「厳しいな。取り敢えず聞いてみるか」
俺は、瑞慶覧親子に、聞こえるよに話して。
「なぁ、大丈夫って、言ったのか。そうなると、お前らが悪るくないか」
「そんな事は言ってない。その女の聞き違いじゃないのか」
公康は、目を合わそうとしなかった。
「チョット、待ってて。着信が入った」
三人を無視して、スマホを取り出した。
「あぁ、俺だ。分かったよ。連絡入れとく」
スマホをいじり。通話ボタンを押した。
「もうチョット、待っててな」
若い方の男に繋がった。
「今、チョット、厄介事に捕まってて。身動きが取れないんだよ。海雲高校前にある、コンビニまで出張を、お願いできないかな。大至急で、お願いね」
通話を終えて。早苗と向き合った。
「スマン、スマン。っで、何だっけ」
早苗が、呆れ顔で。
「真面目にして下さい。さもないと、こいつ等の玩具にされちゃうんです」
何だそれは、公康ばかりではなく。父親の方も、バカ面をしている。
「どういう事だ。説明しろ」
「どうも、こうも無い。我々は、バイトをしろと、言っているだけだ」
「パパの言う通りだ。肉体労働だ。働いて返せ。若い女の子を募集しているのに。全然、集まらないんだよ。やましい気持ちはない」
「どの口が言っている。覗きの変態」
「何の事だ。知らないぞ、そんな事は」
「問題無い、アパートの契約の時に、誓約書に書いてあった筈だ。守秘義務で守られている。公康が捕まることはない」
「えっ、覗きの変態って、引っ越しした、比嘉さんアパートの」
「察しろ。守秘義務で守られている」
『ウーウーウー』
「おせーぞ。また公康が、女子高生を流しているぞ」
俺が、召喚したのは。以前、家ノ前で公康と揉めた時に、お世話になった制服の警察官だ。
少し離れているが、市町村は跨いでないので、ギリギリセーフだろう。
「マジで、勘弁してください。警察官を何だと思っているんですか」
「交番の暇人だろ。世間一般は、そう思っているぞ」
「失敬な。平和を守る為に、日夜苦労をしています。撤回して下さい」
公康と父親が、不安な顔をしている。
「それよりも立ち、事件を解決しろ。一般の女子高生が、公康親子の毒牙に掛かろうとしている」
「人聞きの悪い。あの事故は、赤信号を渡った、そちらのお嬢さんが悪い。バイクの弁償と、ケガした公康の介護をして貰うんだ。分かったか」
「それも、献身的な介護だ。反抗したら、こうだ」
公康は、何度も、アスファルトの駐車場を踏んづけた。
「相手は、まだ未成年ですよ。それに、コレは、違法です。暴力も行けません。未成年の女性に、献身的な介護なんて。言語道断です」
「お嬢さん、何があったのですか」
警察官が、やる気になった。
「私が、そこの横断歩道を渡っている時に、横から原付バイクが突進してきて。体は、避けたんですけど。カバンが、バイクに引っかかって。引っ張られるように倒れて、ケガしたんですよ」
早苗は、腕の擦り傷と、スカートを捲って、太ももの擦り傷を、警察官に見せた。
公康親子は、早苗の太ももをしゃがんで眺めた。
「この嘘つきビッチ。俺の方が、青信号だったんだ」
「そうだ。この人、スマホを見てました。片手運転です」
「本当ですか。瑞慶覧さん」
「さっきから、何度も言っているだろ。俺の方が青だったって。皆して、嘘つきビッチを、信じるんだから。証拠ないだろ。コッチは、証人がいるんだぞ」
「俺が見ていた。間違いないし、この女は、嘘つきビッチだ」
「おい、もう良いだろ。正直に話せよ嘘ついてましたと。でないと、また拘留されるぞ。いいのか」
2人は、少し怯んだ。
「あの、防犯カメラの映像を確認しろ。俺たちは、中に入れないし。間違っていたら、俺がバイク代と、慰謝料を払ってやるよ」
俺は、早苗に賭けた。
「本当だな。慰謝料も払うんだな」
お花畑の公康は、買ったつもりでいて。
瑞慶覧親子は、警察官を連れてコンビニのバックヤードへ入った。
「早苗、ちょっと付き合え」
俺は、早苗を連れて、コンビニの中へ入った。
向かう先場一つだった。
「東江さん、有りましたよ。この穴ですか」
「コッチにも有った。えげつないな、正面に堂々と有ったよ」
公康は、懲りて無かったようだ。女子トイレに、2つのカメラ用の穴を発見した。
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