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タネナシとキュウコン  take2  作者: 愛加 あかり
40/50

引っ越しと下着の箱

引っ越し作業再び。ガキどもを使って、203号室へ。

その時に、朱美のトラップが発動した。




 変態の公康が消えて、向かいのアパートに、平和が戻った。

 朱美は、休んでいた仕事を探すようになり。

 天音ちゃんの登園が始まった。


 普とは、学校の近くまで一緒に歩き、集団登校の輪に入ってからは、道を挟んで離れて歩いた。


 学校に着くと、大きく「押忍、行ってきます」と言って、学童の波に消えた。


 保育園では、入り口で分かれて、ハイタッチをすると、クラスまで走って消える。


 帰りは、夕飯の買い物に充てた。

 今日は、兆志の要望で、カレーに決まったが。

 どの味付けにするか、考察中だ。



 取り敢えず、3種類のルーを籠に入れて、フルーツを買い足した。ビターチョコに鍋用の白湯スープの素とキムチ鍋の素を買った。


 一つ目は、フルーツをたっぷりと入れた、甘口カレーを作り。


 コレは、基本子供用で、試作用で作っている2つ目のカレーが失敗した時に、混ぜるようとしてキープしている。


 2つ目は、ビターチョコとキムチ鍋の素を入れた、中辛カレーを作り。


 コレは、チャレンジに近い。皆の反応を見ながら、意見を聞く。合わなかったら、1を混ぜてみたり、3を混ぜてみたりする。発展途上の家のカレーだ。


 三つ目は、白湯スープをベースに、コリアンダーや、ウコン、八角等を、素から作った辛口。


 主に、俺と京子しか食べない。夏場は、ビールによく合う。


 今回も、2に関しては、苦情は出なかったが。基本的にカレーなので文句は出ない。ただ、キムチ鍋のスープの素は、匂いに若干の違和感を覚えた。


 天音ちゃんを風呂から上げて、髪の毛をドライヤーで乾かしている時に。


「元の203号室に、戻っても大丈夫かなって、思って」


 203号室は、まだ、誰も借りては無いし。空いたまんまだったので、問題は無かったのだが。


「アルファードの駐車場と交換しようか」


 アルファードが、302号室の駐車場に止まっているので。朱美は、向かいのアパートの駐車場を、そのまま利用していた。


「駐車場の問題だけじゃないの。新しい職場にまだ馴染めなくて、夜に天音の手を引いて、3階に上がるのがつらいのよ」


「俺が、3階まで抱っこして送ろうか」


「お願いしてもいい。私、結構重たいと思うけど、大丈夫」


「天音ちゃんを、抱っこさして送ろうか」


「それは、冗談だけど。2階に戻してくれると助かるかなって」


「あんまり無理するなよ。無理に続けなくてもいいから」


「もう少しだけ、頑張ってみる」



 一月半ぶりに、引っ越し作業員を募集した。

 週末の土曜日の午前中から、男女24名の若人が集まり、前回同様に、スムーズに事が運んだ。


 前回のメンバーも、そうでない奴らも、テキパキとモノを移動させたが。


 一つだけ、怪しい箱が存在した。


 大きさ的には、比較的に小さい駄菓子の箱に入り。

 念入りに、ガムテープが施されている。上部にパンツと書かれていて、ハートマークも付いていた。


 女性陣は、最後に女性が運べば問題ないと思っていたが。


 荷物と荷物の間に挟まり、いつの間にか、荷物を搬出する玄関に行き。

 男子にバレた。


 外の廊下では、数人の男子が興奮しながら、ジャンケンを始めて。負けたやつは、勝ち残った奴の肩を、グーで殴っていた。


「ヨッシャー。神様アザース」


 ガッツポーズを決めて、最後の一人が、衣服の箱の上に、『パンツ』の箱を重ねた。


「大丈夫か、無理するなよ」

「休んでいいぞ。オレが変わるから」

「水持ってきたぞ。飲めよ」


 3階から一階へ降りて、細い路地を渡り、向かいの203号室へと運んだ。

 数々の誘惑にませず、一心不乱に黙々と休むこと無く運んだ。男としてやりきった。


 203号室にも、数人の女子が荷物を確認している。

 その荷物を持って来た男子を、軽蔑した目で見て。蔑んだかに見えたが。


 何の考え無しに、スッと『パンツ』の箱を取り、ガムテープを引っ張って、開封した俺。 


 中身は、天音ちゃんのパンツだ。


 ドキドキさせた、朱美のトラップだった。


 野郎共は、肩を落として。

 女子は、ホッとした。


 コレは、俺に対するトラップだった。

 一緒に入っていたハンカチの中に。黄色いレースのパンツが出てきた。


 4000円の値札も、付いたままだった。


 ここで、ハンカチのように汗を拭くのだが。

 俺は、床に放置した。


 女の子たちは、パンツを拾い。大人なレースのパンツを、回しながら広げてみている。


 作業するその手は、止まっていた。


 だが、午前中で引っ越し作業も一段落して、野郎共は、お決まりの洗車タイムだ。


「朱美の軽自動車も、ついでに洗車するか」


「絶対に駄目。今度、洗車機に通すからいい」


 コレは、俺からの仕返しだった。

 今の朱美の軽自動車には、知られてはいけない物が、大量に入っている。


「仕方ない。コスモとアルファードの洗車をするぞ。野郎ども」


 俺は、ガキどもを連れて、ガレージ前に着いた。


 ガレージに入ったら、ナンシーがスポーツブラとスパッツで、ランニングマシーンを使っている。


「あれ、引っ越し作業は」


「終わった。時間が余ったから、洗車タイムだ」


「だったら、私の車もお願いできるかしら」


「それは構わないが、変な物は入ってないだろうな」


「大丈夫よ。トランクも含めて、やましい物は、入ってません」


「分かった。どんなに些細な物でも、刺激が強すぎるからな」


 俺は、洗車道具の入ったアディダスの缶々を取り。ホースに手をかけた。


「ここを出る時は、刺激を抑えた服装で頼む。ティーンエイジャーを、刺激させるなよ」


「分かったけど。この後シャワーを使うから、誰も入れないでね」


「あぁ、分かった」


 巻かれたホースを出して。業務用の掃除機も出した。

 ナンシーの新車のセダンの鍵を取り、ガレージに、鍵をかけてプリウスを取りに向かった。


 中と外にグループを分けて、外には洗車道具と巻かれたホースを渡して。室内担当には、掃除機を渡した。


 学園祭みたいなノリで、3台の車が綺麗になって行く。


 体のラインが出る、スポーツブラとスパッツ姿で、ガレージからナンシーが、出て来た。

 髪の毛は、乾いてなく、濡れている。


 俺は、泡まみれの手を腰に当てた。


 外国製の匂いのキツイ、シャンプーやボディソープが、ティーンエイジャーの鼻と目を刺激した。


「新車だから、丁寧に扱ってね。優しく。優しくね」


 プリウスを、洗車していた男の子は、緊張して。


「はい。優しく、洗います」


「「「「オー」」」」


 どよめきが起こり、やる気に拍車が掛かった。


「サービスよ。サービス」


 俺に向かって、ウインクをした。


 3台とも、WAXまでかけて、ピカピカになった。


 いつものように、バイト代の他に、ボーナスも支給して、解散をした。

読んでいただき、有り難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

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