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タネナシとキュウコン  take2  作者: 愛加 あかり
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接近禁止令とポスター

瑞慶覧側の弁護士が、断り続けている。

公康の拘留も、わずかとなり。

俺の要求を飲んだ。




 あの後は、先方が案件を持ち帰り、精査する事となったのだが。


 向こうの弁護士が降りて、父親が泣き付く形となった。


「私の負けで、良いです。公康を、解放してください。お願いします」


 辺土名弁護士は、アパートの売買契約書を出した。


「東江さん、1億3000万だったはずです。この書類は、1億2000万に、変わってますが」


「一昨日とは違いますよ。俺は、慈善事業してません。一千万で済んだのは、俺の慈悲です」


 俺は、2日で一千万を値引きした。


「それと、公康くんには、引っ越しをしてもらいますので、業者を頼んでて下さいね。あの界隈を、ウロウロされたら困るんですよ。私の家族が、怯えているんです」


 コーヒーの香りを、味わいながら伝えた。


「分かったから。公康を、自由にしてくれ」


 俺は、辺土名弁護士に、丸投げして。次の仕事に掛かった。



『203号室に、マダニらしきモノを発見しましたので、駆除をいたします。ご協力をお願いします』


 金城くんと2人で、真っ白な防護服を着て、一件一件回りながら、天井裏にあるカメラを回収した。


 一通り、殺虫剤をスプレーして、香り付けをした。


 金城くんのリュックサックが、3つ分の荷物となった。


「ご協力、感謝します。新しく大家なった、東江です。宜しくお願いします」


 公康の評判が悪く。ボヤ騒ぎも、ヤンキーのトラブルも、打ち消すほど、高評価だった。



 問題が起こったのは、これからだった。


『ピンポ~ン』


 平日の昼間に、突如として。公康が現れた。

 前回とは違い、玄関の前で止まっている。


「お前、接近禁止令が出てたよな」


「だから、近づいて無いだろう」


「接近禁止令ってのは、5m離れる事じゃないぞ。誰に教わった」


 公康は、手を上げた。


「ちょっと待ってろ。用件を聞く前に、電話をする」


 俺は、スマホを取り出して、辺土名弁護士に、電話をかけた。


「もしもし、今、家の前に、瑞慶覧公康くんがいるのだけど。契約の方は、どうなっている」


「直ぐに、そちらに向かいます」


「急いで来いよ」


 俺は、辺土名弁護士の通話を切り、公康と対峙した。


「っで、要件は何だ」


「惚けるな。これだ」


 ビリビリに破れた、A1サイズのポスターだった。額縁に入っている。


「それが、どうした」


「コレは、去年の秋に特別公開された、魔女っ子の映画ポスターだぞ。限定一万枚の中の、青がセンターを、張っているタイプのヤツだぞ」


「だから、それが、どうした」


「これだから、素人は困る。青がセンター張ってるのは、貴重なの。ソレを、こんなビリビリに破いて、どうしてくれるんだ。弁償しろ。100億払え」


 何だそれ。意味が分からない。100億。


「何ですか。コチラに来いとは」


 向こうの弁護士が早く着いた。


「ご無沙汰してますが。公康を、どうにかして下さい」


 公康は、ポスターを弁護士に見せた。


「この件は、何度も説明をしたはずです。貴方が悪いのですよ」


 公康は、何度も首を振った。


「どういう事だ」


「このポスターはですね。ノリで、直接壁に貼られていたんですよ」


 大事なモノじゃないのか。


「引っ越しの時に、剥がしてビリビリに、なったのですけど。引っ越しの業者が、額に入れて捨てずに返したのですよ」


「分かってないな。魔女っ子青のポスターは、直接貼る決まりなの。分かるかな」


「だったら、家の自分の部屋に貼ればよかっただろう」


「もう、スペースが無いから、こっちに来て、張ったのだろう」


「公康、お前が欲しがっていたポスターが、ネットに有ったぞ。明後日、届くそうだ」


 公康の父親が現れた。


「お前が甘やかすから、こうなるんだよ。バカ親」


「遅れてすみません、どうなってますか」


「どうにも、分からん。俺に説明しろ。接近禁止令を、破った場合の契約は、どうなっている」


「契約は、まだ纏ってません」


「何を言っているんですか。契約書に、サインを貰わずに、このバカを、表に出したのですか」


「ごめんなさい。お父さんのほうが急かすので、先にしました」


「使えねぇ、弁護士だな。給料泥棒」


「ソッチの弁護士。この落とし前、どう付けるつもりですか。こんなバカのエンコ貰っても、仕方ないぞ」


「エンコって、ソッチですよね」


「小指だ。左手の小指。変態の小指は、要らん。小指の代わりに、何を包むんだ。弁護士さんは」


 俺は、瑞慶覧の父親に向かって。


「スケベそうな、爺さんだな。親子揃って、チンコを詰めるか。チンコを詰めるなら、弁護士の先生も一緒がいいか」


 一度、皆の顔を見回して。


「ちょっと待ってろ。ドスとまな板を取ってくるから」


 俺が、家の中に入ろうとして。

 辺土名弁護士が、止めた。


「待ってくださいよ。お年寄りのチンコを取って、出血多量で亡くなったら、どうするつもりですか」


 辺土名弁護士が、一呼吸置いて。


「チンコ詰めましたと、警察や病院に報告するのですか」


「分かったから、もう、1000万安くするから。チンコは詰めないでくれ。頼む」


 父親のチンコは、現役のようだった。


「もう二度と、関わらないでくれ」



 俺の大人用のトイレの中にある、金庫から。お金が、ごっそりと消えた。

 日本円にして、11Kg。野球選手の10tに比べたら、微々たるものだが、我が家の金庫が、軽くなった。


 安い買い物だったが。この家とアパートが、抵当に入った。

 建前上、いきなりアパートを1棟買ったら、不思議に思われるから、形だけでも定性を保たないと。


 一度借りて、直ぐに返した。


 誰もいない昼間に、金庫を開けて。

 道具を取り、寝室の具を閉めた。


 老眼鏡をかけて、一つずつ、リボルバーやオートマチックの拳銃をバラす。


 昔は、何度もやらされた。当番の夜は、1日触ってたこともある。


 ドスも、皮脂や唾が飛ばないように、紙を咥えて。触らないように、何度も手入れをした。


 保管状態も良かったので。全然使えた。


 カチコミする、年でもないが。何かに集中していると、無心になれていい気がする。


 最近の出来事を、美雪姉に話したら。


 大型のキャリーケースを持った、なっちゃんが再び現れた。


 例によって、例の如く。1週間滞在して、三億円と、軽自動車を置いて帰った。


 軽自動車は、朱美のが、車検切れそうだったので。乗り換えを勧めて、古いヤツは、廃車にした。


 半月後、なっちゃんは、落ち込んだ。


  

読んでいただき、有り難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

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