表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タネナシとキュウコン  take2  作者: 愛加 あかり
34/50

麻美とマー君

東江は、怒りの矛先を、ガキどもに向けていた。

許せなかった。復讐を誓った。



 俺は、復讐の鬼と化していた。

 アレは、忘れもしない、漁港での事だ。


 漁網で、生け捕りにされて。漁港内を、引きずり回された。

 壁に、何度か打ち付けられて、終いには意識を失った。


 ソレばかりか、俺の金が帰って来ない。

 真琴は、バイクを買うために、宮城へ53万を支払ったそうだが。何処かへ消えている。


 ついでに言うと、最初に漁港内から逃げる時に、ポケットの全財産を、ぶちまけて。20万くらいを、ばら撒いている。


 主犯の宮城と数人は、捕まったのだが。あのリンチに加担したヤツは、容赦しない。


 これから、大人の復讐をする予定だ。


 チームの連帯責任を取れ。


 23人のガキが集まった。

 金を返せと言っても、素直に払わないだろう。


 一人ずつ捕まえて、拘束した。


 ガレージに、ガキの一人を呼び出して、一斗缶に木炭を入れて火をつけた。


 シャッターを閉めるS字フックの棒を、一斗缶の中に入れて、真っ赤に焼いた。

 熱々の鉄の棒を見せて、仲間を呼ぶように仕向けた。


 勿論上着を着ずに、閻魔大王を晒した。


 特攻隊長の三上を捕まえたら、芋づる式に釣れた。総勢、23人。


 ガレージの中に入ってもらい、インシュロックで両手を縛り。

 両手は、ガレージの梁から吊るされた、紐に結ばれて、両手を下ろす事が出来なくなっている。


 半数以上が、が特攻服を着ていて。脱がしやすかった。

 一番苦労をしたのは、ピチピチのデニムを履いたやつだった。


 皆のズボンとパンツを下ろして、3人に入ってもらった。


 皆、首から手作りのプラカードを下げて。


『僕たちは、18歳以上です。成人してます』


 念の為に、目出し帽を被せた。画像流出を恐れての事だ。


 3人は、薄暗いガレージで、何度もフラッシュを焚き、写メを撮った。


「辞めろ、撮るな。東江、ぶっ殺すぞ」

「お願いします。撮らないで下さい」

「弁護士に、言うぞ。告訴してやる」


「そんな事を、言っていいのか。俺が本気になったら凄いぞ」


「ヤれるもんなら、ヤッてみろよ」

「後悔スッぞ、オッサン」

「後で、吠え面かかせてやる」


「オジサン、世代だから、一度これヤッてみたかっんだよ。チャンスをくれてありがとう」


 ガキどもに、敬意を評して。


「女性陣に、入ってもらいましょう」


 ナンシーが、外にいるレディースを連れて中には入ってきた。


「最初から、凝視すると目が潰れますから、壁の方を見てて下さい」


 野郎の方は、撮影用に、明かりが付き。

 レディースの方は、薄暗く、シルエットだけしか見えていない。


「聞いてねぇ〜ぞ」

「辞めて下さい」

「降参するから、手を降ろさせろ」



 レディースの中が、ざわ付き始めたので。待たす理由には、行かなくなり。


「ごたいめーん」


 レディースの方々は、一斉に振り向きフラッシュを焚き、無様な男たちを撮った。

 下半身を露出させて、日ごろ強がっている男たちの、醜い姿をスマホに収めて行き。


 1分後には、特攻隊長の三上に集中した。

 アイドルのように、フラッシュが焚かれている。


「それでは、ズボン上げのオークションを開催致します。司会は、ワタクシ。東江が、務めさせて戴きます。どうぞ宜しく」


「オークションって何だ」

「っテメー、ジジーいい加減にしろよ」

「ふざけるな。ゼッテー訴えてやる。覚えてろよ」


「それでは、左端の冴えないヤツから、始めたいと思います」


 レディースの方々は、あまり乗り気ではなかったが、1人だけレベルが違った。


「210円、ハンマープライス」

「180円、ハンマープライス」

「230円、ハンマープライス」


 一人の少女が、一極集中して勝ち続けている。

 ソレを、打ち破ったのが、マー君だった。


「160円、何方も宜しいですか」


「麻美、助けてくれよ。頼むよ。今度こそ、マトモに、なるからさ」


「私は、マー君と別れたの。今日参加したのも、三上先輩目当てなの」


「そんな事、言うなよ。頼むよ」


「嫌よ。私、約束したよね。もう、葉っぱは、やらないって」


「魔が差したんだよ。宮城が、誘ったから、断れなかったんだよ。直ぐに、逃げたから。捕まらなかったんだよ。信じてくれよ」


「だ、か、ら。私たちは、終わったのよ。もう、元には戻らないの。マー君を、信じられないの」


「俺、麻美がいなくなったら、生きて行けない。助けてくれよ」


「私が、何度その言葉に騙されたか。皆、知っているし。別れを、勧めてくるんだよ。私は、耐えられない」


「本当に、マトモになるからさ。俺、馬鹿だけど、麻美を幸せにする自信はある。こんどこそ、俺の本気を見せるから、頼むよ」


「本当に、信じていいの」


 ざわつきの中、麻美を心配して、止める声もチラホラ聞こえる。


「もう、私を泣かさない。信じていいの」


「大丈夫。信じてくれ。俺は、麻美を幸せにする」


「180円」


「200円」


 空気を読まない女性が居るようだ。

 麻美は、レディースても無く、頭数の為に呼ばれた少女を睨んだ。


「210」


「22…」


 「210円で、ハンマープライス」


 俺は、割って入った。

 誰も、彼女の暴走を止められそうに、無かったからだ。


「有り難う。麻美」


 麻美は、マー君の元へ歩みを進めたが。


「ちょっと待ったー」


 スマン。正直、コレもやりたかった。

 俺は、スマホを取り出して、高く掲げた。

 スマホは、録音表示されていて、カウントは、ドンドン上がって行く。


 俺の行動に、数人が賛同した。その中に、真琴も入っていた。

 皆が、録音表示をさせている。

 当然、麻美も録音表示させて、マー君に見せた。


「そんな事しなくても、俺は生まれ変わったの。信じて欲しいの」


「信じたいけど。私は、何度も裏切られたの、別れ話をしたのも、何度目よ。こうなるのは、しょうがないよ」


「今度こそ、本気だよ。麻美を、俺が幸せにする」


「本当に、私を幸せにする」


「あぁ、信じてくれ」


「絶対だよ。裏切らないでよ。信じてるから」


 麻美が、歩き始めた。俺が、スマホを掲げると。数人が、スマホを掲げた。


「ありがとう」


 マー君のパンツとズボンが上がり、割れんばかりの拍手が、ガレージ内で起こった。


 三上の値段は、3840円まで上がり。

 勝利した子は、5人からお金を借りて、勝負していた。

 負けた子たちも、ほぼ全員が、三上目当てで。

 三上の後は、話にならなかった。


 1人を除いては。


 ストロボを焚かれて、夢を、大きく膨らませた奴がいた。


「ごめんなさい。助けてください」


 注目を浴び、衰えることを知らなかった。


「320円」


 最初から、破格の値段がついた。

 だが、ここは、大人の対応で応えた。


「2000円」


 朱美が参戦した。


「2000円、ハンマープライス」


「コレを、お子様たちに、触れさせてはいけない。大人の私が、片付けないといけない問題です」


 バンツを上げて、スボンを上げても、違和感は残ったままだった。


 彼のように、大勢の前で夢を膨らます少年は出てこなかった。

読んでいただき、有り難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ