ピンドンと晴也
ひょんな事から、家の建て替えが入った。
DIYって、柄でもないし。住み続けるのも、ガタは来ているしで、悩んでいる所に、建て替えの話が出た。
俺の実家を取り壊して、新築の家を作ることとなった。
費用は、雀のお宿が全額バックアップする事となり、至れり尽くせりだった。
そして、空き部屋問題も、解消した。
墓や騒ぎに、子供たちとの場外乱闘、終いには、ギプスをしての帰還。
「アナタが来てから、ここの治安が悪くなった。引っ越しをするから金を出せ」
謝罪行脚も虚しく、二組の家族が引っ越しをした。
一組は、うちのアパートの302号室の家族で、文句を言ってきた家族だ。
赤嶺不動産に相談して、急だったにも関わらず、家族が納得するアパートを紹介することができた。
学校の近くで、大型スーパーからは離れたが、似たような部屋の物件だった。
もう一組は、向かいのアパートの201号室で、無断で引っ越しして、後で請求書が送られてきた。
裁判はせず。20万を支払って示談にした。
向こうの大家さんとは、揉めたくなかったから、示談一択だった。
俺は、ほとんどの物を捨てて、302号室へと引っ越した。
家の荷物は、一度ガレージに置き、ガレージのコスモは、車検に出した。
アルファードは、302号室の駐車場に停めて、約束通り、なっちゃんとの1週間の生活が始まった。
その1週間は、ほとんど服など着ずに過ごし、全てを、なっちゃんの子宮へ解き放った。
束縛されて、トイレにも付いて来て、俺の子種を監視されながら、全てを出し切り。
いく分か、痩せた気がした。
そして、それぞれが、新築に対する要望を語っていた。
朱美は、和室だった。和室に頑丈な梁を求めた。
それと、最新鋭のマッサージ機。
リクライニングして、全身をブルブルさせるヤツを要求して。
京子は、寝室に防音設備と、カラオケセットを要求した。
ナンシーは、ガレージにトレーニングの機材を要求した。
俺も、ガレージに、サウナ室とシャワールームをお願いした。
「全然、大丈夫ですよ。ひどい方では、アイアン・メイデンのオブジェを欲しがり。特注で作って、飾ったことがありますから」
俺は、建築家と話し。苦労話を聞いた。
なっちゃんが居なくなって、半月。
生理が来たと、連絡を受けて。複雑な心境の中。
俺のギプスが外れて、作戦がスタートされた。
餌として、島袋くんが、指名された。
本人も、やる気に満ちていた。
ゲームの内容は、飲み食いした分が、報酬になるものだった。
ルールも、厳密にしよう。
指名は入れずに、フリーで頼む。
カウンターでは無く、ボックスのシートにする事。
ボトルの条件は、5万迄。ボトルを開けてから、次のボトルを取る。
食べ物は自由だが、残すのは原点にする。
女の子は、一人で。チェンジも無し。
最後に、アフター出来なければ、チャレンジ失敗だ。
次のヤツに、チャンスが回る。
当日、高性能のマイクを、島袋くんのシャツに隠して、スナック街を歩かせた。
のっけから、ビルを間違えたり、コンビニへ入ったり、計画に無い事をやらかし。呼び込みにも掛からない。
計画の40分遅れで、入店した。
渋めのかりゆしウェアに、白Tを合わせて、下はデニムだ。
「いらっしゃいませ、ご指名は、ございますか」
ちゃんとした店らしい。
「いや、無い。初めての店です」
緊張しているようだが、上々だ。
「フリーで、宜しかったですか」
「任せる」
「カウンターに、1名様ご案内します」
勝手に、カウンターへ案内されそうになった。
「あの〜ボックスで、お願いします」
島袋くんが、訂正した。
「3番のシートへ、ご案内します」
『フー』
車で待機している、俺と金城くんと辺土名弁護士とで、ため息をついた。
「忍です。宜しくお願いします」
胸の谷間を強調したドレスの忍が現れた。
島袋くんは、立ち上がり。挨拶をしようとして、テーブルに足をぶつけた。
『アガぁ~』
島袋くんの素が出た。
「大丈夫ですか」
忍は、スッと腕を絡めて、その大きな胸を当てて、島袋くんと一緒に座り。自然と空気を作った。
「大丈夫です」
「お名前を、伺ってもいいですか」
「島袋です」
「下のお名前は」
「晴也です。島袋晴也、21歳大学2年生です」
「晴也くんは、こう言う夜のお店は、初めて」
「いいえ、2回目です」
「そう、コレは晴也くんのお財布ですか」
アウトレットで買った、長財布。
年の為に、金城くんのカードが数枚入っていて。お札のポケットには、100万円が丁度入っている。
席に付き、財布はテーブルに置いて。ファスナーは、全開に開けて中身があると、確認させろ。
「フルーツの盛り合わせと、サンドイッチをお願いします。飲み物は、シャンパンで」
島袋くんが、100点の答えを叩き出した。
女性サイドが、頼みもしないのに、フルーツとサンドイッチを頼んだ。
完全に、浮いているだろ。
「シャンパンなら、ドンペリ飲みたい。出来れば、ピンクの色」
島袋くんは、メニュー表を開き、ドンペリを探した。
ドンペリ 白が二万八千円で、ピンクが、四万七千円、ギリギリセーフ。
「ピンクを、お願いしようかな」
「ラッキー。晴也くんは、バイトしてるの」
「全然、株のトレーダーしてるだけだよ」
「それって、儲かるの」
「全然、百万勝ったり、二百万負けたり。パソコンの画面を見てるだけで、お金が増えたり、減ったりしていて、儲かるのかは、分からない」
「だけど、お財布の中は、パンパンなんだね」
「お願いしま〜す」
忍は、手を挙げて、ボーイを呼んだ。
「お待たせしました、何を、お飲みになりますか」
「ピンドン、頂戴。それと、フルーツとサンドイッチも」
「ドンペリのピンクで、間違いありませんか」
ボーイは、忍を通り越して、島袋くんに話しかけた。
「ピンドンで、合ってます。ほら、この財布で、大丈夫でしょ」
「失礼しました。直ぐにお持ちします」
ボーイは、素直に謝罪して、忍は、少しムッとしていた。
「失礼しちゃうはよ。ねぇ」
「僕の方は、平気だけど」
「晴也くんは、優しい」
「もう、乾杯したいのに、ピンドンが来ない」
忍は、体で怒りを表現して、胸を揺らしている。
「お待たせしました。ドンペリのピンクです」
「ヤッター。ピンドン、ピンドン」
忍は、バケツ型のワインクーラーから、ドンペリのピンクを掴み取り。
お絞りで、ボトルを撫でて。水滴を拭き取り。
そのまま、テーブルの下へ持ってゆき、股間に当てた。
両手て、ボトルネックを強く握り、2本の親指を、栓に合わせて力を込めた。
栓は、勢いよく飛び出して、シャンパンの中身が溢れ出した。
忍は、スケベな顔で、口を付けて。島袋くんに、ウイングを決めた。
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