アルファードとトカレフ
俺は、回復しつつあった。
ギプスが取れれば、全開だった。
そんな時に、忘れていたものが、過去から現れた。
俺は、10日かけて、三人と関係を持った。
最後に肉体関係を持ったのは、意外にも朱美だった。
色々あった日の次の日は、朱美が世話係を立候補していたのだが。生理が来てしまい、2日続けて京子が、世話をした。
その時に、初めてDay2と言う、下着メーカーを知った。
面白バックプリントのボクサーパンツで、最初に見せてくれたのは、死体現場のヤツで。
白線で人形を描き、周りが血の海になったヤツだった。
「パパ、ごめんね。生理が、来ちゃった」
そう言って、1週間面白パンツを見せてきた。
ナンシーは、外国製の下着を取り寄せて、俺を、喜ばせてくれた。
朱美は、白い下着の上下に、ガーターベルト、白いアミアミのタイツは、レースとフリフリが特徴的だった。
京子は、黒のレースのフルバックで、全体的に透けていた。
驚いたのは、京子だ。事あるごとに、求めてくる。異常かと思った。
そして、今日は、買い物に行く約束をした日だった。
軽自動車を2台出して、大型のショッピングモールへ向かう予定で、夏休み出来なかった買い物をする予定だった。
俺の体も、本調子に戻りつつある。
左手でも、ある程度の事は出来るようになり。
ギプスが取れれば、言う事はないのだが。
そんな時に、天音ちゃんの誕生日を迎えて。
魔女っ子の変身衣装を買いに行く事となった。
そこで、兆志の奴が、張り合い。
「俺も、先月に誕生日だった」と言い。
それなら、『みんなで買い物へ』と流れになり。
今日を迎えた。
兆志は、プレステを欲しがり。如くシリーズを、完結させる事だった。
真琴も、一悶着あった。
「真琴も、新しいスマホを欲しがっていたでしょ」
「私は、要らない。東江さんに、お願いするなら、遠慮する」
「何でよ。あんな高価な物、お母さんは、ポンと買えないわよ」
「だったら要らない。諦める」
「別に、大丈夫だよ。欲しくなったら、いつでも言って。お母さんからにするから」
結局、真琴は、スマホの催促する事となり。俺に、オネダリする形になった。
普は、普らしく。
「お母さんのマッサージ機が欲しい。肩が、コルみたいだから、楽にしてあげたい」
京子が、ナンシーのオッパイに目がいった。
俺も、ナンシーも、車を持っておらず。
京子と朱美の軽自動車に、乗せて貰う事となった。
出発をしようとした時に、入り口を塞ぐように、静岡ナンバーの黒塗りアルファードが、駐車場へ入って来た。
運転席から降りてきたのは、雀のお宿のなっちゃんだ。
「少々、お時間を頂けますか」
俺は、目を疑った。なっちゃんが、懐かしいモノを担いていたからだ。
木製のギターケースだ。
忘れもしない、25歳のカチコミ事件。
黒井組は、カチコミ騒動がある前に、ガサ入れが入った。
コレは、他所の組からのタレコミがあり、回避する事が出来たのだが。
俺は、ドス3本と、トカレフとS&Wの2丁を持ち、組の車で走り回っていた。
待ち構えていたかのように、検問が敷かれていて。
3台待ち列の最後尾に付けた。
緊張が走り、一世一代のピンチ。
俺がここで捕まったら、組の車から事務所がバレて、警官が押し寄せてくる。
Uターンも危険だろう。怪しまれてしまう。
それに、逃げるなら外だ。
俺の腹をくくった。
俺は検問を過強行突破した。
捕まる訳には行かない。
必死にアクセルを踏み、追いかけてくる白バイや、パトカーに、何度もぶつけて。
車が、動かなくなって、コンビニの駐車場へと入った。
道具を抱え、コンビニの中へと入り。
タイミング良く、美雪姉を見つけた。
美雪姉のギターを奪い取って、ギターケースに道具を入れた。
「頼む。預かっててくれ」
ギターを、コンビニの裏に置いて。
コンビニの袋に、廃棄用のお弁当を入れて。
そのまま、裏口から逃走した。
タクシーを奪い取って、ひたすら逃げた。
県境で、埼玉の田舎に入り。タクシーを、捨てた。
俺は、タクシー強盗の指名手配となったが。
龍紋會が、裏から手を回して、タクシー会社と示談が成立した。
その後は、美雪姉と会えず。
「おい、ドスとチャカを、回収してこい。エンコじゃ済まんぞ」
「すみません」
俺は、土下座して、黒井組の組員に、ボロボロにされていた。
「もう、良いだろ。その辺で、殺す気か」
「ソープ嬢は、逃がすし。ドスとチャカは、帰ってきません。はっきり言って、足手まといです。恩、知らず」
「だからと言って、殺すことも無いだろ。それに、このガキを囮に使って、馬鹿な商売を裏でしているのだろう。俺の目は、まだ、節穴じゃねえぞ、前田。そのガキは、不問にしろ」
俺の命を助けてくれたのは、黒井組の組長だった。小指も、この時点で、落として無かった。
タクシー強盗は、ローカルニュースにしか、ならなかった。
『今になっては、やんちゃしてたなっ、俺』
「コレを、届けに来ました」
「ごめん。ちょっとだけ、時間ちょうだい」
俺は、皆に頭を下げて、時間を貰った。
「有り難う。散らかっているけど、家に行こうか」
俺は、なっちゃんから、ギターケースを受け取り。家へと向かった。
家に入り、ギターケースを開けると、湿気を取るシートや、乾燥剤が、敷き詰められていて、拳銃は、油取り紙の上から、新聞紙が巻かれていて。新聞紙は、新しかった。
「こんな物が、二十年も家の中に有ったなんて、知りませんでした」
美雪姉は、娘にも黙っていたようだ。
誰にも相談できずに、牧姉にだけ相談したらしいが。
牧姉も、黒井組のソープから来た子に、様子を聞いていたらしい。
そして、黒井組に俺がいる事を知り、安堵していた。
ドスも、拳銃の手入れも、何度もして来た。
状態も良かった。拳銃に関しても、二十年は、使われていない銃だ。足は、付いてないだろう。
『ガラガラガラ』
突然、家の扉が開いた。
「もう、何してるのよ。皆ま…」
ドスと拳銃を、急いでギターケースに隠したが、間に合わなかった。
「びっくり、させるな」
「隠すって事は、本物なのよね」
「皆には、黙ってろよ」
「どうしよっかな〜」
京子が、いたずらな素振りをして。
「横井京子さんも、他の方々も、失礼だと思いますが、興信所を使い、過去を調べさせていただきました。浅草のお生まれですよね」
なっちゃんは、京子と対峙して。
「初めまして、雀のお宿の、経理部の部長をしています。沢田なつみと言います。今回の件は、東江さんに渡したスマホが、質に流れた事が原因です。興信所を使い、東江さんの身辺を調べさせていただきました。そして、雀のお宿は、御三方を、正妻候補として見ています。宜しいですか。浅草生まれの、京子様」
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