表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タネナシとキュウコン  take2  作者: 愛加 あかり
21/50

修羅場と嘘

東江の個人情報は、ここでも漏れていて。

ナンシーは、卑猥な体で、マウントを取りに来た。



 俺とナンシーは、キッチンで肉ジャガを、移し替えていた。


「あの子は、俺の子供ではない。誤解だ」


 天音ちゃんが、『パパ、パパ』と、言うから。誤解を避けるために、自白したつもりだったが。


「ええ、知っている。どう考えても、あの子7歳以下だもの。7年間、お務めしていたんでしょ、塀の中で」


 俺の個人情報は、ダダ漏れだった。

 松田悟だな。刑事が、個人情報を漏らしていいのか。


 京子は、自分のバッグから、水筒を取り出して。朱美は、天音ちゃんのジュース。3個パックの一つを貰っていた。


 俺の家には、水とビールくらいしかない。


 ナンシーは、買って来たばかりのビールを手にして、リビングに行き。

 2人とは反対側の、シングルの席に、浅く腰掛けた。


 京子も、三人掛けの端で、浅く腰掛けていて。

 天音ちゃんは、両手で四角いパックジュースを飲み。


 朱美は、深く座り。肘置きの小さな穴を、広げようとしている。



「初めしてで、宜しいですか。入り口のアパートの2階に住んでます、松田です。東江さんとは、引っ越して来た時に、助けて頂きました」


 アジア系では無い黒い肌に、近所でも有名だったナンシーを、2人は知っていた。

 ただでさえ目立つのに、グラマラスなボディーを持ち、男共を振り替えさせている。


「はいは~い。私は、ボヤ騒ぎで、東江さんに助けてもらいました。比嘉朱美です。宜しくお願いします」


 驚くかも知れないが、コレが素の朱美だ。


 羽瀬の時は、『黙ってて』っと、言い聞かせて。戦いに臨んだ感じで。立ち上がって、島袋くんにキスをした時には、驚いた。


 アドリブだったにも関わらず、あの演技が無ければ、羽瀬から引っ張り出すのは難しかったと思う。



「私も、そこのアパートの4階に住んでます。横井です。東江さんには、助けていただいてませんが、良い関係を築こう思っています」


 ナンシーは、京子の姿に苛立っていたが。

 手に持っていた、ビニール袋から、洗濯して柔軟剤の柔らかな匂いが広がる、スゥェットの上着を取り出した。


 前回、ナンシーがこの家を訪れた時に、俺が貸した物だった。


「そんな見窄らしいモノを、隠してください。恥ずかしくないのですか」


 ナンシーは、タンクトップの内側から、ブラ紐を引っ張り。Gカップの胸を揺らした。


 京子は、隣を見たが。

 朱美も、推定Dカップの胸があり。見窄らしいのか、少し悩み。


 京子は、急に立ち上がり。朱美と天音ちゃんの前を通り。歩きながら、2つのボタンを外し、前がはだけた。


「着替えて来るだけよ。逃げた訳じゃないから」


 廊下を抜けて、仏間の縁側に干してあった服とブラジャーを回収して。


 誰も見ていない仏間で、シルクのシャツを脱ぎ、パンツ一枚になり。濡れた服を手にしながら、シャツとジーンズを着た。


 後々分かる事だが、カメラの前でワザとやっていた。


「だから、誤解です。『ギプスを濡らさなければ、お風呂に入れる』と言われたので。お風呂の誘惑に負けて、洗ってもらっただけです」


 疑いの2つの目線が、俺に向かっている。


「横井さんの服が濡れてしまったので、替えの服を貸しただけです」


 苦しい言い訳を、其の場凌ぎの嘘を、思いつくまま並べて、この場を誤魔化そうとした。


「本当よ。彼をお風呂入れただけよ。ただ、それだけ」


 デニムは、乾いてなく。シャツも所々濡れている。


 ナンシーの疑いの目が、和らいだ時に。


「この人は、嘘を付いています。私に対して、謝罪をした時に、『未遂です』と言ってました。『まだ、何もしてません』とも、言ってました」


 朱美は、京子を指して。土下座した時の言葉を、皆にバラした。


 ナンシーの和らいだ目は、疑いのまなざしに変わり。


 床で、薄い座布団を敷いただけの、俺を睨見つける。

 全身が痛くて、横になりたいのに。眠気も飛ばされて、正座をしている。


「どうなんですか、東江さん」


「………」


「あまり攻めないの、小ジワが増えるわよ。それに関しては、事実よ。未遂よ。彼のモノを、咥えている時に、この子が、『パパ、パパ』って、家に入ってきたのよ」


 ナンシーは、身を乗り出して。ローテーブルに手を添えて、天音ちゃんの前に右手を伸ばした。


 天音ちゃんも、それに応えるように、ナンシーの手のひらを叩いた。


「ナイスゥー」


 機嫌を損ねたのは、京子で。


「でも、胸の大きさは、関係無いみたいよ。私の体で、反応してたもの」


「ケダモノ」


 朱美が、口を開き。


「けももも」


 天音ちゃんが、マネをした。


「まぁ。7年も、お勤めしていたら、ロリにも反応するんじゃないのかな」


「ケダモノって、何よ。アナタにだけは、言われたくないわよ」


 『ケダモノ』って言葉に、京子の矛先が変わった。


「当日で、ペニスを咥えるって。ケダモノ以外、無いじゃない」


 京子がキレた。


「この子は、いくつよ。結婚生活を何年おくって、ボヤの彼とは、何年一緒にいるのよ。ねぇ」


 幼い天音ちゃんに目が向けられた。

 ご近所でも、度々一人で居る所を、目撃されていて。無責任な母親として、近所では有名だった。


「結婚生活は、天音が生まれて2年も持たなかった。彼とは、1年なるか、ならないか。だね」


 ざっくりで、アバウトな答えだが。半年も空いていない。


「ホラね。どっちがケダモノよ。アナタの方が、男に依存しているケダモノじゃない」


「違うのよ。元の旦那も、羽瀬も、東江さんに会うための、レールなの。元の旦那は、天音を与えて、羽瀬は、お金を運んできたの。東江さんが、全てを教えてくれたの。東江さんは、オッパイが好きなの。私のは、形が崩れてきたけど。大丈夫かな」


 理解できない話を始めた。


「私は、そんなんじゃないのよ。あなた達もアレを見たら、そうなるから」


「キャー。東江さんのそんなに凄いの」


 ナンシーは、固唾を呑んだ。


「何でも、下の方に持って行かないの」


「凄くないんだ」


 朱美の肩の力が抜けた。

 ナンシーは、大きく息を吐く。


「私は、年に一回、浮気するか、しないかよ。相手が、独身だと思ったから。今回だって、東江さんは、ずっと一人で暮らしてたわけだし。文句を言われる筋合いは無いわよ」


 静けさが広がり。皆が、俺の方を向いたが。


「アナタは、どうなのよ。皆話したわよ。アナタの番じゃないの」


 自然と耳を傾けてしまっている俺。


「私は、無いの」




読んでいただき、有り難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ