始まりと終わり(前)
元ヤクザの東江昴と、3人のシングルマザーの物語。
タネナシとは。キュウコンしたい、母親たち。
比嘉朱美は、天音ちゃん4歳を抱えていた。
読んでいただき、有難うございます。
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俺の名は、東江昴47歳の初老のおっさんだ。
まぁ〜多少は、鍛えていて。ミドルな伯父様だと、自負しているが。
世間の反応は、ヤバい人。関わっては、行けない人物。元ヤクザ。等と、言われている。
間違ってはいないし、訂正する気もない。
近所付き合いは、大切にしたいるが。
時折、ヤンチャしていた、若者がガレージ前に集まる。
構成して、真面目に働き、懐かしきを語る場にもなっていた。
そんな、東江だが。
彼の平日の朝は、早い。
10畳程の寝室の真ん中に、クイーンサイズのベッドを、堂々と置いた。
圧迫感の無い配置で、物が並び。カラオケも、備え付けられていた。
勿論、この部屋自体が、防音室である。
これは、横井京子の、たっての願いで。
大きな声を出して、近所迷惑を防ぐ為の配慮だ。
壁際のサイドテーブルに置いた、スマホが突然光りだして、天井を照らし。暗かった部屋に、輪郭を与えた。
間髪入れずに、けたたましい電子音が鳴り響く。
防音室なので、反響が酷い。
吸音材は、注文しているのだが。効果が、思いの外薄く。何度も交換をして、試行錯誤を強いられている。
東江は、耳を押さえながら、寝返りを打ち。意を決して、スマホに手を伸ばした。
昨日は、一人だったので、深く成り過ぎて、アラームの設定を変えている。
酔過ぎて、音量がマックスに設定していて。
まぁ、起きれないよりは良いが。酷い目覚め方だった。
04∶50、10分前のアラームだ。
東江は、寝返りした時に巻き付いた、タオルケットを外し。反転しながら、廊下側へ転がった。
一人だと、クイーンサイズは余るね。
ベットの縁に着くと、足を床に下ろして、体を起こした。
予備のアラームやスヌーズ機能を全て止めて、スマホを、枕元に投げた。
「朝の始まりだ」
ゆっくりと、体を起こして、裏に続く戸を開けた。
戸は、非常に重く。気圧の差で、廊下に空気が流れだす。
歳のせいか目が慣れず、間接照明でも眩しい。
目を擦りながら、隣のトイレへ向かうと。
目が開かない程の光が、東江の目を襲った。
蛍光灯の灯りに、白いタイル。
場所は、自分の家だから分かるが。数年先は、自信が無い。うっかり、漏らすかも知れない。
ここは、大人用のトイレで、介護用に広く作られている。
俺は、小便器用のトイレで用を足し。石鹸で手を洗った。
そのまま、家の裏の方へ進み、脱衣所へ入る。
着ていた、スウェットの上下を脱ぎ、黒の長Tと派手なブーメランパンツを、ドラム式の洗濯機に放り込んだ。
洗濯カゴ横の袋から、キューブ状の洗濯洗剤を手に取り、一つを洗濯機に入れ。ギャップ一杯の柔軟剤も足した。
電源を入れて、スタートボタンを押す。
肌寒いから、足早に風呂場へ入る。
駄目なのは、分かっていても。ヤッてしまうのが、人の性。
『熱々の湯を、頭から被る』
目覚める瞬間だ。
坊主頭に、シャンプーを使い。
耳の裏は、丁寧に力強く洗った。
洗顔しながら、髭をそり。
風呂場で、歯を磨き。
垢すりにボディーソープを垂らし、体を洗った。
シャワーだけで済まし、脱衣所へ戻る。時間が惜しい。
備え付けの、棚に手を伸ばして。一番下のバスタオルを、持ち上げながら抜き取り。
「今日も、崩れてない」
指で確認した。
洗面所のドライヤーは、俺の頭には必要ない。
女性陣の物だ。
床の体重計に乗り、61.3Kgを表示している。
少し、前傾して、下腹部の肉を摘んだ。
「ランニングマシーン、増やすかな」
腹筋は、割れているが。油断が行けない。
そのまま、タオルを肩にかけて、ビタビタと左右に振りながら、仏間に辿り着いた。
東江は、5LDKsの平屋の家に、一人で住んでいる。
備え付けのタンスから、派手なブーメランパンツを取り出して。
「ちんポジ、キープ」
次に、黒のロンTを取り出して。
本日の気分は、アディダスの紺のスウェット上下に決めた。
次に、黒い線香を取り、火をつけて仏壇に供えた。
旧暦カレンダーで、1日と16日でない事を確認して、手を合わせる。
最後に、東江家の仏壇に奉納された、帯付きの一万円札の束を確認して。
今日の皆の無事を祈る。
一度、寝室へ戻り、スマホを取って時間を確認した。
05∶33いつもの時間だ。慌てる時間では無い。
スマホで、音楽をかけながら、キッチンへと向かった。
ダイニングテーブルの椅子にかかった、デニム地の酒屋の前掛けを絞めて。
『ここからが、勝負だ』
右の冷蔵庫から、お釜を2つ取り出して、炊飯器へセットして、スイッチを入れた。
3つ目の炊飯器を開けると、みそ汁が出来ている。昨夜作った物で、具は大根とポークの缶詰(チューリップ柄)だ。
お取り寄せの卵の箱から、10個を取り出し。両手で丁寧に一つずつ割り、大きなボールに落とした。
砂糖に、塩と自家製の白だしを少しずつ足して。
菜箸で大きく、ボールをかき混ぜた後は、こし器を使いながら、ビール用のピッチャーに注いだ。
冷蔵庫から、ミックスベジタブルと湯煎のミートボールを取り出した。
壁に掛けられた、四角い胴のフライパンを取り。
水で、軽く洗い、火にかけた。
直ぐに、油を吸った紙で、フライパンの表面を撫でて、ミックスベジタブルを適量落とした。
落し蓋を被せたが、隙間から湯気が漏れている。
蒸し焼きのつもりだ。
落し蓋を外し、ほぐれているのを確認したあとで、卵を流し込んだ。
ゆっくりと、具材を絡めながら、オムレツを作った。
オムレツは一つだけで、後は、だし巻きにした。
今日は、6人分の朝食と、3つのお弁当を作らないとならない。
フライパンを振り続けて、ダイニングテーブルを埋めて行く。
お弁当用は、海苔を巻いた。
時間になると、玄関が開き。
ドタドタと廊下を走る音がする。
最初のお客さんは、決まっている。
俺は、包丁を確認して、火を止めた。
その小さな物体は、俺の右足に絡みついて、離れない。
俺が見下ろすと。そこには、天音ちゃんがいる。
「パパ、おはよう」
満面の笑みで、挨拶するこの子は。
比嘉天音4歳 保育園に通っている。
俺は、水道で軽く手を洗い。前掛けで手を拭いた。
次に、天音ちゃんを持ち上げて、同じ目線で。
「おはよう」と挨拶を返した。
いつものように、包丁の危険度を教えたが、聞いてくれない。
そこへ、ゆっくりと、朱美がキッチンに入って来た。
数珠のノレンを払いながら、俺に近づいて。キスをした。
比嘉朱美、32歳 バツイチ独身 俺の会社の経理をしている。
天音ちゃんの母親だ。
164cmの高身長で、ヒールを履かれると、危うくなる。
セミロングの髪で、普通の体型。天然で、偶に鋭い指摘をする。
「ママ、ダメー、天音がババとチュ~するの〜」
俺は、天音ちゃんの頬に、思いっきりキスをした。
天音ちゃんは、頬に手を当てて。テレている。
天音ちゃんを挟んで、もう一度、朱美がキスをしてきた。
朱美は、申し訳無さそうに。
「パパ、今月も来ちゃった。ごめんね」
朱美が、悪くないのに、謝られた。
原因は、俺にある。
『無精子症』
いわゆる、タネナシだ。
これは、3人のシングルマザーとタネナシの俺の物語だ。
読んでいただき、有難うございます。
リメイク作品です。左程、変更されてませんが。描き直しです。
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