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喪女なのに狼さんたちに溺愛されています  作者: 和泉


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051.消えた

 あれ?

 おかしい。

 右に寝返りすると、もふもふ。

 左を向いても、もふもふ。

 頭の上もなんとなく重たい気がする。


 ゆっくり目を開けると、目の前は茶色の毛。


「ディ、ディーン?」

 驚いて飛び起きようと手をついたら、もふっとした。


 柔らかい銀の狼。


「ラ、ランディも?」


 枕の上には見慣れた黒っぽいグレーのアレクサンドロ。


 な、な、なんでみんなで寝ているの?


 慌てふためくヒナとは対照的に、3匹の狼は目覚めたヒナに擦り寄るとまた寝てしまった。


 可愛い。

 普段あんなにイケメンなのに、狼の姿は可愛い。

 1番ふわふわなランディの背中を触ると、天然のぬいぐるみのようで幸せだった。


 もふもふパラダイス!

 

 3匹の狼は一瞬だけ目が開いたが、また寝てしまったので触り放題だ。

 3匹同時に触りたいが、手が2本しかない事が悔やまれる。


 普段触れないランディとディーンをもふもふ触っていると、チラッと目を開けたアレクサンドロと目が合った。


「アレクは後でね」

 いつも一緒だからねとヒナが笑うと、狼のアレクサンドロはプイと横を向いた。


 拗ねている姿が可愛い。

 三角耳もふさふさの尻尾も可愛すぎる。


 結局ヒナはアレクサンドロも一緒にもふもふし、3匹の狼の毛並みをしばらく堪能した。



「ほどほどで解散してください。と言いませんでしたか?」

 ベッドの上で3匹の狼をもふもふしているヒナを見ながらユリウスは溜息をついた。


 祭りの食べ物が乗っていた場所にはワインが並んでいる。

 グラスは3つ。

 ヒナが眠った後、3人で飲んだのだろう。


 こんな風に、アレク様が誰かと気軽にお酒を飲める日が来るなんて。


 仕方がないですねと言いながら、少しうれしそうにユリウスは片付けを始めた。


「今日も祭りの食べ物を召し上がりますか? 食事を準備しますか?」

 どちらでも大丈夫ですよというユリウス。

 アレクサンドロは「グァウ」と返事をした。


 日曜日なのでランディもディーンも休みだ。

 昨日とは違う料理も並び、イベントも変わるので、また違う食べ物が楽しめるのだとユリウスはヒナに教えてくれた。


「……ところでいつまで狼なのですか?」

 テーブルの上を片付け終わったユリウスがベッドの上でヒナに擦り寄っている3人を見て溜息をつく。


 狼の方がヒナと目が合う。

 近くに居られる。


 3匹が告げた悲しい理由にユリウスは苦笑した。


「お兄様、今日もカーテンって開けた方が良いですよね?」

「そうですね。またイーグルが来るかもしれないので少しの間だけでも開けた方がよいでしょう」

 ヒナは3匹の頭を順番に撫でると、ベッドからゆっくりと降りた。


「お腹は空いていないですか? 今から4人分の朝ご飯を作ってきますね」

 ワンピースに着替えてからですけど。とヒナが微笑む。


 嬉しそうに尻尾を振る3匹。

 ヒナは眼鏡をはめると、奥の部屋へと入っていった。



『鳥』が消えた。

 コヴァック公爵は今朝から『鳥』がいない事を不審に思った。

 昨日、イーグルが来た時にはウロウロしていたのに。


 今朝から1羽も姿を見ていない。


 イーグルがヒナを確認したので、もう偵察がいらないということだろうか?


 あのイーグルが王族の中の誰なのか聞こうと思っていたのに。


 ヒナに花を贈ったことを考えれば、第3王子か第4王子あたりだろう。

 結婚している第1王子や第2王子が贈ってくるとは思えない。


 あとは国王の弟に息子が何人かいたような気がするが、年齢も身分もわからない。

 彼らがイーグルなのかさえわからないので、『鳥』に聞こうと思っていた。


 だが、居ない。

 こんなことは初めてだ。


 ヒナが来る前でも『鳥』は居たのに。

 コヴァック公爵は宰相に報告するために王宮へ向かった。



 昨日はたくさんチキン焼きを食べたから、朝はさっぱりとしたスープ。

 でも、アレクサンドロたちはやっぱりお肉が食べたいかもしれない。


 パンにレタスとチキンを挟んでサンドイッチに。

 スープは野菜たっぷりのミネストローネ。

 どのくらい作ったら足りるのだろうか。


 アレクサンドロはいつも朝からたくさん食べているけれど。

 あぁ、でも足りなかったらお祭りで美味しい物を買ってきてもらえばいいかな。


 誰かのために作る食事は初めてで楽しい。

 卵焼きも成功。

 綺麗にできたと思う。


 ヒナがスープをかき混ぜていると、窓に大きな『鳥』が近づいてくる。

 あのイーグルだ。


 イーグルは料理中のヒナを見るように窓ギリギリを飛ぶと、バサッと大きな音を立ててそのままどこかへ飛んで行った。


 ……何しに来たのかな?


 首を傾げるヒナ。

 出来上がった料理を銀食器に乗せ終わると、ヒナは窓とカーテンを閉めた。


 ズボンに着替えて料理を運ぶ。

 狼の姿から人の姿になっている3人。

 ちょっと残念と思いながらヒナはユリウスに手渡した。


「ヒナが一緒に食べてくれれば、私の毒見は不要ですよ」

 ランディとディーンも食べますしねとユリウスが微笑む。


「運ぶのを手伝います」

 ワンピース姿ではないのでカーテンは閉まっていると判断したディーンが立ち上がる。


「俺も手伝おう」

 色気ダダ漏れなランディも立ち上がりキッチンへ。

 あまりにもキッチンが似合わないランディにヒナは笑った。


「……どうして笑うのかな?」

 ヒナの顔を両手で挟み、正直に言ってごらんと微笑むランディ。


「私の方が家庭的です」

 旦那にするなら私の方が良いですよと料理を運びながらディーンは言った。


「俺だってヒナとキッチンでいろいろとしたいよ」

 ランディはキッチンに飾られたヘリオトロープを見ると、鳥には渡さないよとヒナの耳元で囁いた。


「あ、さっき、イーグルが来たんです。窓ギリギリを飛んでどこかに行きました」

 何しに来たのでしょうね? と首を傾げるヒナ。


 会いに来たに決まってるじゃないか。


 ランディは困った顔で微笑むと、残りの料理を持ってアレクサンドロの部屋に向かった。

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