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喪女なのに狼さんたちに溺愛されています  作者: 和泉


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048.祭り

「ランディ様! ぜひ一緒に!」

「ごめんね、仕事なんだ」

 腕についた警備の腕章を見せながら手を振るランディ。


「ディーン様! あの! ご一緒したいです」

「すみません、仕事中なのでご遠慮ください」

 運営の腕章をしたディーンはスッと歩く。


 ランディとディーンは、祭り会場でそれぞれアレクサンドロとヒナが喜びそうな物を探していた。


 特に買うものは相談しなかった。

 どちらの買ったものがヒナを喜ばせる事ができるか、地味に勝負だ。


「買ってきたよ」

「好きなものがあると良いですが」


 祭り初日。

 昼の1時頃にランディとディーンがアレクサンドロの部屋へとやってきた。


 手にはたくさんの荷物。

 買いすぎではないだろうか?


「足りなければ夕方買ってくるよ」

「まだ出来上がっていない店もあって」


 まだ始まったばかりなのに商店街はたくさんの人で賑わっていたそうだ。


「キューピット、行列でした」

 ディーンがニッコリ微笑みながら袋から取り出す。


「最後に買ったのでまだ冷たいと思います」

 ヒナに手渡すと見慣れない飲み物にアレクサンドロが首を傾げた。


「何味だ?」

 黒と白の変な飲み物。


「これはね、混ぜて」

 ヒナがぐるぐる掻き回し、銀のカップに移し替える。

 ユリウスが毒味をしてからアレクサンドロに渡した。


「ビリビリするぞ! 大丈夫か? この飲み物!」

 驚いたアレクサンドロがカップをテーブルに置く。


 ヒナはふふっと笑いながらキューピットを飲んだ。


「一部の若者の間で流行っている炭酸ジュースです」

 本当はもっとビリビリがキツいのだとディーンが言うとアレクサンドロは眉間にシワを寄せた。


 これ以上のビリビリは無理だ。

 ヒナはなぜ平気なんだ?

 若者は飲めるのか?

 俺は若者なのに飲めないぞ?

 飲めないなんてカッコ悪いのだろうか?


「俺も飲めないよ」

 苦手でねと言うランディの言葉にアレクサンドロはホッとした。


「あと、満月饅頭の完成品です。店主からヒナに」

「わっ! 食べたいです!」

 テーブルに置かれた満月饅頭10個入りをヒナは嬉しそうに見た。


「先に確認した方がアレク様の好きなタイミングで食べられるので一旦こちらに頂いても?」

 買ってきた物はテーブルではなくワゴンに乗せ、ユリウスが1つずつ毒見をする。


 大変だなぁ。

 毒見だけでお腹がいっぱいになりそうだ。

 ヒナは買ってきた食べ物を1つずつ開け、銀食器に移し、毒見をするユリウスをすごいと思った。


 毒見が終わった物からアレクサンドロの前に並べられる。

 あっという間にテーブルは食べ物で埋め尽くされた。


「なんだ? この食べ物?」

「それは昨年流行ったチキン焼きです」

 たこ焼きのような見た目の食べ物だが、中はタコではなくチキンらしい。


「これもチキン焼きか?」

「それはカステラです」

 同じ丸い形のソース無し。

 匂いは甘い。


 祭りに行ったことがないアレクサンドロにとっては知らない食べ物ばかりのようだ。

 普段の食事にたこ焼きのようなチキン焼きが出てくることもないし、コーラやカルピスを飲むこともない。


 王太子って大変なんだな……。


 漫画やアニメの王太子はキラキラの王宮に住んでいて、何でも手に入って幸せの象徴みたいな感じだったが、実際には街で自由に食べ物を買う事も出来ないし、祭りで売っているものも知らないのだ。


「ヒナ! これ甘いぞ!」

 差し出されたのはイチゴ飴。

 イチゴがパリパリの飴でコーティングされている。


「甘いのが好きなんですか?」

 ヒナがふふっと笑うと、アレクサンドロは少し恥ずかしそうな顔をした。


「ランディ、これも買ったのですか?」

 あ、ディーンもですか。とユリウスが商品を見て笑う。


「あぁ、ヒナが喜ぶかと思って」

「私もです」


 夜のお楽しみだよというランディ。

 ヒナは首を傾げながらたくさんの食べ物を頂いた。


「……お腹いっぱいです」

「俺もだ」

 ヒナがもう苦しいとソファーにもたれると横にいたアレクサンドロも一緒に倒れ込んだ。


「知らない食べ物ばかりで食べ過ぎた」

 祭りはすごいなとアレクサンドロが言う。


「いつか行ってみたいな」

 今年はムリだけど。とヒナが笑うと、アレクサンドロも「そうだな」と呟いた。



 アレクサンドロの部屋にノックの音が響き、宰相、コヴァック公爵、ロウエル公爵のイケオジ3人が入ってくる。


 ヒナは慌てて立ち上がり男性のお辞儀をした。

 今はズボンの姿。

 ユリウスの妻エリスに習った令嬢の礼はできない。


「ヒナ、今すぐ着替えて窓を開けてくれないか?」

「窓ですか?」

「あぁ、朝から『鳥』がいる」

 護衛が何度もヒナの部屋の近くを飛ぶ鳥を目撃し連絡してきたと宰相が言う。


 今日はヒナの部屋はカーテンが閉まっている。

 朝から何度か見に来ているそうだが、開かないので不審に思っているだろうか?


「わかりました。すぐ着替えます」

 ヒナがパタパタと自分の部屋へと走っていくと、テーブルに並んだ祭りの食べ物を見た公爵2人が笑った。


「アレク様、お気に召すものはありましたか?」

「チキン焼きがうまかった」

「南広場前のバンバン亭のチキン焼きはスパイシーで人気ですよ」

 ロウエル公爵があの店のチキン焼きは食べた方がいいと笑う。


「ルイルス亭のこってりしたチキン焼きもいいですよ」

 コヴァック公爵もおススメの店を言うと、アレクサンドロの目が輝いた。


「あとで買ってきてくれ」

 食べたいと言うアレクサンドロに、「今、腹いっぱいって言ってただろう」とランディとディーンは笑った。

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