表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています  作者: 和泉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/100

042.禁断の果実

 もしこの子が本気でチェロヴェ国に帰りたいというのならば、宰相の反対を押し切ってでも逃がしてやろうと思っていた。


 国王陛下からランディへの命令は「聖女をこの国に引き留めろ」「この国から出た場合は聖女の命を奪え」の2つだ。


 聖女が他国へ行った場合、他国の戦闘力が上がる。

 それを恐れた国王陛下が出した命令だが、それではあまりにもこの子が可哀想だと思っていた。


 だが、どこにも行かせたくない。

 他国には渡さない。


 ロウエル公爵は脱いでしまった白い襟シャツを羽織ると、ボタンは留めずに銀の髪をかき上げながらソファーへと座った。


 イケオジの色気が凄すぎます。


 父より年上のはずなのに全然オジサン感がない。

 恐るべし狼族。


 ヒナは心を落ち着かせようと冷めてしまったミルクティーを手に取ったが、手がプルプルと震えてしまった。


「宰相、他国を招いた夜会は1月だったか?」

 ロウエル公爵が確認すると、宰相は手帳を広げ「1月8日です」と答えた。


「その日に聖女を見せびらかす」

 その日までは徹底的に隠し、夜会でお披露目するというロウエル公爵に、コヴァック公爵は「危険では?」と尋ねた。


「夜会で自分の国に来るように口説くだろう」

 合法的に会う機会が設けられるのならば、そこまでは各国は大人しくするはず。


 誘われたら行きませんと断ってやれとロウエル公爵はニヤリと笑った。


「夜会は令嬢の姿で?」

「あー、どっちにしようかな」

 宰相が問いかけると、豪華に着飾ってチェロヴェに後悔させてやるのも良いが、ズボンに眼鏡でもおもしろいと笑うロウエル公爵。


「途中で着替えるか」

 コヴァック公爵もチェロヴェに追い出した仕返しをしてやると笑った。


「守ってやるから一緒に戦え」

「はい、ロウエル公爵」

 防衛戦術に長けているロウエル公爵。


「敵を撹乱させる。協力してくれ」

「はい、コヴァック公爵」

 情報戦を得意とするコヴァック公爵。


「よろしくお願いします」

 ヒナは立ち上がりお辞儀をした。


 夜会まであと4ヵ月しかない。

 忙しくなるぞと言う宰相にヒナは頑張りますと微笑んだ。


 ヒナに与えられた指示は3つ。


 1ヶ月で魔力のコントロールを行えるようになる事。

 夜会までにマナーを身に着ける事。

 狼族以外を見つけたらすぐに報告する事。


 コヴァック公爵の『鳥』のように敵ではない場合もあるが、ヒナでは判断が出来ないので全て報告するように宰相に言われた。


「じゃぁ、今日はこれで」

「ありがとうございます」

 イケオジ3人が立ち上がったので、ヒナも慌てて立ち上がりお礼を言う。

 

「魔力を暴発させないようにがんばるんだよ」

 はだけたシャツのボタンを閉めながらヒナの右頬にチュッと口づけするイケオジ。


「『鳥』以外も探りにくるだろう。街は気をつけなさい」

 茶色の眼を細めながらヒナの左頬にチュッと口づけするイケオジ。


「な、な、なんでっ」

 再びヒナから甘い魔力が溢れだすと、イケオジ2人は声を上げて笑った。


「息子たちの代わりさ」

「お二人とも、本当に奥様に言いますよ?」

 宰相が扉を開けながら溜息をつく。


「ユリウス、ヒナを部屋まで送ったら宰相室に」

「はい、父上」


 スキンシップは多めと聞いていたけれど、年齢に関係なく?

 ヒナは真っ赤な顔でイケオジ3人を見送り、角を曲がった事を確認するとその場に座り込んだ。


「ヒナ? どうしました?」

「イケオジも危険です」

「は?」

 イケオジって何ですか? と首を傾げるユリウスに、ヒナは魂が抜けましたと呟いた。



「あの魔力、狼族以外も有効だろうか?」

 媚薬に似た甘美な魔力。

 あんな魔力を出されては、あの子を手に入れたくて仕方がなくなってしまうとコヴァック公爵が困った顔で微笑んだ。


「禁断の果実だな」

 上着を羽織りながらロウエル公爵も困ったと言う。


 女性と本気で付き合わないランディが即落ちした聖女。


 実際に会ったら子供だった。

 正直なぜ年も離れたこんな子に夢中なのかと思ったが、自分も戦うと言う回答は面白いと思った。


 それでも夢中になるほどではないと様子を伺っていたが。


 あの魔力に触れてしまったらもう逃げられない。

 甘くとろけるような魔力が欲しくてたまらなくなった。

 可愛がって甘やかしたい衝動に駆られてしまった。


 ランディが夢中になるはずだ。


「争奪戦だな」

 ロウエル公爵は溜息をついた。



 仕事が恋人だと言われるほど、女性と付き合うどころか一緒に食事さえしなかったディーンが『理想の女性』とまで言った聖女。


 絶世の美女というわけでもない。

 自分の事よりも、他人の事を優先できる姿には好感が持てたが、ディーンが冷静さを失うほど夢中になった理由はわからなかった。


 だが、あの魔力を嗅いでしまったら冷静な判断はできなくなった。


 助けてやりたい。

 守ってやりたい。

 甘やかしたい。

 

 ディーンもきっと同じ気持ちだろう。


「あの魔力は危険だ」

 あの魔力の魅力には逆らえないとコヴァック公爵が言うと、ロウエル公爵も頷いた。


「武官達もすでに魅力に気づいている。『ひーくんを愛でる会』を作ったそうだ」

 聞いた時は意味が分からなかったが今ならわかる。とロウエル公爵が笑う。


「文官は何も。魔力を使っていないからだろう」

「だろうな」

 コヴァック公爵とロウエル公爵は今後の作戦を立てるため、今から宰相室を乗っ取る事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ