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喪女なのに狼さんたちに溺愛されています  作者: 和泉


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041.イケオジ

「信用……ですか?」

 想定外の回答にヒナは首を傾げた。


「おっと、陛下の次の予定の時間だ。少し席を外すよ」

 宰相は時計を見ながら立ち上がった。

 ヒナの頭をそっと撫でると扉から出て行く。


「さて、宰相が居ない今がチャンスかな」

「そうだね。聞くなら今だろう」

 ロウエル公爵とコヴァック公爵が顔を見合わせてニヤッと笑う。

 イケオジ2人の悪い顔にヒナは嫌な予感がした。


「ランディとディーン、どっちが好みだい?」


 やっぱりキター!

 その質問!


「どちらも優しいです」

 ヒナが答えると、イケオジ達はその回答ではつまらないと微笑んだ。


「見た目は?」

「どちらもカッコいいです」

「頼りになるのは?」

「両方ですっ」

 質問攻めで焦るヒナをイケオジ2人が笑う。


「人の姿と狼の姿はどっちが好きかな?」

「狼です!」

 即答なヒナにイケオジ2人は不思議そうな顔をした。


「……狼の方が良いのか」

 それは意外だなとロウエル公爵が呟く。


「では何色の狼が好きかな?」

「何色でも好きです」

「これは聞き出すのが大変だ」

 ニヤッと笑うコヴァック公爵にヒナは気まずそうに微笑んだ。


「年上はどこまでOKかな?」

「ど、どこまで?」

 変な質問にヒナが驚く。


 この子は焦ったりパニックになると魔力が溢れだすとランディが言っていた。

 普段は心を閉ざしているので魔力が見えないと。

 あれこれ質問をし動揺させたが魔力はまだ感じない。

 ここへ来る時点でこのくらいの質問をされることは想定済だったのだろう。

 本人が驚く出来事を作り出すしかない。

 ランディに似たグレーの眼を細めてロウエル公爵が微笑んだ。


 ペロリと舌舐めずりする姿は狼のようだ。

 ランディよりも大きな銀の狼なのだろう。

 強そうでしなやかそうな姿がヒナの脳裏に浮かぶ。

 目の前の姿は体格の良いイケオジなのに。


 ロウエル公爵は立ち上がるとヒナの座るソファーに近づいた。

 ふわっと良い匂いがしたと思った瞬間にヒナの身体がふんわりと浮く。


「ひあっ」

 ヒナは思わず変な声を出した。


 人生初のお姫様抱っこはワイルド系イケオジ!

 ヒナの顔は真っ赤だ。

 汗が一気にブワッと出たのがわかる。


 どうしてこんな事に!


「軽いな。ちゃんと食べているか?」

 グレーの眼がヒナの顔を覗き込んだ。

 ヒナは必死で頷く。


 パニックなヒナから甘い魔力が溢れてくるとロウエル公爵はニッコリと微笑んだ。


「甘いな。なるほど。コレは惑わされる」

イケオジの顔が近づき、銀の柔らかい髪が顔にかかる。

 

 頬の横がくすぐったい。

 匂いを嗅がれているみたいだ。

 狼の姿なら恥ずかしくないけれど、イケオジの姿はムリですー!


 ヒナから溢れた魔力はようやくソファーに座るコヴァック公爵に届いた。

 驚いて立ち上がるコヴァック公爵。


「これはすごい。夢中になるはずだ」

 今度は茶色の柔らかい髪がヒナの顔にかかる。


「あ、あのっ、ムリです。もうムリです」

 勘弁してくださいと涙目で訴えるヒナ。


 甘い魔力。

 庇護欲をそそられる仕草。

 この魔力にずっと触れていたいと思ってしまう。

 自分のものにしたいと。

 ランディが夢中になるのもわかる。


 聡明な回答をする時とは全く違う焦った表情。

 自分だけに見せる顔と甘い魔力。

 何でも自分で頑張ろうとする姿はつい助けてやりなくなってしまう。

 ディーンが理想の女性だというのもわかる。


「かわいいなぁ」

「可愛いですね」

 無敵のイケオジ2人は必死で訴えるヒナを離してはくれなかった。


    ◇


「……なぜそのような状態に?」

 国王陛下を次の会議室へ案内し、急いで戻ってきた宰相は額を手で押さえた。


 ヒナはロウエル公爵の膝の上。

 コヴァック公爵まで隣に座り、ヒナにクッキーを食べさせている。


「……お二人とも、奥様に言いつけますよ?」

 宰相が溜息をつくと、イケオジ2人は顔を見合わせた。


「この子はランディの嫁になるから大丈夫だ」

「ディーンの嫁だ」

 言いつけられても大丈夫だと開き直る大人に、宰相は元の場所へ戻るように冷たく告げた。


「宰相、この子の魔力を嗅いだことはあるか?」

「ないですが?」

 普段から魔力を感じませんと宰相はコヴァック公爵に答える。


「嗅がせてやろう」

 膝にちまっと乗るヒナの右の首元にロウエル公爵が擦り寄り、左の首元にはコヴァック公爵が擦り寄る。


 イケオジ2人の吐息がエロい。

 ムリです! ムリです!

 狼が擦り寄るのは平気でもイケオジが擦り寄るのはムリですー!


「ひあっ、たっ、たすけ」

 涙目でパニックになるヒナから甘い魔力がぶわっと部屋に広がった。


「……これがヒナの魔力……?」

 驚いた宰相が目を見開く。

 心地の良い甘美な魔力はまるで媚薬。


「……これはアレク様が暴走するはずですね」

 宰相の言葉にイケオジ2人がヒナからようやく顔を離した。


「暴走? 中央公園か?」

「えぇ。求婚し、ヒナの魔力を暴発させました」

 宰相が肩をすくめると、イケオジ2人は溜息をついた。


「まぁ、アレク様は若いからな」

「押し倒さなくて良かった」

 コヴァック公爵は立ち上がり元のソファーへ移動する。

 ロウエル公爵はヒナをソファーに下ろすと、頭をポンポンと撫でてから立ち上がった。


「……うん?」

 ロウエル公爵が身体の異変に気付く。


「どうしました?」

 首を傾げるコヴァック公爵を横目に、ロウエル公爵は勢いよく上着を脱ぎソファーに放り投げた。

 白い襟シャツも勢いよくボタンを外すと、豪快に脱ぎ背中を出す。


 ワイルド系イケオジの背中はすごい筋肉でした。

 誰に報告してるのかわからないが、ヒナは驚きすぎてロウエル公爵の背中を見つめたまま固まった。


「背中の傷はどうなっている?」

「……ないです」

 ロウエル公爵がコヴァック公爵に確認すると、傷はないとコヴァック公爵が首を横に振った。


 若い頃に負った熊族の爪の引っかき傷。

 生活に支障はないがいつも皮膚が突っ張ったような感覚があった。

 今はその不快な感じがない。

 シャツを全部脱ぎ、腕や肩の見える範囲の傷も確認する。


「……傷がない」

 豹に噛まれた痕も、人族に槍で付けられた傷も。


 宰相もロウエル公爵の背中の傷は知っている。

 ケガをした当時はかなり深い傷だったはずだが、その傷がなくなっているなんて。


「……さっきの甘い魔力か?」

「……だろうな」

「すごいな」

 大人3人がヒナを見る。


 ワイルド系イケオジの腹筋は割れています。

 ヒナは目のやり場に困りつつ、たくましい腹筋から目を逸らすことができなかった。

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