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喪女なのに狼さんたちに溺愛されています  作者: 和泉


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038.文官の仕事

「おぉ! そりゃいいな」

 祭りの計画書を広げ、豪快に笑うナイトリー公爵のお相手はヒナだ。

 以前、書類を代わりに書いた事がきっかけで何故か気にられてしまい専属担当のようになってしまった。

 本当はハサウェイの係が担当で、ディーンの係の仕事ではないがナイトリー公爵ご指名のため断れないのだそうだ。


「それでな、ひー坊。中央公園に舞台を作ったらどうかと思うんだ」

 今日はイベントスペースの相談。

 祭りのステージが欲しいというナイトリーのプランを聞き、ディーンに報告する事が今日のヒナの仕事だ。


「ナイトリーさん、このステージの向きだと日がこっちだから見る人が眩しいですよ?」

 お昼に眩しい太陽を見ながらステージを見るのは辛い。

 逆光でステージの人の顔は見えないかもしれない。


「そうか! そこまで考えておらんかったわ」

 すごいな、ひー坊! とナイトリーが褒める。


 中央公園には池や花壇がありステージを作る場所は限られている。

 普通にこの場所が良いかなと計画したら逆光の向きになってしまったのだ。


「中央公園じゃないとダメですか?」

「商店街があるからな」

 先日行った南広場は芝生しかなかった。

 あそこなら場所があると思ったが商店街からは遠い。


「舞台の後ろに荷物とか次の人の控え室とかを準備したいと思うと中央公園では場所が足りなくて」

 舞台のサイズの倍は場所が必要だとヒナが言うとナイトリーが驚いた顔をした。


「確かに荷物を置くところがいるな」

「南広場なら広さは十分だと思ったんですが」

 商店街から遠いからダメですよね? とヒナがナイトリーの様子を伺う。


「南広場か……」

 ナイトリーはアゴに手を置きながら考え出した。


「例えば舞台は南広場に作り、北広場と中央公園で小さなイベントを実施し、人が北から南に商店街を通って移動するようにするのはどうですか?」

 街の簡易地図を持ちながらディーンが打ち合わせスペースに入ってくる。

 テーブルに地図を広げると南広場に舞台を作るのならこの位置がベストだろうと地図に書き加えた。


「この向きなら日差しは大丈夫ですね、ひーくん」

「はっ、はい」

 ディーンにひーくんと呼ばれ慣れていないヒナは動揺してしまった。


「南広場なら常設も可能。常設なら屋根や椅子をつけても良いかと思いますがいかがでしょうか?」

 テキパキと案を出していくディーン。


「常設か! そりゃいいな」

 ナイトリーも屋根や椅子があった方が良いと賛成する。

 人が南北を歩くのも良い案だと頷いた。

 ディーンが来てからあっという間に決まり、ナイトリーはご機嫌で帰っていった。


 ディーンはすごい。

 常設とか屋根や椅子まで提案していた。

 人の流れまで。

 商店街を歩いて欲しいという目的を達成するどころか、北から南まで、商店街の端まで人が動くプランだ。


「よく南広場を思いつきましたね」

 日の向きも。

 すごいですねとディーンが微笑む。


「土曜に南広場に行ったんです。芝生しかなくてとても広かったので」

「……ランディと?」

「は、はい。オオカミに会いに」

 テーブルを片付け終わったディーンはヒナの手をそっと握った。


「今週は私と出かけましょうね」

 本屋以外も考えておきますとディーンが微笑む。

 1度グッと強く手を握ると、手はゆっくりと離された。


「すごいね、ひーくん。うちの係に移って来ない?」

 ご機嫌なナイトリーを見送ったハサウェイがヒナに飴を差し出しながら微笑んだ。

 ハサウェイは40歳くらい。

 暗めの茶髪に茶眼で彫りが深く厳しそうな顔だが、実は甘いもの好きだと先日知った。


「飴で釣らないでください」

 ひーくんはうちの子ですと溜息をつくディーン。


「ひーくんはこの飴が好きなんだ。1つくらい良いだろう?」

 ハサウェイがヒナの手に飴を乗せる。

 いちごみるくに似た甘い飴で、サクサクな所がそっくりな飴だ。


「ありがとうございます」

 嬉しそうにヒナが受け取ると、ハサウェイはヒナの頭をぐりぐり撫でて席に戻った。


「好きなのですか?」

 知らなかったとディーンが言う。


「ライラさん達とお昼を食べた日にもらったんです」

 ライラはナイトリーに泣かされていたお姉さん。

 休憩時間がズレているので時々しか一緒に食べられないけれど、優しいお姉さんだ。

 ライラと食べない日はパワフルなお姉様方と食べている。


「10種類くらいの中から選ばせてくれて」

 今までいろんな飴をもらったが1番美味しかったのがいちごみるくだ。

 美味しいと言ったのをハサウェイは覚えていてくれたようだ。


「そうですか。では私もご褒美のお菓子を準備しておきます」

 飴にしますか? クッキーにしますか? あぁ、でもお菓子は詳しくなくて。と悩むディーンにヒナは笑った。


 真面目なディーンはお菓子を買うのも悩みそうだ。

 真剣な顔でお菓子を選ぶ様子が目に浮かぶ。


「土曜日に一緒に選びたいです」

 街にお店はありますか? とヒナが聞くとディーンは微笑んだ。


「ではたくさん売っている店を聞いておきます」

 どれを買えばいいのか悩む姿を察してくれたのだろう。

 ヒナはいつも理想の答えをくれる。


 本当に不思議な女性。

 どうしたら彼女が手に入るのだろうか。


 アレク様のような身分はない。

 生まれは公爵家でも次男なので爵位は継げない。


 ランディのように女性の気持ちはわからない。

 喜ばせ方も流行りの店も知らない。

 どうしたら振り向いてもらえるだろうか?


 ディーンは明日の仕事を今日中に終わらせ、明日は流行りの店の情報収集をしようと決めた。

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