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喪女なのに狼さんたちに溺愛されています  作者: 和泉


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029.愛でる会

 今日は月曜日。

 武官に行く日だ。


 ユリウスの妻エリスと買った新しいズボンは、前よりも身体に合っていて歩きやすい。

 シャツは相変わらずブカブカでお尻よりも長く、体形をわかりにくくしている。

 前髪で目を隠し、眼鏡をかけたら準備完了だ。


 まだ部屋が出来ていないので今まで通りアレクサンドロと朝食。

 気を使ってくれているのだろう。

 アレクサンドロはずっと狼の姿でいてくれた。


「おはようアレク、おはようヒナ」

 アレクサンドロの部屋まで迎えに来たランディは、黄色い1輪の花をヒナに手渡した。


「おはようございます?」

 なぜ花をもらったのかわからないヒナは挨拶が疑問形になる。


「サンビタリアだよ」

「ありがとうございます」

 ガーベラに似ているが少し違う。

 小さなひまわりっぽい花だ。

 花瓶はないのでコップに水を入れ、ヒナはベッドの横にあるテーブルに飾った。


「グアオゥ」

 何で花を贈るんだとランディに抗議するアレクサンドロ。


「別に構わないだろう? アレクだって求婚して抜け駆けしていたじゃないか」

 サンビタリアの花言葉は「私を見つめて」。

 ヒナの反応を見る限り、知らない花のようだった。

 いつか花言葉に気づいてくれると良いけれど。


「さぁ、魔力操作の練習をしてからオオカミの所へ行こうか」

「えっ?」

 今まで通り優しく微笑むランディにヒナは驚いた。


 一昨日、国王陛下の前で誰とも婚約しないと宣言し自立したいと伝えた。

 今日迎えに来てくれるなんて思っていなかったし、魔力操作の練習も、もうしてもらえないと思っていた。


「自立するための手伝いくらい構わないだろ?」

 さぁ行こうと腰を抱くランディ。


「行ってきます」

「ガァオウ」

 いってらっしゃいではなさそうな吠え方に首を傾げながらヒナはランディに連れられて扉を出た。


 くっつきすぎ……ね。

 ランディはアレクサンドロの苦情に笑う。

 誰とも婚約しないと言ったヒナ。

 今のところ誰も好きではないという事だ。


「それにしても誰とも婚約しないは驚いたな」

 歩きながら話しかけるとヒナの身体がビクッと揺れた。


「誰にするか考える時間が欲しいって言ってくれると思ったんだけどね」

 演習室の扉を開けながらランディは少し俯いてしまったヒナの顔を覗き込んだ。

 相変わらずヒナとは目が合わない。

 ランディは困った顔で微笑んだ。


「いつか、俺を好きだと言わせてみせるよ」

 にっこり笑うNo.1ホストは心臓に悪い。

 ヒナは真っ赤な顔を隠すことも出来ないまま困った顔で微笑んだ。


「とりあえず、今度の土曜は俺とデートね」

「えぇっ?」

「予定はないだろう?」

 ランディがグレーの眼を細めて微笑む。


 予定はないけれど、欲しいものはもうユリウスに買ってもらった。

 特に行きたい店もない。

 必要な物も思いつかない。


「ヒナと行きたい店があるんだ」

 1人じゃ入りにくくてねと笑うランディ。


 あ、ランディが行きたいお店ね。

 1人じゃ入りにくいって事はスイーツ店とか?

 ヒナはわかりましたと微笑んだ。


「じゃ、魔力操作の練習を始めるよ」

「はい。お願いします」


 魔力操作の練習を1時間ほどしてから子供のオオカミの所へ。

 最後の子供のオオカミが大人の厩舎へ移動していく様子をヒナは寂しそうに見つめた。


「ひーくん、そんな顔しないの~」

 立派に育ったんだから! とオレンジ眼のリッキーがヒナの頭をグリグリ撫でる。


「ここをキレイにして次の子を迎える準備するよ!」

「ちょっと扉も直しておきたいよね」

 茶眼のノックスと緑眼のライルもヒナの頭をワサワサ撫でる。


 みんな優しい。

 ヒナはボサボサになってしまった髪を直すためにヘアゴムを外した。

 サラッと広がる髪。


 さっきオオカミがスリスリしてくれた時に汚れた眼鏡も取り上着の裾で拭いた。

 眼鏡を拭いたら元通りにはめて、髪も縛り直す。

 リッキー、ライル、ノックスの3人が見ている事に気がついたヒナは首を傾げた。


「ひーくん、眼鏡無い方がいいよ」

「やっぱり子供のオオカミのお世話の時は眼鏡がない方が良いですか?」

 でもワンピースのヒナと、ズボンに眼鏡のヒワの2人に見せかけるにはやっぱり眼鏡は必須だ。

 うーんと悩み始めたヒナを3人は笑った。


「ひーくん真面目!」

「つけたり取ったりすればいいのに」

「ここに眼鏡を置く棚を作ってあげよっか?」

 この柵に入っている時だけ外せばいいのにと笑われたヒナは、ようやくその事に気がついた。

 少しの間、眼鏡を外すなんて普通なのに難しく考えすぎていた。

 ヒナは棚をお願いしますとノックスに微笑んだ。


「あー、いたいた! ひーくん!」

「ジョシュさん。耳はどうですか?」

「全然問題なし! ホントありがとう」

 この前はお礼が言えなくてすまんとジョシュがヒナの頭をなでなですると、ヒナは笑った。


 狼族はボディータッチが多いとディーンに聞いたが、ここのみんなは頭をグリグリ、なでなでする事が多い。

 みんなと20cm以上身長が違うので、ちっちゃい子扱いなのかもしれない。


「ランディが5棟C室の片付け手伝って欲しいってさ」

「はーい。行ってきまーす」

 手を振ってオオカミ厩舎から出て行くヒナ。

 4人もそれぞれ手を振り返した。


「可愛いなぁ」

 完全に出て行った事を確認した後、ジョシュが呟く。

 あの子が何歳か知らないが37歳の自分からすれば娘くらいの年齢かもしれない。


「ジョシュ、耳治してもらったからって抜け駆けなしだよ」

 年齢離れすぎでしょとノックスが笑う。


「ひーくんさ、むっちゃくちゃ可愛いんだ」

 眼鏡ナシ、前髪ナシ、令嬢の姿のひーくんはスゴいとジョシュが言うと、3人が食らいついた。


「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」

「どこで見たのさ!」

「ジョシュだけズルい」

 俺も見たいと3人が言う。


「この前、国王陛下に耳の件で呼ばれただろ? あの時は令嬢の姿で一瞬誰かわからなかった」

 でもランディがいるし、文官もいるし、王太子に補佐官が一緒でビビったとジョシュは肩をすくめた。


「王太子?」

「えっ? 俺らのひーくんが取られる!」

「隠そうぜ! やっぱり眼鏡は取ったらダメだ」

 ワイワイ盛り上がる3人。


『ひーくんを王太子から守る会』を発足しようとした武官達をランディは止めた。


「後ろ盾はイーストウッド!」

 宰相に睨まれるぞと眉間にシワを寄せるランディに阻止された武官達は『ひーくんを()でる会』に名前を変える事にした。

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