【言霊の詩 千夜一夜】/『第二夜 お酒の泪』
人生において、大人になったならば、その心と魂を深掘りするのは時にお酒というものです
そこから垣間見えることに深く酔ってみてください
「あなたが自分自身と繋がる奇跡」
七五調のリズムと韻が、優しく染み込む夜に
今宵もこの詩に込められた、人生の片鱗と物語を感じてみてください。。。
【 第二夜 お酒の泪 】
お酒の泪は 琥珀色
人に疲れし 束の間の
生に疲れし その時に
ただ酔いたい 時もある
甘いか辛いか その時は
心の模様を 映しとる
グラスに映る 波模様
心の揺れと 重なりし
手に持つ ひやりと心地良き
ガラスの冷たい 感触は
あなたの心の 冷たさか
それともわたしの 冷ややかか
ほのかにめぐる ほろ酔いは
しばしの間の 夢うつつ
誰しも 何かを忘れたい
逃げたい夜の 逃避行
やがて夜も更け まどろみが
うつらうつらと 醸し出す
その間の微かな 綻びに
いつしか 心を開きつつ
眠れぬ夜の 幻に
一人誘う 後悔に
持ちたくもない 罪悪感
引き取る相手は もういない
時に至上の 友に会い
それが愛かは 分からねど
心の鏡を 映しとる
グラスに映る 我が姿
お酒の泪は 映し出す
あなたの泪の 味として
泪を飲み干す 相手さえ
孤独の鏡は 許さない