わたくし、恋のキューピッドですわ
後日談でイヴォンヌさんの話が書けたら良いな。
エレオノーラのお茶会の為、イヴォンヌは離宮を訪問していた。
当然、エレオノーラは国賓級の重要人物なので、王宮に滞在しているが、離宮がガラリとサティナス風に模様替えされているのにイヴォンヌは開いた口が閉まらない。
「エレオノーラ様……」
「ようこそ、イヴォンヌ様」
離宮の女主人の様なエレオノーラは略式のドレスでイヴォンヌを出迎える。
「驚いて?3ヶ月滞在するので不便がない様に模様替えをさせて頂いたの」
模様替えの域を超えて、改装と言っても過言では無い。
趣味の良い調度品に囲まれたティールームには既に客がおり、イヴォンヌを好意的に受け入れた。
「初めまして。エレオノーラの婚約者、デビッド・サラス公爵だ」
「初めでお目に掛かります。わたくしはシスレー公爵の長女、イヴォンヌと申します」
美しいカーテシーは、彼女が弛まぬ努力を重ねてきたことを証明する。
「久しぶりだな。シスレー公爵令嬢」
「お久しぶりです。アルフレッド第一王子殿下」
黒にも見える濃緑の髪に蜂蜜の様な金の瞳をした、少し年上に見える青年が嬉しそうにイヴォンヌに声を掛ければ、イヴォンヌの目が潤んで、今にも涙が溢れそうだ。
お茶会は和やかな雰囲気だが、話している内容はかなり際どい。
「それで証拠と証人は得られましたの?」
「杜撰すぎてライルの手を煩わせたのが申し訳ないくらいに、あっさりと集まった」
エレオノーラを見詰めるデビッドが苦笑する。
「ライル。手間を掛けさせてしまった様ね」
「お嬢様のお望みを叶えるのが執事の役目です」
さらりと挨拶をし、壁際に控えるライルは暗部の出で、今回は証拠固めに動いていた。
「アルフレッドも回復したのですから、そろそろ幕引きですわね」
エレオノーラの蒼い瞳が向かいのソファに座る青年を見た。
「父、マルケナス王もエレオノーラ様に同意しております」
「では、デビッド様。お願いしても宜しいでしょうか?」
「喜んで承ります」
お芝居の様な会話を聞きながらイヴォンヌは、息を吸い込みエレオノーラを見詰めた。
「エレオノーラ様。父、シスレー公爵もエレオノーラ様の提案を受け入れる、と申しております」
「まぁ、嬉しい事。アルフレッド、良かったですわね」
硬い表情をしているイヴォンヌにアルフレッドが頬を染め、頷いた。
「イヴォンヌ、君を諦めなくて良かった。あぁ、今日は人生で最高の日だよ」
甘く溶けてしまいそうな金の瞳は頬を赤く染めるイヴォンヌだけを見つめている。
ウチの猫
ウチの猫はかなりストーカーだ。
仕事から帰ると夕飯を作る時もトイレや風呂の時もついて来る。可愛いが、いつか踏みそう。




