わたくし、お茶会が楽しみです
イヴォンヌさんは芯が強い方。
「イヴォンヌ様。明後日の午後、わたくしが逗留する離宮でお茶会を開くのですが、来ていただけるかしら?」
令嬢達と別れ、帰宅の馬車に乗る為玄関まで2人で歩いている時、エレオノーラが微笑みながら声を掛けた。
「離宮……ですか」
イヴォンヌの目が潤んでいる。
「ええ。マルケナスで出来た初めてのお友達を婚約者と古い友人に紹介したいのです」
「光栄です、エレオノーラ様」
微笑んで頷こうとした時、廊下の角から出てきたステファノン達と鉢合わせした。
イヴォンヌとステファノンは、お互い何も言わないでエレオノーラに視線を向けたが、ステファノンの脇に立っている女子生徒が不満そうに声を上げる。
「ステフ、どうしたの?なんで立ち止まってるの?早くカフェに行きましょうよ」
茶色の髪にピンク色の目をした正門で見た女子生徒が、不機嫌そうに唇を尖らせている。
「イヴォンヌ様。決断は先送りになさらない方が宜しいかと思われます」
エレオノーラの硬い声にイヴォンヌも小さく頷く。
エレオノーラはそのままイヴォンヌを伴いステファノンの前を、何も言わずに歩き出した。
「なんて失礼なの。ステフは王太子なのに」
「ミア、黙って」
喚くミアと呼ばれた生徒にステファノンが何かを言っていた様だが、エレオノーラは気にもせず玄関へと向かった。
「アレは駄目ですね」
毅然とした態度のエレオノーラにイヴォンヌが謝罪をしようと足を止めると
「イヴォンヌ様には、一途で誠実な方が良いですわ」
と、笑顔を向け、エレオノーラの蒼い瞳がキラキラ輝いた。
「えっ?」
イヴォンヌが驚いて目を丸くしていると、ウキウキしているエレオノーラがイヴォンヌの手を取り
「明後日のお茶会が今から楽しみですわ」
と、満面の笑みでイヴォンヌを見つめた。
ウチの猫
猫はお喋りな子と静かな子がいる。ウチの猫はお喋りだ。
ご飯の催促からトイレの報告と良く喋る。夜中のトイレ報告は止めてくれ。