わたくし、嬉しい言葉をいただきましたわ
エレオノーラが可愛い。
学園長は穏やかな顔でエレオノーラの留学を歓迎し、エレオノーラはイヴォンヌと同じ3年のSクラスへ入った。
ちなみにステファノン達はSクラスの生徒では無く、1つ下のクラスに居る。
「エレオノーラ様。マルケナスへようこそお越し下さいました」
「イヴォンヌ様と同じクラスでホッとしましたわ」
次の日からエレオノーラはクラスに入った時からイヴォンヌを家名では無く名前で呼び、イヴォンヌにも王太女殿下の敬称を付けないで名前を呼ばせていた。
サティナスの王太女である事は大っぴらにはしていないが、エレオノーラの輝く様な美貌はすぐに学園中に知れ渡り、多くの令嬢令息達が挨拶に来たが、始終イヴォンヌをそばに置き、親しげに微笑み合う姿を周りに見せていた。
それにしても、学園内では驚くほどエレオノーラが書いた物語の様な状況が展開されている。
第二王子のステファノンや高位貴族の令息達が男爵令嬢のミアの周りに侍り、婚約者候補のイヴォンヌや自分達の婚約者の行動を非難していた。
実際、何人かは忠告と称してイジメらしきものをしている様だが、イヴォンヌは忠告以外はしていない。
「物語の様な、教科書を破いたり紅茶を掛けたりは勿論、階段から突き落とすなど誰もしておりません」
イヴォンヌが困った顔でエレオノーラに状況を説明すると
「あの下でモノを考える令息達の婚約者達は婚約破棄や白紙に戻す事ができないのですか?」
「下で?下とはなんでしょう?」
真面目な顔でどうにか出来ないか、と考えているエレオノーラの言葉にイヴォンヌは首を傾げた。
「はっきり言うとデビッド様に叱られてしまいますの」
エレオノーラの頬が少し赤くなり、閉じた扇の先でチョン、とお腹辺りを指した。それだけでエレオノーラが言いたい事が分かったイヴォンヌも頬を赤くし、エレオノーラを見てクスクスと笑い出した。
「確かに怒られてしまいますね」
「ね、そうでしょう」
軽やかな笑い声。
大国の王太女でありながら気さくな人柄。
彼女が生み出す物語が、軽やかでどこか優しげなのを納得した。
「エレオノーラ様とこうしてお話ができる幸運に感謝してますの」
「まぁ嬉しい言葉」
微笑むエレオノーラの輝く様な美貌にイヴォンヌは眩しいものを見る様に目を細めた。
ウチの猫
ウチの猫は良く私の手や足を舐める。愛情表現か?と思ってたらなんかの本に『猫が舐めるのは味見』と書いてあった。
私は君のご飯じゃ無いぞ。