わたくし、見届けますわ
後ちょっと。
夜会はエレオノーラへの感謝をマルケナス王が述べ、その返事と会の始まりをエレオノーラが宣言して和やかに始まる予定だった。
エレオノーラがそっとマルケナス王に視線を向けると、マルケナス王は
「会の前だが、サティナス王国の王太女であるエレオノーラ王太女殿下に我が国の王太子の立太子を見届けて頂きたいのだが、いかがですか?」
少し砕けた口調で、エレオノーラの判断を促す。
「喜んで立会人になりますわ」
エレオノーラの言葉に頭の中身が腐っている令息達がオロオロし始めた。
当然だ。ただの隣国からの留学生だと思っていたエレオノーラが実は大国サティナスの王太女である事を今知ったのだから。
「貴族にあるまじき愚鈍さだ」
デビッドが小声で囁き、エレオノーラは目で頷いた。
「イヴォンヌ・シスレー公爵令嬢には既に王太子妃としての教育を受けて貰っている」
マルケナス王の言葉に会場の者達が息を呑み、ステファノンがニヤリと笑う。
イヴォンヌの立場が既に王太子妃として決定している、という事はイヴォンヌの婚約者になった者が王太子となるのだ。
「シスレー公爵令嬢はステファノン第二王子殿下の婚約者候補でしたわ。そうなると……」
会場の彼方此方からそんな囁きが聞こえるが、その声がピタッと止まる。
「イヴォンヌ嬢、ステファノンの婚約者候補の務め、まこと大義である。されど、そなたの婚約者はそなたが決めてほしい」
マルケナス王の宣言にステファノンの口元が歪んだ。
端正な顔立ちの王族。
貴族令嬢なら多くのものが彼の横に立てることを夢見ただろう。
だが、王としての威厳も国を守ると言う気概もない男を高位貴族の矜持を持つ者が選ぶとは思えない。
マルケナス王の前に進み出たイヴォンヌの凛とした顔に、決意を見たエレオノーラは静かに頷いた。
ウチの猫
猫はキャットタワーとか高い所が好きだと言う。
ウチの猫はキャットタワーは無いけど、テレビ台をキャットタワーがわりにしてドタドタ降りたり登ったりしてる。華奢なテレビ台がグラグラ揺れる。重いんだね、君。