わたくし、精進しますわ
そろそろ大詰めです。
「それで、どうなさいますの?」
「両親は既に別の方との婚約を、と動いております」
フェノミナは口元をハンカチで隠してはいるが、口角が上がっているのが見える。
「私は先日、別の方と婚約しました。騎士団長様は青くなってましたが、母に睨まれてすごすご帰りましたよ」
レーネ伯爵令嬢マルタの母親は、確か女性近衛騎士団の団長だ。
「憂いはないようで、良かったですわ」
学園のどんよりした空気も数日でカラッと晴れた空のようになるだろう。
エレオノーラの帰国を数日後にしたある日、王宮では別れの夜会が開かれた。
いつもはポニーテールにしている髪をハーフアップにまとめて、黒地に金糸の見事な刺繍が施されたドレスを纏うエレオノーラはさながら夜の女神の様だ。
「どう出るかが楽しみですわ」
扉の前でエスコートをするデビッドに微笑むと
「私は、マルケナス王の手腕に感心させられてばかりだよ」
デビッドは苦笑を浮かべ、エレオノーラの手を取った。
「お互い、これから切磋琢磨してまいりましょう」
小国の王と侮ってはならない存在。見習う所は多々あった。
「わたくし、この地に留学して良かった、と心から思ってますの」
エレオノーラ達が会場に入ると割れんばかりの拍手が彼女達を包む。
ウチの猫
最近、ウチの猫はお腹を見せてごろっと横になる。
撫でまくると猫パンチが飛ぶのに、撫でないと後を追いかけてごろっとなる。いつか蹴飛ばしそう。