わたくし、実は理解出来ませんでした
無理だって。
「わたくしも読みましたが、斬新な思考を持っている様ですわ」
エレオノーラ達は、直接本人を見たライルに小1時間説明をして貰ったが、理解に苦労した。
ライル曰く、自分はこの物語のヒロインで、攻略対象の男達に愛されて自分だけが幸せになる、と言っているそうだ。
「このままでは国を傾ける。何処かで目が覚めるかと期待していたが、潮時の様だ」
マルケナス王の言葉に、全員が頷いた。
デビッド達はさっさと問題を片付けて、残りの時間を有意義に過ごすつもりだったが、エレオノーラはやはり送別会での断罪を選んだ。
「この自称ヒロインさんは愛を信じず、他の方にも色目を……。失言でしたわ」
エレオノーラはチラッと自分を見るデビッドに謝罪してイヴォンヌ達に微笑んだ。
「あの2人も救いようが無い」
「一応王子の思い人と懇ろになるとは、王家を軽く見ている証拠だ」
男性2人の意見に、エレオノーラとイヴォンヌは曖昧に微笑んだ。
学園は、それから気持ちの悪い空気が溢れ、エレオノーラやイヴォンヌだけでなく、かの頭の中身が腐り切った令息達の婚約者もなんとなくどんよりしている。
「イヴォンヌ様。まだ纏わりつかれているの?」
「はい。朝、昼、帰宅時間に」
2人の令嬢が心底同情している目でイヴォンヌを労った。
「ですが、お二方も……」
「ネチネチと意味の分からない嫌味を言って……。気持ち悪いを通り越して、生理的に無理です」
アルガン宰相令息の婚約者であるフェノミナ・レント侯爵令嬢が心底気持ちが悪い、と訴えればハモン騎士団長令息の婚約者であるレーネ伯爵令嬢も拳を握り締めて頷く。
流石武門の令嬢。精神的ダメージは無いようだが、騎士道に反する行いに腹を立てているようだ。
ウチの猫
ウチの猫は何故か寝る時は人の足を枕にして寝る。冬は布団の中に入ってくるのに。
夏は暑いし、重いんですがどいてくれない。