わたくし、驚きました
二股男は嫌いです。
「ステフ。どうしてあの女に優しくするの。アタシの事飽きたの?」
ステファノンがイヴォンヌの周りを彷徨き始め1ヶ月が経った頃、とうとうミアが癇癪を起こした。
「ミア、あの女だなんて言葉、言ってはダメだ。イヴォンヌと婚約しないと俺は王太子になれないんだ」
「そんなの知らない」
不貞腐れ、プイッと横を向くミアの耳に唇を寄せ、ステファノンが意地悪く囁いた。
「イヴォンヌと婚約し、王太子として落ち着いたら冤罪で断罪し、ミアを婚約者として迎える為の準備だと思ってくれよ」
「本当!本当にミアを王妃にしてくれるのね」
「勿論だ。愛しているのはミアだけだ。俺を信じて」
ステファノンはミアを抱き締めながら、にやりと笑う。
アルフレッドが完全回復していても学生のイヴォンヌとの接点が無い。
イヴォンヌの心を手に入れられるはずが無い、と腹の中で兄を嘲笑った。
「ここまでおめでたいとは思いませんでしたわ」
ステファノンに付けた影の報告を聞き、エレオノーラは呆れていたし、マルケナス王は眉間の皺を更に深くした。
「アレが学園でAクラスに居ると聞いているが、疑わしい」
「宗主国との間柄もまるで理解していない様です」
アルフレッドとイヴォンヌは遠い目をしながら報告書をテーブルに置く。
「後、此方の男爵令嬢ですが……」
デビッドも渋い顔でミア・バーグの報告書をマルケナス王に差し出した。
「……何が言いたいのか、まるで理解できない」
報告書を読んだマルケナス王国の者達が渋い顔をした。
ウチの猫
猫は時々黄昏れているような仕草をするけど、何も無い所をジーッと見てると、何か居るのかとビビります。