わたくし、更に呆れてますわ
二兎を追うものは一兎も得ず、です。
「いえ。私はステファノン第二王子殿下の婚約者候補の1人ではありますが、婚約者ではありません。それに、殿下のご寵愛されているミア・バーグ男爵令嬢に誤解されます」
言い返さないと思っていたイヴォンヌの反撃に、ステファノンが一瞬、言葉を失った隙にエレオノーラはイヴォンヌ達の前に姿を現した。
「おはようございます、イヴォンヌ様。今日の予定は?」
「おはようございます、エレオノーラ様。放課後は王宮で妃教育がありますの」
「まぁ素敵。それでしたらご一緒に戻りませんこと?妃教育は離宮で行われるのでしょ」
「喜んで、エレオノーラ様」
完全にエレオノーラはステファノンを居ないものと話し始め、イヴォンヌも嬉しそうにエレオノーラに答えていた。
「愛よりも権力を選んだ様です」
ステファノンを置いてクラスに向かう時、イヴォンヌが呆れた様に呟いた。
「如何かしら?アレは愛と権力を欲している顔ですわ」
エレオノーラの答えにイヴォンヌはさらに呆れた。
「私を正妃に、あの方を愛人にですか?」
王ならば、正妃に子供が出来なければ側室を置く事もできる。でも側妃は何処まで行っても2番目で、正妃の代わりに世継ぎを産んでも実権は正妃にある。
「愚か者は、自分だけが優位に立てれば良い、と思う様ですが、人は其々感情を持っていますから」
あの令嬢が黙って日陰の存在になる事を受け入れるとは思えない。
ウチの猫
ウチの猫は野良生活が短かったせいかネズミを獲物、と思っていない様だ。庭に小さなネズミが出た時もなんだこれ?って顔してネズミに馬鹿にされていた。狩猟本能を何処に置いてきた?