わたくし、呆れましたわ
うん。呆れるね。
次の週には、イヴォンヌは王太子妃教育を受ける事決まり、学園でも話題になっていた。
「マルケナス王の状況把握能力は賞賛出来ます」
デビッドが馬車から降りるエレオノーラに手を差し出しながらニコッと笑う。
「わたくしも見習わなければなりませんわ」
本来なら宗主国でも他国の後継者決定と言う重要事項などに口を出す事は褒められたことでは無い。
だが、マルケナス王はこの騒ぎが国の根幹を揺るがす事態になり得る、と見て自分よりも身分の高いエレオノーラの采配を求めた。
「エレオノーラ。貴女は立派な王太女だ」
デビッドの柔らかな笑みに、エレオノーラは少しホッとした顔をする。
エレオノーラが教室に向かっていると
「イヴォンヌ、今日はカフェに寄って帰らないか?」
ステファノンがイヴォンヌに笑顔で声を掛けていた。
エレオノーラの知る限りでは、一度も無かった事に呆れてしまう。
「申し訳ありません。放課後は王宮で妃教育がありますので」
「だから、一緒に帰ろうと言ってるんだよ」
申し訳なさそうな顔をしながら、イヴォンヌはステファノンを拒絶する。
「お誘いは光栄ですが……」
「イヴォンヌ。君は誰の婚約者なんだ。俺の婚約者だろ」
苛立ちながら猫撫で声を出すステファノンの器用さに、エレオノーラは呆れていた。
ウチの猫
ウチの猫は寝言を言う。しかも妙に人間臭い寝言を言う。
コイツ、日本語分かってるのか?