わたくし、策を弄しますわ
ちょっと腹黒。
「ですが、今すぐに動くとインパクトに欠けてしまいそうなので、わたくしの帰国の時に発表のタイミングを合わせませんこと?」
エレオノーラが悪戯っ子の様な笑みでアルフレッド達を見る。
「確かに。あの坊や達は右往左往しているが、それだけだ」
デビッドも頷きアルフレッドを見た。
「強欲な男爵令嬢の動きも読み切れてませんので、そちらも暫くは泳がせようかと」
アルフレッドも異論は無いようだ。
「ライル。男爵令嬢の周りを調べて」
エレオノーラの読みでは、男爵令嬢は何処かの国のスパイで、ステファノン達にハニートラップを掛けている、と思っている。
「承りました」
ライルが頭を下げて、音も無くその場から消えた。
「何処の国だと思う?」
「何処かしら?あり得そうな国はいくつかありますけど、ね」
ふんわりと微笑むが、エレオノーラは優れた為政者。他国の情勢はほぼ把握している。
「では、揺さぶりの為、イヴォンヌ様には王太子妃教育を受けて頂きましょう」
「王太子妃教育ですか」
イヴォンヌが首を傾げるのは当然だ。マルケナスにはまだ王太子は居ない。
それなのにイヴォンヌに王太子妃教育を受けさせる、と言うことに疑問が出る。
「お相手が何方であろうと、イヴォンヌ様の伴侶が王太子になる、と思わせるのですわ」
アルフレッドはイヴォンヌを大切にしているから問題は無いが、ステファノンはどうだろう。
男爵令嬢に入れ揚げていては、目の前の王太子の椅子を棒に振る事になる。
マルケナス王国の王位継承権を持つ者はアルフレッドとステファノンだけだ。
しかもステファノンは、アルフレッドが完全回復をしたのを知っている。
「イヴォンヌ様がステファノン王子の婚約者候補である事は知られておりますが、イヴォンヌ様はあくまでも候補者ですもの」
エレオノーラがクスッと冷たい笑みを浮かべる。
「王位より愛を選ぶなら、それも素敵ですわ」
まるで物語の様に、ね。
そう、エレオノーラの目が言っている。
ウチの猫
ウチの猫は好き嫌いがない。カリカリよりもパウチの方が好き、と言うくらいのこだわりが無い。
お陰でお財布に優しい。