語り部
ただの石ころには1円の価値もない、いや、ただの石ころに数千円はたいて買う物好きは居るな、そいつらは瞳をキラキラさせながら語るんだ、やれ、形が綺麗だ、この中にはインクが染みだしたようなシミがあるんだ、このシミが好きなんだ、愛してるって、全くとんだ物好きさ、シミに札束を使うか普通、やつらは地元でもサイバールームでも有名な変人として永遠に語り継がれるだろうさ
「やぁ、ご近所さん聞いとくれよ、歩道橋の下に河原があるだろう、なんでもそこに変人が居るって噂だよ、そいつは石を見て目をキラキラさせながらそのまま飲みこんじまうって話さ」
「そりゃ、気持ち悪いね。けど一回どんな顔してるか見てみたいさね」
「変なこというねぇ、なんでだい?」
「そりゃ、変な輩を見て、あぁ私は正常だって安心したいのさ」
だが、なんだ、その石ころは千円じゃ足りないらしい、何でも片手じゃ足りなくて両足でも足りなくてしまいにゃ一本おっ立てちまおうって、おっと失礼、お食事時だ。
そう、その石はなんでも願いを叶える石だとか不老長寿の石だとか…まぁ眉唾物のような石なわけで、大方噂に尾ひれがついて、それを欲しいっていう噂好きのマダムが膨張したんだろうね。
さて、今はどこに、あぁあったあった、アタッシュケースの中にあったよ、ん?この鼻にツンと来る匂いはなんだろうね、あれ、あれだよ、あー、出てこない、もう少しなんだ、もう少し、あっ、そうだ、そうだ、肉が腐った匂いだ。




