【叙述トリック】焼き鳥屋だと思ったら実は病院だった。
「よぅマサさん」
「よっ大将。相変わらず景気良さそうだねえ」
「そんなことないよォ。今日は何?」
「そうさなぁ。今日は胸とももをお願いしようかね」
「あいよ、毎度あり。今なら肩肉も安くしとくけど」
「肩はいいや。胸とももを一つずつ」
「骨はどうする? 今日も付けとくかい?」
「骨はもういいや。抜いといてくんねえか」
「じゃあ骨は抜く……と。しかしアレだねえ。マサさんも、毎回毎回遠いところから来てくれて、ホンットありがたいネエ」
「そりゃもちろん、大将のトコが一番うまくやってくれるからさぁ」
「へへ……こりゃ嬉しいや。レバーと舌もおまけに行っとくか!」
「大将、そりゃ悪いよ」
「大丈夫大丈夫……これはこっちのおごりだから。全部抜いとくよ。焼き加減はどうする?」
「すまないねぇ……柔らかい感じで頼むよ」
「了解。塩とタレは?」
「ファレ……」
「ふふ。タレね。よいしょ……ヤァ、こりゃうまそうだ! ちょっと俺も、少しだけ食べて良いかい?」
「ファー……」
「よし出来上がり! また悪いトコあったら来なよ!」
「ファイ将、どうも。いつもファリがとうございます」
「良いってことよ。舌、また生えてくると良いね。はい、じゃあ次の方。はいこんにちは。大将病院へようこそ。今日はどうされました? 何処が具合が悪いのかな?」