インアンドアウト
お時間いただけましたらお読みくださいませ_(_^_)_
AとBが入場。
A:「ど~も~、こんにちは!」
B:「こんにちは~。(いったん中央で止まって)さようなら~」
(Bは舞台に出てすぐ袖に引っ込もうとする。AがBを捕まえて言う)
A:「おいこら、なにしてんねん!今登場したばかりやろがっ!」
B:「だって、俺たち」
AB:(AB声を揃えて観客席に向かい)「インアンドアウト!!」
A:「ど~も~インアンドアウトのインこと伊集院です!」
B:「アウトこと、青木です」
A:「青木って……アウトとあんま関係ないな」
B:「アウトの『あ』、青木の『あ』。どや。」
A:「いきなりドヤ顔かいな」
B:「それだけやないよ。俺の人生オールアウトや!」
A:「そんなん自慢になるかいな!」
B:「ところで伊集院君はどこ出身?」
A:「僕はね、鹿児島です」
B:「鹿児島!かっこええなあ!せ〇どんとかな。SAY GO DOOOOON!!(巻き舌で発音し英語であることを意識させる。ドーンはぶつかるように一回めAに迫り、二回目、三回目は観客に向かって押し出す感じで迫る)って感じがする!
SAY GO DOOOOON!! SAY GO DOOOOON!!」
A:「(引き気味で)……何興奮してんの」
B:「伝わらんか、俺のこの熱い思い」
A:「……まあ、来たけど」
B:「来たってゆうたら、くるで~俺たちの時代が!」
A:「おお、青木君、ポジティブやなあ」
B:「ああ、来る来る。これから地球温暖化に、年金下がって医療費上がって老後破産に貧困。そういう時代が、クルクルパーッと来る」
A:「暗いな」
B:「くらないで。ちゃう。みんな一緒やから。みーんな貧乏やったら、楽しーで」
A:「まあ、そうかもしれんけど」
B:「俺な、貧乏にあこがれるんね」
A:「なんで?」
B:「実は俺、おぼっちゃまでな。ばあやに育てられた」
A:「うそやろ?!」
B:「うん、うそ」
A:(ガクッと転びかけて)「うそかいな~」
B:「まあ、それはうそやけどな。でもな、よう考えてみ。生まれた時からなんでもある日本に住んどるやん。工夫もなんもせんでも普通の生活できとるやん。いっぺんやってみたいんや、貧乏」
A:「ほう。で、具体的にはどういう生活になるっちゅうビジョンはあるわけ?」
B:「ビジンなんかおらんよ。(観客席を指さす)見たらわかるやん」
A:「やめ! 失礼やろが! 俺が言うとんのはビジン(美人)やなくて、ビジョン。つまり、先の見込みとか計画とか」
B:「お前、難しい言葉知っとるのお。そうやな。まず、会社は辞めて……川で魚とって、道で寝て、ガード下で暮らして」
A:「それただのホームレスやん。しかも今やっとることとあんま変わらんで。お前、フリーターやし、お前釣りに行くし、昨日もお前酔っぱらって道で寝たし、俺の部屋に転がり込んどるし」
B:「そうか。そしたらなんも変わらんな。ただ俺、貧乏になっても譲れん一点があるんよ」
A:「なん?」
B:「アイフ〇ンは新機種が発売されたら前の前の晩から並んで買う。前の晩やなくて前の前の晩や!」
A:「あほか!」
AB:(観客席に向かって、声を揃えて)「どーもありがとうございました!」(そのあとお辞儀)
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