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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
一章 パンデミックがやってきた編
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8話 僕の優秀なアドレナリン

あざます

  頭 が フ ラ フ ラ す る

 会長に指示された教室のドアにたどり着いたのでノックをすると中から声が聞こえた。


「…助けに来てくれた人ですか?」

「うん」

「もう変な人たちはいないんですか?」

「うん」

「開けていいんですね?」

「うん」

「……まだ開けない方がいいですか?」

「うん」

「どっち!?」

「外、いない。飯、ある。保険室、ある」

「これ生きてる人だったら逆に怖いんですけど」


 ごちゃごちゃ言いながらも安全だと理解したのか物音が聞こえてきた。机とかでドアを抑えてたのか、なんでもいいけど早くしてくれ。教室の前に突っ立っているとドアが開いて、前には2年の女子がいた。


「あ、あの、ありがとうございます。あ、2年生だね、ありがとう」

「怪我人は?」

「あなたほど怪我してる人はいないけど、噛まれた人が1人いるわ」

「は?」


 中に入ってみると青白い顔をして横たわっている男子生徒と、それ以外の生徒が10人くらいいた。まじかよめんどくせえな。


「お…俺は…大丈夫だ…あいつらな…なんかには…ならないから…」

「噛まれた人は隔離するように言われている」

「だ…大丈夫だって」

「みんなその人から離れろ、危ないかもしれん」

「大丈…夫だっつってんだろ!!!」

「俺もまだどうやって変質者になってるかがわかっていない。だから大丈夫だとわかるまで隔離させてもらうぞ」

「話を…きけ…よ……なぁ?…死にたくねえよ…あんな奴らみたいになりたくねえんだよ!!!」

「…」

「た、頼むよ…お…れは……うウウ」

「!おい離れろ!」

「え?」


 ドアを開けた人がまだ男子生徒の近くにいたので腕を引っ張ってこっちにこさせた。


「おい、俺の声が聞こえるか?」

「…ウウウ」

「…返事をしないと叩き潰すからな」

「ね、ねえ、人呼んだ方がいいかな?」

「他も大変かもしれない、それに1人相手なら俺でもできるから平気だ」

「わ、わかった」

「ウヴァァ」

「…ちっ、悪く思わないでくれよ?」


 一振りで男子生徒の頭を陥没させた。相変わらず嫌な感触が手に広がる。吐き気がするが堪えて振り返って女子に話しかけると


「悪かったな、嫌なもん見せ…他の人は?」

「怖がって外に逃げちゃったのかな?」

「そうか、とりあえず一階に行こう」

「うん、ありがとう」

「もう慣れたから平気だ」

「それでもありがとう」

「…はいよ」

「あの、大丈夫?ふらふらしてるけど」

「平気だ」

「ならいいけど」


 全然平気じゃない。なんなら教室に入る前から目が霞み始めて女子生徒の顔も見えてなかった。教室から出ようとすると、空間がグニャグニャに歪み始めた。なんだ…?超能…りょく…か?


「え!?ねえ!大丈夫!?ねえ!」


 ――――――――――――――――――――――――


「…知らない天井だ」

「アズマ先輩!?よかった!生徒会長呼んできますね!」


 目を覚ますと知らない天井とあずさちゃんが目に入った。部屋が薄暗い、外を見ると夕暮れ時だ。え、なんで俺寝てるんだ?たしか会長にこき使われて一階の変質者を倒した後に会長にこき使われて三階に行ってその後…


「アズマくん!?目を覚ましたのね、よかったわ…」

「誰ですか?」

「…怪我人はぶちたくないのだけれど、記憶を戻すためにはしかたないわよね」

「いくら先輩でもぶたないでくださいよ会長!?」

「あれ?会長はじゃないですか、どうしたんです?あとあずさちゃん、いくら先輩でもってどゆこと?」

「思い出してくれてよかったわアズマくん」


 俺を打とうとしている会長の手をあずさちゃんが止めてくれた。冗談だから気にしなくていいのに、いくら会長でもぶたないでしょ…ぶたないよね?

 その後あずさちゃんは出て行っちゃった。そんなに俺といるの嫌だったの?


 俺がどうしてここにいるのか会長が話してくれた。どうやら三階の人を助けた後にぶっ倒れたらしい。そういえばアドレナリンとか出てた所為か忘れてたけど、俺頭切れてたんだった。そもそも血は止まってたけどそれを見た後にこき使う会長がやべえ。


「なるほど、つまり原因は会長ですね?」

「話聞いてくれてた?…でもたしかに私の所為ね。ごめんなさい」

「会長って謝ることとかできるんですか」

「私をなんだと思ってるの?」

「まあアズマ、それくらいにしてやれ」

「タケさん、ここまで運んでくれたらしいっすね。ありがとうございます」

「気にすんな」


 俺が気を失っている間にあったこととかを聞いているとあずさちゃんがお盆を持って教室に入ってきた。


「アズマ先輩、お待たせしました」

「あずさちゃんそれなぁに?」

「ご飯ですよ、先輩昼も食べてないでしょ?」

「え、ご飯持ってきてくれたの?てっきり俺の顔見たくないから出て行ったのかと」

「なんでですか!?私そんなことしませんよ!」

「ありがとねあずさちゃん、たしかに俺腹めっちゃ減ってんのよ」

「そうよアズマくん、あずさちゃんはね、今まであなたの看病をしてくれたのよ?猛に担がれてきたあなたを見て先輩がー先輩がーって大変だったんだから」

「何行ってるんですか会長!?そ、そんなことないですよ!」

「あずさちゃん?お盆もらっていいかな?」

「ああ、たしかに大変だったな。それにさっき聞いたんだがアズマ、お前変質者にぶっ飛ばされて窓突き破ったんだって?そん時をあずさちゃんが二階から見てたらしくて先輩がー先輩がーって泣い「わー!わー!小堀さんも何言ってるんですか!やめてください!」

「なんでもいいけど腹減った」


あざした

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