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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
おひかえなすってヤクザ編
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8話 負けなしですかい?

田中ver


小堀さんはこちらに歩いてきて、見下ろして話す。


「田中、無事か?」


「はい、何とか」


「そうか、良かった」


一見冷たいように見えるが、アズマも懐いているくらいには優しい先輩だ。

だけど、怒っているようにも見える。

何故か小堀さんの周りが歪んでるようにも見えるんだけど。


「あの長髪の男の方は味方か?」


「あ、はい。ニシってやつで、アズマの知り合いみたいです」


「アズマの?あいつ知り合いなんていたのか」


「はは、流石にいますよ」


「まあいいや、後は任せろ」


俺の先輩はそれだけ言うと、武田とニシの方に歩みを向けた。

ニシも小堀さんを見て、何か感じ取ったのか、痛みで蹲っている武田を蹴り飛ばし距離をとってこちらに歩いてくる。


「...あなた相当強いですね、何者ですかい?」


「俺はアズマの先輩だ」


「くはは、それなら納得だ!あとは任せてもよろしいですかい?」


「ああ、ゆっくり休んでろ」


すれ違い様に話し、ニシも完全に任せるつもりになったようだ。


「田中のアニキ、何者ですかあの人?あんな強そうな人見たことないんですが」


「俺たちの先輩だよ。ニシから見ても強いんだな。でも、あの人感染してないはずだけど...」


「は?」


俺たちの会話をよそに、小堀さんは武田にどんどん近づいていく。

武田もそれに気づき、触手を連発した。


「貴様!貴様ぁ!!!何してくれてんだぁぁあ!!」


俺と戦っていた時より数段早いスピードで繰り出される触手を、小堀さんは何でもないように最小限の動きで避けていく。それどころか、避けながら武田に話しかけていた。


「お前のせいでさ、俺の大切な後輩が周りから攻撃されてんだよ」


「くそ!くそ!何故当たらない!?」


ガシッ


避けるだけでなく、小堀さんは武田の触手を掴んだ。そしてグイッ、と力一杯引っ張る。


「なっ!?」


武田は綿毛のように軽く引っ張られ、体ごと小堀さんのもとに飛んでいく。


「だからお前は絶対許さない」


ゴパンッ


飛んできた武田に合わせて、小堀さんが腕を振り切る。振り切る速さは目では追えず、一瞬消えたようにも見えた。


「あが...あおがっ!?」


殴られて吹っ飛んだであろう武田を見ると、下顎がなくなっていた。


「くはは...まじですかい?」


「...」


ニシは笑い、シェリーさんは恐怖で震えていた。

人間があんなに飛ぶなんて、初めて見た。

しかも非感染者の小堀さんがやるなんて、夢でも見ているのか?


「あ...あが」


「俺は今まで一回も負けたことがない。お前も早く楽にしてやる」


苦しんでる武田に目も向けず、小堀さんは壁に刺さっていたシャベルを引き抜く。

それを見て、武田の目に恐怖が浮かぶ。


「ひ、ひぁぁぁぁあ!!!!」


全速で触手を放つも、スパスパと切り進んで歩みを寄せる小堀さん。


「き...きしゃまなんかに!!!」


スパン


最早目に見えない速度で首を切り落とされ、武田は絶命した。


静寂が場を支配する。

圧倒的な強さで、全員を黙らせた男がこちらに振り返る。


「...おし、帰るか」


「は、はい。ありがとうございます。」


こうして、俺たち3人は施設の脱出に成功したのだ。そういえば...


「あ、あの、小堀さん」


「ん?なんだ?」


俺を抱えながら、小堀さんは聞き返した。


「どうしてこの場所が?」


「あー、アズマが場所を調べて。それをダッシュが持ってきてくれた」


「だ、ダッシュ?」


「そうか、知らねえか。アズマがまた面白いやつ連れてきたんだ」


そう言いながら、小堀さんはふっと微笑んだ。

アズマはとんでもない人に好かれてるな...。


「...ミオスタチン欠乏症?」


「どうした?ニシ」


ずっと静かに後に着いてきていたニシがボソッと呟いた。


「あん?知ってるのか」


「ええ、でも何かしらの障害があるんじゃないですかい?」


「いや、全くない」


「...くはは、化けもんですぜ」


「「???」」


話についていけない俺とシェリーさんは疑問符を浮かべる。


まあ、何はともあれ、やっとみんなの所へ帰れる。ありがとなアズマ、お前も無事に帰ってこいよ。


能力無しで強いの好き

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