7話 化け物ですかい?
日間ランキング載ってたって?
まじかよ、久しぶりすぎて泣ける。
ありがとうございます。
アズマver
ちくしょう!
なんなんだよあいつ!どうやって倒せばいいんだ!
「アズマ、大丈夫?」
ネコが近づいてきて、覗き込むように見てくる。
「あぁ、大丈夫だ。それより...」
部屋に視線を戻すと、倒れた龍とおじきがいる。
「大丈夫ですか?なぁネコ、治療とかってできるか?」
「うん!任せて、応急処置ぐらいならできるよ」
「じゃあ頼んだ。俺はバンジョーを追う」
「何言ってるの!危ないでしょ、ボクと一緒に行こうよ」
「ダメだ!あいつを自由にしてマンションに行かれたらたまったもんじゃない」
「...キシシ、アズマは皆んなに優しいね」
ネコは微笑んでこちらを見る。
ち、ちげーし、そんなんじゃねーし、負けたまま終われねーだけだし。
「皆んなじゃねーよ。俺が大切なのは、数人だけだ」
「あはは、うん、わかってるよ。ただ、気をつけて行ってらっしゃい。ボクもすぐ追うから」
「おう」
「はぁ...はぁ、ま、待て兄ちゃん。お前さん1人じゃ敵う相手じゃねえ」
俺たちの会話におじきが入ってくる。
「おじき、敵う敵わないじゃないんです。ああいう奴は、俺がやらなきゃダメなんです。あなた達の仇もとってきますよ」
「...」
田中がいるであろう施設の情報を、部屋にあったメモに書き写し、外に出る。
「ダッシュー!いるかー!」
「は、はい。こ、ここに」
いつの間にか後ろにダッシュ中野が立っていた。
まじこいつ速すぎるだろ。
「うぉ、相変わらず早いな。これ、田中のいる施設。会長に渡しといて」
「わ、わかり、ました。あ、アズマさん」
「なんだよ?」
「さ、さっきのしゅ、襲撃の時、て、手助けできずすいませんでした」
「別にいいよ、適材適所だ」
「...は、はい!!」
ヤケに嬉しそうに去って行く。
何だったんだあいつ?
とりあえずバンジョーの元に向かうか。
策なら一つだけある。さっき出る時ネコにも伝えたからなんとかなるだろ。はぁ、また痛い思いするのかぁ。
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田中ver
俺たちは武田と対峙し、目線を交わしていた。
ニシもいるから、勝てるんじゃないか?
「すまん武田さん、あっし急用ができたんで通してもらえませんかい?」
「ダメだよ。001、042、043、君たちは私の実験に付き合ってもらうよ?」
「はぁ、じゃあ押し通らせてもらいやすね」
ニシが武田に一直線に走る。
弾丸のような速さで、武田の顔に拳を叩き込む。
ドゴンッ
次の瞬間、俺たちの後方の壁にニシが叩きつけられていた。
「は?」
「く...武田さん、それ、何?」
ニシは武田の腰から生えている触手を指差し、聞いていた。
何なんだあれは、ウイルスの能力は人間の本来持っている力を利用するはずなんじゃ...。
「ああこれ?アズマ君に『あなたも早くなればいいじゃないですか』って言われてね、私も思い切ってウイルス入れてみたの。田中くんの3倍」
「それのどこが人間の力なんでさぁ、化け物じゃないですかい」
「いやいや、人間にだって本来尻尾という器官があったじゃないか。それが進化してこんなに美しい形状になってるんだ」
武田の腰からは4本の触手が生え、それぞれを自在に操っているみたいだ。
これはニシ1人だと厳しいだろ。
「ニシ、俺も戦うよ。邪魔にならないといいけど」
「悪いね田中のアニキ、遠慮なく協力してもらいやすよ」
「ああ、やるしかないよな...。シェリーさん、離れていて」
「う、うん。2人とも気をつけてね?」
シェリーさんを遠くに行かせて、ニシと並び立つ。
武田は向こうから攻めることはせず、待っていた。
「話は終わりました?あなたたちの実験結果を見たいので、万全の状態でかかってきてくださいね?」
「それじゃ遠慮なく...!」
ニシは腕を硬化し、武田に向かっていく。
それに合わせて、俺も向かい、武田に蹴りを放つ。
ガッ
「...ありゃ」「くそ!」
拳と足は触手によって止められていた。
「ぶっ」
「ニシ!」
次の瞬間、ニシはまた壁に飛ばされていた。
俺は足を掴まれ、解けないでいる。
「001には効かないと思いますが、あなたになら刺さりそうですね」
「くそ!はなせ!」
武田は触手をそのまま上に持ち上げ、俺を逆さに吊るす。
そのまま、俺に向けて別の触手を突き出してきた。
ジュッ
「...ぐああああ!?」
「田中くん!大丈夫!?」
左脇腹に熱を感じ、その後激痛が走る。
このままじゃ意識が飛びそうだ。
『死ぬぐらいならお前も道連れだ』
何故かアズマの声で聞こえてくる。
聞いたことはないが、あいつならそうやりそうだな。
ゴウッ
「うーん、やはり肉弾戦になると001の方が...ぐ!?お前何を!?」
「はぁ...はぁ...死ぬなら一緒にだ。武田」
肉の焼けた臭いがする。
臭いと同時に両腕に激痛が走る。熱さなんてない、あるのは痛みだけだ。
「ぐっ...くそ!」
熱さに耐えかねたのか、武田は俺を放り投げる。
「ぐはっ」
「だ、大丈夫!?田中くん!」
シェリーさんが駆け寄ってくる。
傷口は焼け、止血できているようだ。
気づけばニシも近づいて来てくれていた。
「ふぅ、あっしの能力も硬いせいで衝撃が逃げずに大変ですぜ。...お?田中のアニキ、今のあと3回くらい...無理ですよね」
ニシが武田の方を眺めているので、釣られて視線を向けると、武田が苦しそうにしていた。
「はぁ...はぁ...くそ!」
武田の触手は1本動かないでいた。
熱に弱いのか?それならまだ戦える。
「あと3回でも10回でも...あれ?」
立ち上がり歩こうとしても、動けない。
「燃やして酸素がない状態でいやしたからね、数秒でも命取りですぜ。俺の能力じゃあの触手を切るのも一苦労でさぁ...」
弱点がわかったのに、ここまでなのか?
武田は怒った様子でこちらに近づいてくる。
それを見たニシが武田に向かってまた突進する。
ガガッ
「やっと目が慣れてきた。これで時間は稼げそうですぜ」
「くっ、やはり001の戦闘力は高いな」
放たれた触手を両脇に抱え、ニシが足止めをした。
しかしーー
「残念だったね。私はあと1本あるんだよ」
武田は残った触手をこちらに素早く伸ばしてきた。
触手の先にはシェリーさんがいる。
「...くっ、動けよ体ぁ!!!」
「大丈夫よ田中くん、私が守るわ」
俺が動けずにいると、シェリーさんは逃げるどころか両手を上げ、俺を守るように立った。
「やめろシェリー!!!逃げろ!!!」
ザンッ
肉が切れた音が聞こえた。
数秒後、ボトッと武田の触手が地面に落ちてきた。
「ぐおおおおお!?誰だ!?誰が!!」
苦しむ武田を見ると、視界に別のものが映る。
「シャベル...?」
壁には、農作業で使うシャベルが突き刺さっていた。
「ふぅ、何とか間に合ったか?」
この場にいなかった者の声が聞こえ、そちらに何とか顔を動かす。
「お、田中か?お前アズマみたいな髪になってんぞ」
そこには、俺の先輩が立っていた。
こっちの化け物登場




