6話 不死身ですかい?
アズマver
頭を撃ち抜かれて、死なない人間がいるのだろうか。
ウイルスに感染していても、死ぬはずなんじゃ...
「お前...今死んだだろ?」
「あぁ?坊ちゃんん、俺は死ねないんだぁ」
思わずカウボーイ男に問いかけると、間伸びした声で返してくる。
死ねない?能力か何かか?
「てめぇ...!こんだけ派手に暴れて、タダで帰れると思ってんのか?」
龍が顔を赤く張らせて、怒気をはらんだ目線をカウボーイに向ける。
「あぁー、別にぃ?帰れるんじゃねぇ?」
「おいお前ら!撃ち殺せ!」
組員が全員銃を構え、カウボーイに放つ。
パパパパッ
単発銃の音が重なり、連射されているような音が部屋中に響き渡る。
「まださぁ、自己紹介もしてないじゃぁん、俺はバンジョーって名前だよぉ、よろしくぅ」
銃声の中に、またもや間伸びした声が聞こえてくる。
バンジョーは一歩ずつ、ゆっくりと、撃たれながら組員に向けて歩みを寄せる。
「く、くそ!なんだよこいつ!?」
ズォンッ
「こいつ!死ね!死ね!」
ズォンッ
「た、弾が切れた!」
ズォンッ
やがて銃声は小さくなっていき、部屋の中は血溜まりになっていった。
バンジョーが死ぬまで続くと思われた銃撃は、本人によってかき消された。
「ふぅ、流石にちょっと疲れたなぁ」
不死身
そんな言葉が部屋に残された俺、ネコ、龍、おじきに浮かんだはずだ。
ガラン、と音を立ててバンジョーが銃を捨てる。弾は切れたようだ。
これで組員たちの死も少しは報われるだろう。
「俺はさぁ、西条組のトップを殺しに来たんだよぉ」
「...なんだいお前さん、うちのトップに用があったんかい、残念ながらトップは留守でさあ」
「えぇ、骨折り損かぁ」
「まぁ落ち着け、トップがいる場所を教ーー」
パンッ
「ぐぅっ...」
「ごめぇん、あんまり興味ないかもぉ」
「おじき!てめえ何しーー」
パンッ
「ぐあぁっ!」
おじきと龍が肩を撃たれた。
ショットガン以外にも武器を持っていたのか...。
「東条組のボスにさぁ、怒られんぐっ」
「お前、好きにしすぎだろ」
バンジョーの喉には、俺のドスが生えていた。
「ははぁ、ドスなんて持ってるんだ坊ちゃんん」
「ああ、持ってるよ?今日からヤクザだから」
首に刺したドスを、そのまま首の周りを一周するように回す。
ボトッ
バンジョーの首を落とす。
流石にこれで死ぬだろ?
「大丈夫か?龍さん、おじき」
「はぁ...はぁっ、アズマてめぇ、何で見てやがった」
龍が脂汗を流しながら聞いてくる。うわ、痛そ。
「だってずっと警鐘なってるんだもん」
「キシシ、ありがとうアズマ助かったよ」
「いや、まだだ」
第六感が働き、バンジョーに対してずっと反応を示していた。関わっちゃいけない相手だと。
でもおかしい、何でまだ第六感が反応してるんだ?
「...まじかよ」
「あれぇ、何で生きてるってわかったぁ?」
振り返るとバンジョーが立っていた。
「坊ちゃんアズマって言うんだぁ、今のは痛かったぞぉ」
「まじでお前どうやったら死ぬんだ?」
政宗3号を構えて、バンジョーを睨む。
「今すぐ戦いたいけどぉ、疲れたからまた今度なぁ」
そう言ってバンジョーは筒のような物を地面に転がす。これって...。
「みんな伏せろ!!」
バンッ
破裂音と共に視界を白が覆い尽くす。
キーンと雑音だけが聞こえ、今自分が立っているかどうかもわからない。
やっと視界が戻ってきた時、バンジョーはその場から姿を消していた。
「くそ!どこ行ったんだ!」
ブォン
外からバイクの音が聞こえる。
すぐに窓にかけ寄り、外の様子を見ると、バイクに跨ったバンジョーが話しかけてくる。
「アズマァ、この続きはあの会社のビルでやろうぜぇ、じゃぁ、愛してるぜえぇ」
「待て!おい!」
俺の声を無視して、バンジョーは爆音と共に去っていった。
主人公の負け




