3話 ラッパーですかい?
アズマver
俺たちは、田中が捕まってる施設の情報を得るために西条組に潜入をすることになった。
普段の格好だとヤクザと縁がなさすぎるって理由で、変装をすることになったんだが...。
「会長、なんですかこれ?」
「いいじゃない。似合ってるわよ?」
何故か俺は腰パンにデカいシャツ、バンダナ巻いてサングラスのHIPHOPな格好をさせられていた。ちょっとHIPHOPの解析度古くない?
「アズマくんには、ヤクザに憧れるMC.AZUMAとして潜入してもらうわ」
「はぁ...。ちょっと格好古く...ないですよね!?HIPHOP最高!」
会長が手をひらひらさせ始めたので、おとなしくすることにした。俺は学習できるタイプの人間だからな。
「俺はいいとして...ネコはなんなんですか?」
「キシシ...やっぱり恥ずかしいね」
「ネコくんは顔立ちが中性的だから、女の子の格好をしてもらってるわ。ヤクザは男が多そうだからウケるかなって」
ネコはカツラを被って、普段のボブくらいの長さではなく、ロングヘアーにされていた。
服装もミニスカートにブーツと、女子にしか見えなかった。なんで足ツルツルなの?脱毛とかしてるの?え、生えてこない?
「いやそうかもしれないけど...普通に可愛いの何なの?本当にそれ女装?」
「キシシ、あ、ありがと」
やめてくれ。
可愛いと思っちゃっただろ。スカートの中気になり始めちゃっただろ。
「まぁとにかく自分たちは使える人間だとアピールして、内部を探って欲しいわ。お願いね」
なんか気分乗らないんだよなぁ。
だいたいラップとかよくわからないからバレる可能性しかないよ?
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西条組の事務所のドアの前まで来た。
え、まじで入るの?
ここまでの道中パンダの死体の山だったよ?
あと日本にないような銃とかたくさんあったよ?
どうすればいいのこれ、よくわからないのでネコの方を見る。
「やっぱ入んなきゃダメ?」
「そうだね、田中くんの場所がわかるかもしれないし」
「失礼しますでいいのかな」
「会長はラッパーのフリしろって...」
「ええ?」
とりあえずノックする。
ノックすればパンダじゃないって思ってもらえるだろう。
コンコンコン
「...」
あれ、誰も出て来ないな。
あ、ヤクザ風のノックとかあるのかな?
コンコンコンコンコンコンコンコン
コンコンコンコンコンコンコンコンコン
コンコンコン
よし。
ガチャ
「誰じゃあ!8・9・3でノックするアホはぁ!」
スキンヘッドの強面男が出てきた。
ちょっとちびった。
「あ〜!初めまして〜!ネモコっていいます!西条組に入れてもらいたくて来ちゃいました〜!」
おん?
誰だこの女の子は?
あ、ネコか。
「...ほぅ、ここがワシら西条組だとしってきたってことかい?」
「は〜い!私たち今まで2人で生きてきたんですけど〜、さすがに厳しいので西条組さんの仲間にしていただきたいな〜って!それでこっちが〜...」
「俺はラッパーAZUMA!何でもいいから単語言ってみな!速攻で返してやるぜ!say!」
「あん?何わけわからんこと言っとるんじゃ、誰がーー」
「say!」
「...作詞」
「…...タクシー!」
「え、そういう感じなの?もっと文とかで返すの――」
「yeah!!!」
「めちゃくちゃ誤魔化すじゃん」
「……め、目立つなお馬鹿のパン!」
「いや、今のは違ったんだけど、てかお馬鹿のパンってなんじゃい?あと最初詰まっ――」
「ahhh yeahhhh!!!」
「…おじき、こいつバラしていい?」
「腰に、ドリルかましていい?」
なんか慣れてきたな。
俺にラッパーの才能があったとは...末恐ろしいぜ。
「慣れてきてんじゃねえよ!てかそっちが頼む側なのに何でドリルかましに来たんだよ!」
「うるさいハゲ」
「あ!!!今関係ないこと言った!韻とか関係ないこと言ったよこいつ!はいバラしまーす!!」
「おい…そこら辺しときぃ、龍」
俺とスキンヘッドの会話を聞いていたのか、奥からただならぬ雰囲気の高齢男性が歩いてきた。
なんで体の周り歪んでるの?殺気なの?
まだまだ現役なの?




